眠れない夜を過ごした翌日は、朝から会場設営のお手伝い。
札幌や近郊の都市を始め全国各地から鎮魂祭の手伝いに続々とやってくる。
会場はすべてアト゜イの設計で、みんなで作り上げているのだ。

夕方からリハーサルの予定だったが、準備が押しに押し、そして流れた。
マジか~![]()
そもそも、どこに立ってどう振舞えばいいのか分からない。
リハーサルは、本番当日の数時間前となった。
しかも出だしのみ。
アト゜イから、
「このリハは、今回初めて入る踊り手と、語りのデビューのためにやる」
と檄が飛ぶ。
教えられたタイミングで、「エチ・イランカラプテー」と語り始めると、
しばらくしてストップがかかった。
「最初が人間の声になって、そこだけ浮いている!」
はあ~やっぱりアイヌ語ができない~![]()
リハが終わって傍に呼ばれた。
「非連続の連続なんだ、わかるか。」
「絶滅種に申し訳ないことをした、その申し訳ない気持ちを表現するんだ。」
「自分の魂に語り掛けるんだ。自分の魂を喜ばせろ!」
自分のできなさ加減に、思わず涙ぐむ。
すると、「お前は大丈夫だ」と頭をポンポン![]()
それから、本番まで一人ぶつぶつ練習した。
「エチ・イランカラプテー」
喉を閉めないよう、言葉の意味を柔らかく音に乗せようとした。
また、自分に集中するため、他の演奏者の大音量のなかでわざと語った。
しかし、意識すればするほど、言葉が浮かんでこなかったり、
途中から始めようとするとわからなくなったりして、だんだん焦ってきた。
用意してもらった衣装を身につけ、化粧やマタンプシをつけてもらうと、
頭がくら~とした。
徐々に慣れてくると、今後はアドレナリンが全開。
目が開いてきた。
気が上がってくるのを感じた。
いつものIAM(間脳エネルギー活性メソッド)のライオンあくびをして、
自分の心の中のエネルギーをクリアリングをする。
自分のハートを意識すると、少しずつ落ち着いてきた。
下手に練習すると焦るからと練習をやめたものの、
だんだん順番が迫ってくると、途中で頭が真っ白になったらどうしよう、
言葉が出てこなかったらどうしよう。
またしても、そんな不安が押し寄せてくる。
そんなとき、アト゜イの指示で、急遽、出番が早まった。
階段を足早に駆け下り、舞台に向かう。
舞台袖で緊張している私に、語りの先輩、節子さんから励ましの言葉をかけてもらう。
リーダーの房恵さんからは、「私が横にいるんだから、大丈夫!!」
ふと舞台の上をちょぼちょぼ歩くカラスが目に入り、何気なく見ているうちに、
「ハートから次の言葉が出てくる。ハートを信じよう」と思えた。
なんとなく大丈夫な気になった。
曲が始まる前、板付けといって舞台後方の立ち位置についた。
シンセサイザーの音を聞きながら、一呼吸、遅れて入った。
「エチ・イランカラプテー」
うまくいったがどうかはわからない。
ただ、その先を続けた。
5行目あたりを語ったとき、違和感を覚えた。
「あれ、今、ろれつがまわらなかったか、言葉を間違えた?」
このまま進もうか、言い直そうか。
一瞬ちらりと考え、次の吸う息に合わせて、私は言い直した。
その後、頭が真っ白になることはなく、最後まで語り終えた。
そしてそのまま舞台からはけて袖に戻ると、腰がドーンと重くなった。
むちゃくちゃだるい。
随分と緊張していたんだ。
自分の役割は終わったから外に出て舞台を見ようとしたが、
なんとなくこの場にいたほうがよいと思い、舞台を見守った。
(次へ続く)