【世界史人物3】ソロモン王 | 新見一郎

新見一郎

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

世界史の人物を紹介します。

今回は、ソロモン王 です

ハンムラビ王は、山川の教科書のP22、《東地中海世界の諸民族》で登場します。

 

●いつの時代?

BC930年頃

 

●どこの人?

イスラエル

ヘブライ人

 

●何をした人?

イスラエルは、地中海の東部、別の言い方をするとサウジアラビア半島の北西部です。

BC1500年頃、このエリアにヘブライ人という遊牧民族が定住するようになります。

ヘブライ人は12の部族がいたようですが、BC1000年頃、統一国家が作られました。

イスラエル王国(ヘブライ王国とも言う)。

ソロモン王はこの国の王様です。

 

 

山川の教科書には、ヘブライ王国の王様として、ダヴィデ王とソロモン王の記述があります。

ダヴィデ王の息子がソロモン王です。

実は、ダヴィデ王の方が、ソロモン王よりも有名です。

ダヴィデ王は、

①ヘブライ王国を建国し、イェルサレムを建設しました。

②旧約聖書にも登場します。

それから、

③ダビデ像が有名です。

これはミケランジェロの作品です。

そして、

④ダヴィデの星が有名です。

イスラエルの国旗の真ん中の記号がダヴィデの星です。

正三角形を2つ組み合わせた記号で、ヘキサグラムともいいます。

 

というわけで、ダヴィデ王の方が、ソロモン王よりも有名なんです。

では、なぜ、ダヴィデ王ではなく、ソロモン王に注目したのか?

 

それは、

ソロモン王が知将だったからです。

 

ダヴィデ王は、統一国家を作るにあたって、武力を使ったそうです。

同じヘブライ人同士で、戦争をしたわけです。

武将だったんです。

一方、ソロモン王は、外交により自国を守ったそうです。

近隣の国と条約を結ぶことで、戦争をすることなく、国家主権を守ったわけです。

この当時、エジプト王朝が力を持っていましたが、エジプトの王族と戦略結婚をして、自国を守ったそうです。

つまり、ソロモン王は知将だったわけです。

ソロモン王は、貿易重視の政策を展開するとともに、公共工事に取り組みます。

当時としては、かなり先進的だったわけです。

個人的な見解ですが、武力ではなく知力を活かすスタンスが、結果的に、ヘブライ人を強くした原因の1つだと推測します。

 

この知将が亡くなった後、争いが生じ、イスラエル王国は2つに分離してしまいます。

歴史を振り返ると、カリスマが亡くなった後、分裂が生じることが多々あります。

同じ民族で構成する国家が、2つに分裂するのは、歴史的にはじめてのことかもしれません。

分裂後、北部がイスラエル王国、南部がユダ王国になります。

ユダ王国の方にイェルサレムがあります。ユダ王国のユダは、ユダヤの語源です。

ヘブライ人が旧約聖書によるユダヤ教を信仰していましたので、ヘブライ人のことをユダヤ人と呼ぶようになります。

 

 

南北に分裂後、ユダヤ人の状況は悲惨です。

まず、BC722年、イスラエル王国は、アッシリアという国に滅ぼされてしまいます。

次に、BC586年、ユダ王国は、新バビロニアという国に征服されます。

この時、ヘブライ人は、新バビロニアに連れ去られ、奴隷化されてしまいます。

これをバビロン捕囚といいます。

こうして、ユダヤ人は領土を完全に失ってしまいます。

その後、新バビロニアはアケメネス朝ペルシアという国に滅ぼされます。

その時のアケメネス朝の王様、キュロス2世は、ユダヤ人を解放します。

しかしながら、ユダヤ人に領土はありません。

では、領土を取り戻すため、戦争をしたのかというそうではありません。

武力ではなく、知力を磨くことにより、経済力を手にすることを選びました。

世界の富を席巻する民族に成長します。

個人的な見解ですが、武力ではなく知力を活かすというスタンスは、ソロモン王の影響だったと思っています。

現在、イスラエルはパレスチナと争っています。

ソロモン王のように、平和的な解決を目指して欲しいと願います。

 

●ソロモンの伝説

それから、ソロモンは、以下のエピソードでも有名です。

 

一人の子供がいました。

その子の母親であると主張する者が二人いました。

二人の母親は争いました。
これを見たソロモンは、二人にこう提案しました。
「その子の腕を一本ずつ持ち、二人で引っ張り合いなさい。勝った方を母親と認める。」
二人は左右に分かれて子供の腕を引っ張り合いました。
当然、子供は痛がります。その痛みに耐えれないようでした。
それを見かねて、右側の女が手を離します。

勝負は左側の女の勝ちです。

この結果を見て、ソロモンがこう言います。

「本当の母親は左側の女ではない。右側の女だ。

本当の母親なら、実の子が痛いと叫んでいるのに、それを続けられるはずがない。

だから、手を離した方が実の母親だ」

 

なるほどですね。

何かを譲ることで、何かを守ることができることがあるわけですね。

 

●ソロモンの画像

画像出展元:ウィキペディア

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%AD%E3%83%A2%E3%83%B3

 

 

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