装丁日記~単純明快茶一色。ユザワヤで買った製本用クロスを使った話 | ぼくは占い師じゃない

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易経という中国の古典、ウラナイの書を使いやすく再解釈して私家版・易経をつくろう! というブログ……だったんですが、最近はネタ切れで迷走中。

本を書いた……

ではなくて、
「つくって」みました。

けっこう本は好きなほうで……

といえば、
本を「読むこと」が好きなんだろう、
と、普通は思う。

そして普通、それで問題ない。

ただ、ぼくについていえば、読むのも好きだけど、
本というブッタイそのものも、ケッコウ好きだったりする。

そんなわけで思わず、このような お話を書いてしまったりする。
自転車と酒と本という、自分の好きなものを三つ混ぜただけの駄文だったりして……

ええと、話をもとにもどすと、
ずいぶん前にこんな本を買っていて……

自分で作る小さな本 (単行本)
田中 淑恵 (著)
出版社: 文化出版局 (2002/04)
ISBN-10: 4579208080

この本の中に手持ちの文庫本を愛蔵版……
ハードカバーに仕立てるやり方がのっていて、
それをやってみた、というわけである。

テスト明けの平日、
帰り道にあるユザワヤ によってみたら、
文房具売り場の片隅に製本コーナーというのがあって、
そこに製本キットという便利なセットがあって材料は一発でそろった(500円)。
これに加えてレザークラフト用のハトメ(300円)と、見返し用の紙(52円)と、
製本用のヘラ(700円)、寒冷紗を1m(305円)買った。

どういうわけかヘラのような一見、
ツマラナイものが一番高かったりする。
ヘラは、製本キットと同じ、
製本工房リーブル というところの商品で、
うん、確かに使いやすい。
やってみればわかると思うが、
これ、ケッコウ大事な道具だったりする。
多少高くてもまあ、しょうがないか。

製本キットには簡単な、作りかたの説明書もついていて、
上記の本とほぼ同じことが書いてある。
だから製本キットさえあれば、
こと文庫本のハードカバー化にかぎっていえば、
上の本は必要ないかもしれない。

この場合は、本をつくるといっても、
綴じは元の本のものをそのまま生かして、
要は、装丁しなおすわけだが、
もとの本には、あらかじめ買ってあった、
岩波の「易経」を使った。

この本、文庫本だから小さくて持ち運びに便利なのはいいが、
2分冊になっているところが気に食わなくて、
これを1冊にしたててやろうと思ったのがそもそもの動機。

まず、表の厚紙をべりべりとはがし、
著者には申し訳ないが、アタマの「解説」や、
岩波には申し訳ないが、奥付や最新刊の宣伝なども、
べりべりとひっちゃぶいて必要なところだけをまとめたのがこれ。
いわば勝手にアレンジしちゃっているのである。

上経の目次+下経の目次+経文+繋辞伝、説卦伝、序卦伝、雑卦伝、
という構成。
繋辞伝以下は削ってしまおうかとも思ったが結局残した。

しかし、この時点で横の幅が上経と下経で1ミリほど合わない。
この手の本ってぴったり同じ大きさじゃなかったりするんだ~
などと思いながら、買ってきた寒冷紗を短冊状に切って、
ぺたぺたボンドではりつけて背をツライチにする。


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しかし1969年が初版で、2007年には第50刷とある。
ほぼ、ぼくが生まれた年にリリースされて、
いまだに版を重ねるすごい本なのである。


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両側に見返しをつけて……


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上下に花ぎれをつけて、
見返しごとキットに付属していた裏打ち寒冷紗で背をくるむ。
しおりの紐は……ほぼ日手帳のものを外してくっつけた。
(2本も。ゼイタクだな~)


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カットしたボールをクロスでくるむ。
材料は全部キットについている。
裏表紙にハトメでアナをあけてある。
……さてなんでしょう。


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できあがた表紙で本文をくるんで……


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見返しを表紙になじませると……
やっと本らしくなった。

毎日ちょっとずつチマチマと作業を進めた。
年をとると集中力が落ちて、
一気呵成にモノゴトをすすめられないのである。


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裏表紙にあけた謎のアナには…


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「トラベラーズノート」のゴムひもをつけて、できあがり。
このゴムひもの径はだいたい1.5mmφ。
で、3mmφのハトメで穴をあけたわけで……

「トラベラーズノート」 と同様にゴムひもでしばれば、
カバンのなかでもばらけない。
「トラベラーズノート」のリペア用キットには、
何色か同じゴムひもがついていて、切れたりのびたり、
または色を変えたくなったらここから選べるようにした。

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裏表紙に穴をあけて、ゴムひもを通すやり方も、
そのままトラベラーズノートのつくりをパクった。

普通はこのあとに最後の仕上げとして、
もとの本のカバー絵などを切り抜いて、
あるいはまた、パソコンなどで自分でつくったタイトルを、
表紙や背に貼ったりする。

アルファベットのスタンプを買ってきて、金文字を押してやろうとか、
カバーの太極図の絵のところだけ切り抜いて貼ってみようとか、
はたまた、表紙の裏にモールスキンのようなモノ入れをつけてみようとか、
いろいろ考えたが、結局……

なにもしなかった。
当て紙して、レインガード吹いただけで。


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タイトルもなければなんにもない。
ただの茶色い布張りの本だ。
いろいろ考えたが、べつになにもしないほうが、
シンプルでいいんじゃないか、と、
最後には思ったわけで……

易経は別名「変化の書」ともいう。
してみれば、固定したタイトルはいらない、
という考えも成り立つわけで……

タイトルは開くそのたびに変化する。
日に十二回色を変える伝説のトカゲみたいに。