あの同時多発テロからちょうど一年。今日は、ニューヨークのグラウンド・ゼロにいたかった。TVの画面を見ながら、むしょうにそう思った。わが心のニューヨークは、この間どう変わり、何を失ったのだろうか。改めて、テロの犠牲になった数千人の人々のご冥福を祈りたい。

 さて、今日は午前10時から午後5時まで、決算委員会があった。自民党のトップバッターとして、質問に立った。環境サミットや公共事業の長期計画等について、扇国土交通大臣と大木環境大臣に質問した。

 さて、群馬県議会の最大グループの会長で、昨年の参院選挙で山本一太選対本部の最高責任者(事務長)を務めてくれた大物県議が、数日前、正式に引退を表明した。実は前回(三年前)の選挙でも、いったん引退をほのめかし、回りから止められた経緯があった。今回は、後援会の会合で本音を漏したため、後継を狙う数名が、すでに候補者として名乗りを上げていた。当然、辞めてもらっては困るというシュプレヒコールが起り、しばらく態度を保留していたようだ。悩んだ末の決断だったと思う。

 急いで電話を入れると、「自分にとってはちょうどいい節目だ。これからも出来ることがあればやるから」と話していた。いつもの温和な調子だったが、心なしかほっとしたような声だった。7年前に父を亡くした自分にとっては、隣の郡のベテラン県議とともに、父親のような存在だ。事務長と選対本部長を引き受けてくれたこの二人の応援がなければ、山本選挙の母体は立ち上がらなかったろう。

 実力、人望とも他を寄せつけない。親分肌で包容力も抜群。三年前の選挙では、十数年ぶりの戦いだったにもかかわらず、余裕のトップ当選。群馬県NO.1の得票をマークした。引退は本当に残念だが、反面、立派な決断だとも思う。電話口で、「今から態度を変えて、せっかく生まれそうな卵をつぶすワケにはいかない」と話していた。

 以前このレポ-トでも書いたことがある。政治家は当選回数を重ねて長老議員の域に達すると、ベテランの叡智になるか、それとも老害になるか、どちらかの道を歩くことになる。ベテランの叡智は、人望と理念で求心力を生み出す。一方、老害は悪知恵と狡猾な手法で力を保とうとする。ベテランの叡智は、若い芽を育てようとする。これに対して老害は、嫉妬深く、次世代を潰しにかかる。

 中曽根康弘元総理くらいの叡智と存在感があれば、また話は別だと思う。が、よく「死ぬまで政治家をやる」ようなことを、平気で口にするベテラン議員がいる。そういう政治家に比べると、何とすっきりした引き際だろう。ここまで皆に惜しまれて県政を去る議員が、これまでいただろうか。

 「あの人がいなくなって、我が方の県議団がしっかりまとまっていけるかな?」ある若手議員が心配していた。組織の求心力はリーダーの魅力によるところが大きい。「余人をもってかえがたい」って、こういう時に使う表現なんだろうなあ。いずれにせよ、長い間、本当にご苦労様でした。そしてありがとうございました。これからも変わらぬご指導をお願いします!