先週末に引き続き、本日も地元群馬県の日程をこなす。6日は午前中に小野上村、午後から生まれ故郷の吾妻郡を飛び回る。相変わらず分刻み?の日程だったが、群馬の緑と高原のひんやりした空気が疲労感を癒してくれた。中之条町で会った議員さんから、「一太さん、この間の郡民体育祭には出席して欲しかったなあ。小渕優子代議士は本人が出てきてたんだよ。」と言われる。「すみません。国会対策を担当することになったもんで…しばらくは、なかなか地元に戻れそうもありません。」これから一年、このセリフを何度繰り返すことになるだろうか。




 7日の午前中は、赤城カントリー倶楽部で開催中の「SANKYOレディース・オープン」(二日目)を、「群馬県ゴルフ協会会長」として観戦。大会のスポンサーや樋口久子氏(往年の名プレーヤー。現在、日本女子プロゴルフ協会長)等とともに、日本を代表するトップ・プレーヤー達の二日目のスタートを見送った。群馬県ゴルフ協会会長が「ほとんどゴルフをしない(というか、出来ない)」という事実は、トップ・シークレットの一つになっている。(学生時代にキャディーのアルバイトをやっていたにもかかわらず…??)「さすがにそろそろ練習する時間を見つけないとヤバイ!」などと考えつつ、女子プロゴルファーの素晴らしいショットを堪能した。今日(8日)は、朝から小玉スイカで有名な藪塚町を早足で歩き回り、その後予定より早い東京行きの新幹線に飛び乗った。本日未明、米国によるアフガニスタン(タリバン政権)への空爆が開始された。早速、情報収集に奔走しなければならない。




 小泉政権の対応は(歴代の内閣に比べても)かなりスピーディーだったと思う。攻撃の知らせが飛び込むや否や、官邸で総理を本部長とする「緊急テロ対策本部」の初会合を召集。…同時に、国内の重要施設(米軍施設や米国企業、空港、原子力発電所等)の警備強化、海外にいる邦人の安全確保、出入国管理体制の強化等を指示。先ほどテロ法案の資料を取りに永田町の議員会館に立ち寄ったが、総理官邸の付近ではすでに数台の警察車両といつもの倍近い警察官(機動隊員?)が警備にあたっていた。




 米英軍による攻撃にあたり、ブッシュ大統領は、ドイツ、フランス、ロシア、イスラエル等の首脳に次々電話をかけ「事前通告」を行った。小泉総理に「空爆」の予定を伝えてきたのは大統領ではなくパウエル国務長官だったようだ。もっとも小泉総理もその後ブッシュ大統領と早朝に電話会談を行い、「米国の攻撃を強く支持する」と明言。ブッシュ大統領からは「長期戦の覚悟」が伝えられたとのこと。空爆予告がパウエル国務長官からもたらされたことを「日本軽視ではないか」と言う人もいるが、あまり気にする必要はないと思う。ドイツ、フランスは、今回の軍事行動に参加する意向をすでに示していた。軍事行動を共にする可能性のある国、また、この攻撃によって最もテロの脅威にさらされることが予想される国(イスラエル)に対して、連絡の密度やプライオリティーが高まるのは当然のこと。それでも、こうした連絡のタイミングの違いが、同盟国に対する米国の実質的な優先度(プライオリティー)を微妙に示していたりする。ホワイトハウスから各同盟国への通告にあたっては、パウエル国務長官だけでなくチェイニー副大統領等も手分けをして行った可能性が高い。攻撃の始まった8日の未明(日本時間)の前後から、米国政府の誰が、どういう順序で、どの国に、何分くらい電話をしたのか.…そのリストが手に入ればぜひ見てみたい気がする。




 与党の一部には慎重な意見もあったようだが、この事件で小泉総理が中国訪問をキャンセルしなかったのも正しい選択だった。首脳会談の中身はもちろん、中国側の小泉首相に対する誤ったイメージを払拭したという点で今回の訪中は大きな意義があったと思う。TVのニュースに映し出された小泉総理と江沢民主席の表情がそのことを何よりも雄弁に物語っていた。




