世界史に書いてあることを、理系の学生でも解るように説明したいと思います。
今日は、山川の世界史のP18についてです。
このページでは、紀元前3,500〜2,700年のメソポタミア地域(現在のイラク)について説明してあります。
この中で、次のような文章があります。
「紀元前3500年頃から人口が急激に増え、宮殿を中心に数多くの大村落が成立した。(中略)前3000年頃には、神官・戦士・職人・商人等の数が増え、大村落はやがて都市へと発展していった。(中略)前2700年頃まで(中略)にシュメール人の都市国家が数多く形成された。」
この文章は、集団が、
大村落→都市→都市国家
という段階で発展していくことを示しています。
ここで疑問が生じます。
そもそも、大村落、都市、都市国家、何が違うのか?
というわけで、これについて解説したいと思います。
村とは、人々が集まって生活しているエリアで、主に農耕生活を営んでいます。
大村落とは、人口が多い大きな村です。
世界史上における大村落は、単に人が集まって生活しているだけではなく、村の中心に宮殿があります。
宮殿は、神様を祀る儀式を行う場所です。
日本では神社がこれに相当しますね。
次に都市について説明します。
都市も、大村落と同様、人々が集まって生活しているエリアです。
都市と大村落の違いですが、都市は都会で、大村落は田舎だと思っていいです。
都市には商工業が存在しますが、大村落は農耕メインなので、ほとんど商工業は存在しません。
工業は、珍しい物、美味しい物、美しい物、便利な物を作るものです。
商業は、珍しい物、美味しい物、美しい物、便利な物を別の物と交換するものです。
紀元前3,500〜2,700年は、貨幣が存在していないので物々交換だったと思います。
商工業が存在するということは、強い価値観が存在することを意味します。
強い者が、価値のある物を欲するので、権力の集中、富の集中が生じます。
都市国家は、都市を持った国家です。
ここで疑問が生じます。国家とは何か?
国家とは、単に人が集まったエリアではなく、明確な境界を持った領土、住民を統治する組織、住民の総体です。
その昔、統治する組織は、現在であれば政府ですが、その昔は、王様や貴族でした。
統治者は、現在は選挙により決定するのが基本ですが、当時は、王様や貴族の一族が世襲していました。
領土については、現在は個人が土地を有するのが基本ですが、当時は、王様や貴族が全て保有していました。
また、この領土を守るため、犯罪をおさめるため、現在であれば軍隊や警察が存在しますが、当時は、武器を持った騎士が存在していました。
というわけで、大村落と都市は、人の集まっているエリアで、大村落は濃厚主体の田舎で、都市は商工業が存在する都会です。
都市国家とは、都市を持った国家です。
国家とは、領土、住民、これを統治する組織の総体です。
これが、大村落、都市、都市国家の違いです。
都市国家という用語は、教科書で頻発します。
この段階で、都市国家のイメージをつかんでおいた方がいいです。
それから、この都市国家ですが、人類で初めてシュメール人が作ったと言われています。
シュメール人は、くさび型文字を作ったりしていますので、世界史上、重要なキーワードになるわけです。
※世界史を解りやすく(2)専制君主については、 こちら をどうぞ。