世界史を解りやすく(1)都市国家 | 技術士を目指す人の会

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勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

世界史に書いてあることを、理系の学生でも解るように説明したいと思います。

今日は、山川の世界史のP18についてです。

 

このページでは、紀元前3,500〜2,700年のメソポタミア地域(現在のイラク)について説明してあります。

この中で、次のような文章があります。

 

「紀元前3500年頃から人口が急激に増え、宮殿を中心に数多くの大村落が成立した。(中略)前3000年頃には、神官・戦士・職人・商人等の数が増え、大村落はやがて都市へと発展していった。(中略)前2700年頃まで(中略)にシュメール人の都市国家が数多く形成された。」

 

この文章は、集団が、

大村落→都市→都市国家

という段階で発展していくことを示しています。

 

ここで疑問が生じます。

 

そもそも、大村落、都市、都市国家、何が違うのか?

 

というわけで、これについて解説したいと思います。

 

村とは、人々が集まって生活しているエリアで、主に農耕生活を営んでいます。

大村落とは、人口が多い大きな村です。

世界史上における大村落は、単に人が集まって生活しているだけではなく、村の中心に宮殿があります。

宮殿は、神様を祀る儀式を行う場所です。

日本では神社がこれに相当しますね。

 

次に都市について説明します。

都市も、大村落と同様、人々が集まって生活しているエリアです。

都市と大村落の違いですが、都市は都会で、大村落は田舎だと思っていいです。

都市には商工業が存在しますが、大村落は農耕メインなので、ほとんど商工業は存在しません。

工業は、珍しい物、美味しい物、美しい物、便利な物を作るものです。

商業は、珍しい物、美味しい物、美しい物、便利な物を別の物と交換するものです。

紀元前3,500〜2,700年は、貨幣が存在していないので物々交換だったと思います。

商工業が存在するということは、強い価値観が存在することを意味します。

強い者が、価値のある物を欲するので、権力の集中、富の集中が生じます。

 

都市国家は、都市を持った国家です。

ここで疑問が生じます。国家とは何か?

 

国家とは、単に人が集まったエリアではなく、明確な境界を持った領土、住民を統治する組織、住民の総体です。

その昔、統治する組織は、現在であれば政府ですが、その昔は、王様や貴族でした。

統治者は、現在は選挙により決定するのが基本ですが、当時は、王様や貴族の一族が世襲していました。

領土については、現在は個人が土地を有するのが基本ですが、当時は、王様や貴族が全て保有していました。

また、この領土を守るため、犯罪をおさめるため、現在であれば軍隊や警察が存在しますが、当時は、武器を持った騎士が存在していました。

 

というわけで、大村落と都市は、人の集まっているエリアで、大村落は濃厚主体の田舎で、都市は商工業が存在する都会です。

都市国家とは、都市を持った国家です。

国家とは、領土、住民、これを統治する組織の総体です。

これが、大村落、都市、都市国家の違いです。

 

都市国家という用語は、教科書で頻発します。

この段階で、都市国家のイメージをつかんでおいた方がいいです。

それから、この都市国家ですが、人類で初めてシュメール人が作ったと言われています。

シュメール人は、くさび型文字を作ったりしていますので、世界史上、重要なキーワードになるわけです。

 

 

※世界史を解りやすく(2)専制君主については、 こちら をどうぞ。