水は大地に
しみこんで。
☆
季節外れではありますが、
必ずやってくる春を想い浮かべながら……
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毎年四月ごろになると田づくりが始まって、水田に水がひきこまれる。
水が張られるとその水面は鏡のようになって、空を映す。
水面と空が、境なく混じり合う。
農道はまるで水平線に消える細い橋のようになって、どこまでも続いている。
蛙の鳴き声は四方から響き、やかましいほど。
暑くなく、寒くもなく。
心はおどる。
わけもなく。