 米国によるタリバン政権への攻撃が始まったことを受け、政府としては一日も早く「テロ特別措置法」を通過させる必要に迫られる。緊迫した場面も想定されるが、小泉さんには15日の訪韓も予定通り実施して欲しい。先日、河野太郎議員と一緒に総理官邸に小泉総理を訪ねた。ソウルでの日韓若手議員交流の報告が主目的だったが、25分間、様々な話をさせていただいた。総理は訪韓の予定があることにはもちろん一言も触れなかったが、後から考えて見ると、日韓関係の重要性を訴えるためには最高のタイミングだった。「漬物」はあまりお得意ではないようだが、「オレ、焼肉は好きだよ」という言葉を引き出す。さっそく、韓国のカウンターパートにこの情報を流し、「小泉さんは韓国料理が嫌い」という誤解を解くことにしたい!韓国での小泉総理のイメージは残念ながらあまりかんばしいとは言えない。「長い議員生活の中で一度も訪韓したことがなく、韓国に友人がいない」とか、「教科書問題等の対応から考えても、日本の右傾化を促すリーダー」といった先入観を持たれているようだ。小泉総理の訪韓が実現すれば、こうしたイメージは「一気に変わる」だろう。小泉総理のスタイルや言葉は、実は韓国の国民にかなりアピールするのではないか、と常々考えている。それにしても、総理大臣の「孤独」と「重圧」は想像を絶するものだろう。自分の判断一つで、日本経済が破綻するかもしれない。また、自衛隊に犠牲者が出るかもしれない。ややスリムになった感じはしたが、久々にエネルギッシュで歯切れのいい「小泉ブシ」を聞いた。改革への意欲は全く衰えていない。「総理、苦しくてもぜひ原理・原則を貫いてください!」帰りがけに思わずそう言うと、黙ったまま「ニッコリ」。




 さて、「国会対策のお仕事」の方は、各副委員長の仕事の割り振りが決定。外交安保(外務省・防衛庁)、経済産業(経済産業省)、総務(総務省)、そして国際問題調査会の4つの委員会及び調査会を担当することになった。野党は「共産党」を受け持つことに。おいおい、これってかなり大変じゃないか。今国会の目玉となる「テロ特別措置法」(正式な名称は長すぎて書けない)は、衆議院では「特別委員会」で審議されることになった。参議院の方針は決定していないが、万一特別委員会を設置しないということになれば、当然、外交防衛委員会に付託されることになる。国対の中でも、外交防衛委員会担当であり、同時にこの委員会の自民党理事でもある山本一太が特に忙しくなることは避けられない。すなわち、委員会の運営については理事として汗をかき、法案については自ら質問に立ち、さらに与野党の対立で委員会がもめた時には、理事会と国対の間を行ったり来たりしなければならない。加えて、今国会での成立を目指す20数本の法案のうち、9本が総務省(総務委員会)に集中。10月中は「眠れない夜?」が続きそうだ。それでも、この機会に日本外交のターニングポイントとも言うべきこの「新法」を徹底的に勉強する機会を与えられたことは、ある意味でラッキーだと思う。




 今週は、「議員」という立場から、テロに関する二つの動き(プロジェクト)を起こそうと思っている。ひとつは、超党派の若手有志議員を中心に20名程度の賛同者を募り、米国議会(上院の院内総務と下院の議長宛)に対して「今回の米国の対応とテロに対する国際社会の戦いを支持する」という趣旨の手紙を送ること。発起人は7人の若手議員(敬称略ー自民;河野太郎、山本一太民主:前原誠司、浅尾慶一郎自由;達増拓也、保守:小池百合子、公明;上田勇)になる見込み。米国によるアフガニスタン攻撃という新たな状況を受け、英文のドラフトは多少変更する必要がありそうだ。それでも今週中には有志議員で米国大使館を訪ね、ベーカー駐日大使にこの手紙を託したいと考えている。




 もう一つは、「集団的自衛権」についての勉強会を立ち上げること。ここ一ヶ月、国際政治学者でもある舛添要一参院議員と「外交のチーム」を立ち上げる相談を重ねてきた。メンバーや活動の内容、またどういう形で小泉総理に「提言」を行うか等については、明日、話し合うことになっている。さらには、11月から週一回のペースで司会を務めることになる「政治セミナー」(新世代総理宣言)の準備も進めなければならない。




 さあ、明日からまた「政治漬け」の一週間が始まる。気がつけば12時30分を回った。e-デモクラシーの二回目の意見表明は明日の朝早く起きて書き上げることにします。それでは、おやすみなさい!




追伸:

 「テロに対する日本の対応」をテーマにした「朝日新聞e-デモクラシー」の新シリーズが始まった。インターネット上で、政治家と読者の活発な議論が展開されている。政治の側の参加者は、民主党の前原誠司氏、社民党の福島瑞穂氏、そして自民党の山本一太の3人。この「ネット上のパネル」に参加するのは二度目。返事を書くのは結構大変だが、読者とのやり取りの中で学んだり、考えさせられたりすることも多い。一度、ぜひのぞいて見てください。