「リスクマネジメント」とはどんな意味か? | 技術士を目指す人の会

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勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

リスクマネジメントとはどんな意味か?

 

 

そもそもリスクマネジメントというフレーズ、あまり聞いたことがないかもしれません。

単純に考えると、リスクが危機という意味で、マネジメントが管理という意味になるので、日本語訳すると危機管理になってしまいます。

しかしながら、リスクマネジメントと危機管理は意味が違います。

実は、リスクマネジメントについては『JIS Q 31000』で規格化されています。

これによると、リスクとは「目的に対する不確かさの影響」という意味になっています。

不確かさによる影響は、自然災害や事故だけではなく、社会、経済、文化の変革によるものも含まれています。

さらに、好ましくないものだけではなく、好ましいものまで含まれます。

 

つまり、リスクは危機よりも範囲が広いわけです。

 

また、JIS Q 31000』によると、マネジメントは「組織を指揮統制するための調整された活動」という定義になっています。

「組織を指揮統制する」という部分だけを読むと、マネジメントは管理職が部下に対して指示・命令することを意味するように見えます。

しかし、よく読むと「組織を指揮統制するための」となっています。

つまり、組織の指揮統制は目的なんですね。

最後に「調整された活動」というフレーズがあるので、マネジメントは何かを調整することなんです。

 

それでは、何を調整するのか?

 

少し別の話をします。

マネジメントについては、『技術士に求められる資質』にもその意味が定義されています。以下のとおりです。

 

「業務の計画・実行・検証・是正等の過程において、品質、コスト、納期及び生産性とリスク対応に関する要求事項、又は成果物に係る要求事項の特性を満たすことを目的として、人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること」

 

少し長いですが、最後の部分を見て下さい。

「人員・設備・金銭・情報等の資源を配分する」となっています。

 

つまり、マネジメントとは、目的に応じて人・モノ・金・情報を配分するという意味なんです。

 

話を戻します。何を調整するのか?の答ですが、人・モノ・金・情報です。

 

話をまとめます。

JIS Q 31000』によると、リスクマネジメントとは「リスクについて組織を指揮統制するための調整された活動」という意味です。

 

繰り返しになりますが、リスクマネジメントと危機管理は異なります。

危機管理は、災害や事故を想定していますが、リスクマネジメントは不確実性を想定しています。

リスクマネジメントは危機管理よりも広いです。

最後にまとめです。

 

リスクマネジメントとは、

「あらゆることに不確実なことが含まれていて、

それでも目的を達成できるよう、

適切に人・モノ・金・情報を調整する行為」

という意味になります。