海外(アジア)に出られなかった分、かえってゆっくり充電することが出来た。自分にとっては、文字どおりの「ゴールデン・ウィーク」だった。明日からはまた慌ただしい日々が始まる。




 さて、訪韓レポートの続きを書こう。今回の韓国出張では、大統領表敬という思わぬ幸運に恵まれた。が、本当のハイライトは「私が総理になったら」(韓国版)の出版を記念して行われた韓国中央日報主催の「日韓次世代政治指導者フォーラム」だった。




 韓国側からこのフォーラムに参加した与野党の次世代政治家は、何しろ素晴らしい顔ぶれだった。前夜に野党ハンナラ党若手グループ(未来連帯)が主催してくれた懇親会で会った議員も含めると、一泊二日の日程でほぼ20人の韓国国会議員に会った計算になる。韓国の国会議員の総数は300人弱。その中で次世代のホープと呼び声の高い議員はすべてカバーしたと言っていい。セミナーや懇親会では顔を合わせることが出来なかった浪人中のキム・ミンソク前民主党議員とも、別の場所で再会した。ミンソクとのミーティングは、河野太郎氏の粋なアレンジだった。




 与党民主党からは、ノムヒョン大統領の側近グループであるチョン・ジョンべ、シン・ギナム、チュ・ミエ、チョン・ドンヨル、チョン・セギョン、イ・ナギョン等の議員が出席した。




 チョン・ジョンべ議員は、著名な人権弁護士でもある。民主党の大統領候補を決める予備選挙ではダークホースだったノ・ムヒョン現大統領のだだ一人の推薦人を買って出た。シン・ギナム議員とは、数カ月前に東京で行われた日韓国会議員交流会でも一緒だった。日韓議員による意見表明の席で発言し、「ここには韓国でお馴染みの山本一太議員もいますが...」なんて言ってくれた。河野太郎氏のHPにも書かれてあったが、この二人が与党内でノ・ムヒョン大統領支持派による新党立ち上げを画策するグループの中心になっている。




 チュ・ミエ議員は韓国を代表する若手女性議員。数年前にキム・ミンソクの紹介で初めてチュ議員に会った時、ミンソクは彼女のことを、「鉄の女」サッチャーをもじってサッチューと呼んでいた。やはり弁護士出身。ノ・ムヒョン大統領が選挙中の集会で近くにいたチュ議員を「次世代の大統領候補」と評したのは有名な話だ。投票日前日にノ・ムヒョン陣営と政策協定を結んでいたチョン・モンジュン議員が連立を解消したのは、この大統領の発言がチョン議員のプライドを傷つけたからだという説も根強く残っている。




 チョン・ドンヨル議員は民主党最高委員の一人にランクされている。与党の次世代エースNO.1だったキム・ミンソクが党を飛び出してからは、民主党若手の希望の星になった。万一、ノ・ムヒョン新党が立ち上がるようなことがあると、新党の初代党首になる可能性さえ噂されている。チョン・ドンヨル氏と初めて会ったのは、キム・ミンソクが与党の候補として戦ったソウル市長選挙だった。ミンソク候補を応援するために行われた東大門前の大集会のステージの上でガッチリ握手した覚えがある。チョン・セギョン議員は金大中大統領の特別補佐官を務めた人物。日本語の堪能なイ・ナギョン議員は民主党のスポークスマンでもある。




 野党ハンナラ党からは、ウォン・ヒリョン、パク・クネ、パク・ジン等の議員が顔を見せた。ウォン・ヒリョン議員は韓国のいわゆる386世代(30代、60年代生まれ、80年代に大学に通った)のホープと目される政治家。ソウル大学、司法試験ともに首席と大秀才であるにもかかわらず、少しも偉ぶったところがない。




 パク・クネ議員はあの朴大統領の娘。党は変わっても国民的な人気は衰えていない。忘れもしない4年前、外務政務次官として訪韓した際に、ソウルの世宗文化センターで前代未聞のライブ・コンサートを演った。その時、会場にかけつけてくれたのが、このパク・クネ議員とキム・ミンソクだった。




 今回の訪韓は、これまでやってきた日韓若手議員交流の集大成と言っていいだろう。セミナー会場に集まった韓国側のメンバーを見ながら、こと韓国、特に次世代政治家の交流については、現在の日本の政界に「山本ー河野ネットワーク」を超える人脈を持つ政治家は存在しないということを確信した。我々の世代がこの繋がりを大切にしていけば、いつか本当に「一衣帯水」の関係が築けるかもしれない。




 追伸:今回の訪韓チームには初めて塩崎添久代議士が加わった。塩崎氏自身は何度も韓国を訪れているようだが、一緒に日韓外交をやったのは初めてだった。韓国の話になるとよく、「おい、オレにもいつか声をかけてよ。韓国の若手議員に会いたいんだ」と言っていた。だから声をかけた。




 超多忙な塩崎氏は当日まで韓国で何をするのかさえ知らなかったようだ。(ちゃんと説明出来なくてすみませんでした。でも、塩崎さんは忙しすぎますよ。)それにもかかわらず、「山本一太の計画だから大丈夫だろう」と笑いながらミッションに加わってくれた。とても嬉しかった。それだけにちゃんとした日程を組もうと思って頑張った。いいプログラムになって、ホッとした。




 今回、民主党からただ一人参加してくれた浅尾慶一郎氏とは、5年前に一度、一緒に訪韓したことがある。韓国の領海内で撃沈された北朝鮮の潜水艇を視察するためだった。その結果をもとに共著で月刊文芸春秋に論文を書いた。慶ちゃん、時間の経つのは早いよね。あれから、もう5年かあ。