東京駅から参議院本館2階の自民党国会対策委員会の部屋に直行する。予想通り、国会再開のメドは立っていない。しばらくして「東京地検が、鈴木宗男議員に対する逮捕状を請求」というニュースが飛び込んできた。逮捕許諾請求を議決するための衆院本会議が、国会審議正常化のためのきっかけになるかどうか。




 さて、昨日のTV出演の後、全国各地からメールが送られてきた。「改革決死隊」の意図や行動について十分説明出来なかったこともあり、手厳しいコメントを覚悟していた。ところが、予想に反してほとんど激励の便りばかり。中には、「小泉改革はもうダメ。決死隊に出来ることは総理に解散を働きかけることだけだ」といった辛辣なものもあったが、決死隊それ自体に対する非難は、驚いたことにほとんど見られなかった。




 「総理が落ち目になってきたこの時期に、あえて小泉改革を支えると言明していることは信頼出来る」(60代男性)「決死隊の力で小泉総理を支えてほしい」(30代女性)等々。「今、党内で声をあげるのは大変だろう。いじめに負けないで」という心配の?電話までいただいた。




 番組では意を尽くせなかったが、「改革決死隊」の目的を改めて明確にしたい。昨年、二度目の参議院選挙を戦った。群馬県では、2議席に複数の自民党候補が立候補するという厳しい選挙だったが、小泉改革への支援を訴えて圧勝した。全国各地で(選挙区であれ、比例区であれ)立候補したほとんどすべての自民党候補者が、小泉総理と握手したポスターを張り、小泉Tシャツを選挙スタッフに着せ、新しい自民党を創ると叫んで当選を果たした。小泉内閣が出現しなかったら、自民党の議席は激減していたに違いない。小泉旋風が自民党を救った。最近、昨年の選挙で当選した同僚議員の小泉批判が目立つようになった。人間というのは、つくづく忘れっぽい動物だと思う。




 衝撃のデビューから1年。発足当初80%を超えていた内閣支持率は40%に急落(けして低い支持率ではないが)し、改革に対する党内の抵抗も厳しさを増している。さらに、全く予期していなかった一連の政治スキャンダルや外交問題の噴出により、小泉内閣の目玉ともいうべき重要法案の審議も思ったようにすすまない。小泉改革もいよいよ正念場にさしかかった。




 人気絶頂の頃、ことあるごとに総理官邸に押しかけていた様々な応援団の動きもすっかり影を潜めている。「一太さん。党内で小泉さんを応援している人って、本当はいないんじゃないか!」地元に向かう新幹線の中で会った地元企業の役員の言葉に、反論出来なかった。




 小泉改革に対し総論賛成、各論反対といった中途半端な立場の議員が、自民党内で多数を占めるのはむしろ当然のこと。小泉総理の掲げる政策は、痛みを伴うものばかりだ。だいたい従来型の公共事業削減も、郵政事業民営化も、医療制度改革も、特殊法人の廃止・民営化も、選挙区ではすこぶる評判が悪い。




 当然のことながら、小泉総理の政策を支持することには、選挙区においても永田町においても、リスクがつきまとう。理由は簡単。小泉構造改革というものをつきつめていくと「政官業癒着の構造」を崩し、自民党の古い権力基盤を壊すことにもつながるからだ。たとえそうであっても、小泉総理が原理・原則を貫く覚悟をきちんと示していただけるなら、(支持率がどうなろうが)小泉改革全体を最後まで支持する。そういう若手議員が自民党内にいる、ということを内外に発信することが決死隊の役目だと考えている。




 この会は、カッコイイ政策や提言をまとめるグループではない。メンバー9人の思いがすべて同じだとは思わないが、リスクを負っても自らの意志を示そうというガッツを持った仲間に声をかけた。一緒に何かをやりたいと思う政治家と行動を起こしたかった。




 決死隊の活動を通じ、それぞれの政治哲学や胆力を知る。相手を評価し、評価されるプロセスだ。政治家は、こうやって政治的盟友や同志を発見していく。




 安全な場所で批評をしたり、人を批判したりすることは誰でも出来る。この局面に、評論家みたいな政治家は、およびじゃない。傍観者がごちゃごちゃ言うな!