-ラオスの特区に日系続々
【日経新聞】2014/7/14
ミャンマーなど経済成長で出遅れてきた東南アジア・南アジアの国々が海外企業の誘致に力を入れている。バングラデシュは6千億円規模の「産業ベルト」の大型整備プロジェクトに着手。ラオスやカンボジアでは製造業向けの経済特区の拡張が続く。インフラ整備を進めて海外企業を呼び込み、成長の加速を狙う動きで、進出する日本企業の商機も広がっている。
バングラデシュが進めるのが「ベンガル湾産業成長地帯(BIG―B)」計画。「日本の高度経済成長を支えた『太平洋ベルト』をモデルにした構想」(国際協力機構の田中明彦理事長)で、首都ダッカから最大港湾都市チッタゴン、ミャンマー国境に近い南部マタバリまでを結ぶ約400キロメートルを産業集積地に開発する。
開発の原資として日本政府から今後5年で6千億円の円借款を受ける。課題の電力の安定供給のため、マタバリに4500億円を投じて最新鋭の石炭火力発電所を建設するほか、港湾を大型貨物船が接岸できるよう拡張する。日本企業を対象に免税措置などの優遇がある経済特区も設ける。
ミャンマーでは日本の官民の協力も得て最大都市ヤンゴン近郊のティラワに同国初の大規模工業団地を造成中。日本の円借款などを活用して港湾や道路も整備する。2014年初には経済特区法を改正し、原則として外資に認めていなかった輸出入を進出企業に解禁。工業団地整備とあわせ、輸出産業の誘致を狙う。
同国では13年度(13年4月~14年3月)の海外直接投資が約41億ドル(約4200億円)と12年度の2.9倍に急増した。シンガポールや韓国、タイなどの企業の存在感が大きく、縫製業のほか通信や不動産開発の投資も増えている。
工業化の初期にある後発国にとって、外資導入は高成長の持続に欠かせない。追い風になるのが、中国やタイなどから生産拠点を分散する「プラスワン」の流れだ。
ラオスは南部の都市パクセーに製造業向けとしては3カ所目となる経済特区の整備を検討中。人件費が上がっている隣国タイから拠点を分散する「タイプラスワン」の動きを取り込む。
ラオスは20年までに70億~80億ドルの外資の投資を期待する。南部の経済特区サバナケットにはニコンやトヨタ紡織が進出済みで、首都ビエンチャン近くの特区は三菱マテリアルが入る予定だ。カンボジアもタイ国境に接する北西部ポイペトでは複数の工業団地の開発計画が進む。
バングラデシュとミャンマーは、中国以外の国に工場を建てる「チャイナプラスワン」の有力な受け皿だ。バングラデシュには「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングなど繊維関係を中心に180以上の日系企業が進出している。
各国にとって課題は、激しい誘致合戦のなかで、投資受け入れと国内の所得・消費拡大の好循環をいかに維持するか。政情・政策の安定のほか、所得増による内需の拡大で市場としても魅力を高めないと、投資が一時のブームに終わり、成長が失速しかねない。
[コメント]
特にラオスは、ベトナム、カンボジア、ミャンマーに次いで、東シナ半島の次の投資国として、押さえておきたい国ではあるが、如何せん全く海岸線に面していないことなど、進出にはそれ相応の情報収集とネットワークの構築がかなり重要視されるであろう。メコンの優位性を生かし、人口の78%が農業に従事する農業国。歴史的に見ても、兎に角、中国、ベトナム、タイなどの隣国の情勢の影響をもろに受け易いカントリーリスクも有する。
一方、ここ数年では、2000年にラオス観光年として観光産業の育成に力を入れ、観光産業が急速に発達。観光のほか、国土の約半分を占める森林から得られる木材もある。水力発電の隣国タイへの売電など特に水力発電によってラオスは「東南アジアのバッテリー」とも呼ばれている。
21世紀に入り、外国企業の投資促進のため、経済特別区が設けられ、中国やタイなどの賃金水準が上昇する中、安い労働力を求める企業の注目を集めている。
バングラデシュにおいては、更にアジアの最貧国という位置付けにあり、インフラの未整備や不安定な行政が問題となりそう。豊富な水資源から米やジュートの生産に適しており、かつては「黄金のベンガル」と称された豊かな地域ではあった。進出に値する検討材料としては、労働力の豊富さとアジア最低水準の労働コストの安さに注目した、製造業の進出か。
何れの国も、ここ数年は業界により優位不利が明確になると思われる。インフラ整備は勿論、政情の不安定性や内需や国内所得など、バランスのある成長がなければ、簡単に失速しかねない状況だけに、注意は必要であろう。