山本一太がナビゲーター(司会進行・DJ)を務める公開セミナー「新世代総理宣言」が好調な滑り出しを見せている。毎週一回(木曜日の夜9時)、新世代の総理候補(30、40代を中心とした与野党の新進気鋭の政治家)をゲストに招き、21世紀の国家ビジョンを語ってもらおうというこの画期的なプロジェクトは、森ビル・アーク・アカデミーのポリシー・スクールの一環としてスタートした。会場は、東京の夜景が一望できるアーク森ビルの最上階。森ビルが主催する社会人プログラム(アーク都市塾)を受講するビジネスマン、大学生、ジャーナリスト等が聴講生として毎回参加し、名刺交換やQ&Aが行われる。最初の30分間はそのまま「ラジオ短波」の番組になり、翌日(金曜日)の夜9時30分から全国放送されている。プログラムが軌道に乗るまで過度の宣伝は控えているが、少しづつ話題になっているのか、リスナーからの反応も出てきたようだ。




 11月1日の第一回は多忙なスケジュールの中、石原ノブテル行政改革担当大臣(自民党)が記念すべき「最初のゲスト」として登場。第二回目にあたる11月8日は前原誠司衆議院議員(民主党幹事長代理)が、11月14日の第三回のプログラムには女性議員の第一号として、高市早苗衆議院議員(自民党)が出演。それぞれの「国家ビジョン」や「政治哲学」を力強く語ってもらった。




 特殊法人改革の矢面に立つノブテルさんは、さすがにプレゼンテーションも受け答えも抜群。小渕内閣の下で「政策新人類」としてメディアを騒がせていた頃と比べても、一段と進化している感じがした。ラジオ番組の公開録音部分(最初の30分)では、鼻歌(石原裕次郎の「夜霧よ今夜もありがとう」)まで披露する大サービス。最後には小泉総理の「もう少しで毒を飲まされるところだった」発言にまで言及。これが翌日の新聞記事になったため、後で相当(その筋から)お叱りを受けたらしい。(ノブテル大臣、ご迷惑をおかけしました。)




 高市早苗さんも、セミナーのテーマである「21世紀の国家像」ついてはもちろん、政治家になったきっかけ、松下政経塾時代のエピソード、そして理想の男性像についても、本音のトークを披露してくれた。早苗はん、今年こそ?素晴らしいパートナーを見つけてください!(「野田聖子には負けんで!」と言ってましたなあ。)




 そして最大野党民主党のトップを切って駆けつけてくれたのが前原誠司氏。京都大学であの高坂正尭先生に師事したという外交・防衛問題の論客。以前、「選択」という雑誌の誌面で「日米往復書簡」という外交・防衛問題に関する日米有識者間のリレー・エッセイに参加したことがあった。米側がジョージワシントン大学のマイク・モチヅキ教授、ブルッキングス研究所のオハンロン上級研究員、日本側が鳩山由紀夫民主党党首と山本一太というl組み合わせ。ミサイル防衛、北朝鮮政策、日米関係等についての三回にわたる「山本論文」を引き継いだのが前原氏だった。安全保障についての豊富な知識や明快な論旨は「さすが」と思わせるものがあった。




 これまでも会合等で言葉を交わしたり、同じプロジェクトに参加したりしたことはあったが、「国家観」や「政治哲学」について話を聞くのははじめてのこと。率直な印象を言うと、前原氏の政治家としての見識、政治哲学、飾らない人間性に感銘を受けた。政策の知識は得意の安全保障分野にとどまらない。「民主党シャドーキャビネット」の国土交通大臣になっているだけあって、道路公団や住宅金融公庫の問題、地方分権等についてもしっかりとした自分の考え方を持っている。前原氏の持論である「尊厳のある国」には一貫した哲学が感じられた。




 「今でも自分は政治家にはむいていないと思う」と語る生真面目な人柄。「鳩山党首ー管幹事長体制にはそろそろ限界がきている」と明言する歯切れの良さ。プログラム開始前の名刺交換でも一人一人の参加者と丁寧に言葉を交わし、セミナーが終わった後のボランティア・スタッフとの懇談にも参加してくれた。出席者のアンケートでも好感度抜群。なるほど、前原誠司さんて、こんなに魅力的な政治家(人物)だったんだ。




 正直言って、民主党の若手というと、「パフォーマンスは上手いが政策的にはあまり中身がない議員が多い」と思い込んでいた。この認識は改めなければならない。先日、米国ジャーナリストとの懇談で一緒になった古川元久氏といい、この世代の民主党の国会議員はすごく勉強している。民主党は、もともと議員の7割以上が3回生以下という若い政党。近い将来、前原さんや枝野幸男さんのような新世代がリーダーになり、一部の「異分子」を切り捨てて「新民主党」として甦ったら、自民党にとって強力なライバルになることは間違いない。(もっとも、その時は自民党も民主党も存在していないかもしれないが…。)とにかく、民主党は侮れない!




 セミナーが終わり、前原氏とガッチリ握手。こんな言葉が自然と口をついて出てしまった。「前原さん、ほとんど考え方、同じですよね。そのうち、新党でも創りましょうか?」「いいですね、ぜひ、やりましょう!」




追伸:

その1.今晩、5回目の公開セミナーのゲストは渡辺喜美氏。余計な話は抜きにして、日本再生のための「渡辺プラン」を思う存分語ってもらうことにしよう。




その2.11月29日(木)のゲストは自民党衆議院議員の河野太郎氏。12月に入っても中谷元防衛庁長官、塩崎恭久氏(自民党)、枝野幸男氏(民主党)と、新世代の総理候補が続々登場する予定だ。毎週金曜日の夜9時30分。時間があったら、ぜひ一度「ラジオたんぱ第2放送」(インターネットラジオでもOK)に周波数を合わせてみてください。




公開セミナー「新世代・総理宣言」

インターネットラジオ「デジタルたんぱ502」