昨日は、母の病院の退院日であると同時に、リハビリ施設への入所の日となった。

2年前、母が骨折入院をした折、退院の日に着せる服をうっかり忘れた。
どうせ、下の駐車場までのことだから、パジャマに上着をひっかければいいじゃない、
と説得するががんとして受け付けない。

結局、服を取りに帰るはめになった。
どうやら、退院というのはそういうものだし、ちゃんとした格好で看護師さんたちに
きちんと挨拶をしたかったようだ。

今なら分かる。
「退院、おめでとうございます」と皆さんから言われるのに、パジャマ姿ではしまらない。


前回の轍を踏まないよう、今回は服を準備した。
面会ができず、どこまで覚醒状態にあるか分からないが、念のため。

看護師さんに、もし着れそうならと服を差し出すと、快く着替えさせてくださった。
下着は暑いからよいそうですよ、とのこと。
おお、そこまで意識はあったか。

眠そうにしていたが、話しかけると、ちゃんと反応があった。

昨日、差し入れの自家製ケーキと退院のための手紙を渡したところ、
看護師さんが読み上げてくださるのが聞こえていた。
大きな字で書いたが、自分では読めないんだなあとちょっと悲しかった。

看護師さんたちに病棟を送り出してもらい、福祉タクシーでまず銀行に向かう。
銀行員さんに事前に相談に乗ってもらい、母の意志を確認して手続きをしていただいた。
本当にありがたかった。

ここで、入所時刻まであと30分あった。

よし。
リハビリ施設までの途上にある、来月私が引っ越す家を母に見せることにした。
私が畑付きの家を購入することは、入院前の母に伝えていたが、まだ連れて行ったことがなかった。

リクライニングの車椅子を車の外に出し、桜やコブシなどの木や果樹、家の外観をほんの少しだけ見てもらった。
母は何も言葉を発しなかったが、目は動いていた。

もしかしたら、これが私の家を見る最後となるかもしれない。
しっかり見ておいてもらいたかった。



さて、自分なりの納得を得て、目的地のリハビリ施設へ。

担当の作業療法士さんはとても優しそうで、いろいろと気を配っていただいた。
事前に散髪の希望を出していたが、母にも聞いてくれた。

母は、目とともに首も頷く。
やはり散髪したいらしい。

私は、しばらく言い出すのをためらっていたが、
担当の方に、「髪の毛を染めることはできますか?」と聞いた。

89歳の母は、入院する前も髪の毛を染めたがっていた。
おしゃれさんなのだ。
4人部屋で家族以外の方と暮らすことになると、おそらく染めたいんじゃないかなと思った。

「お母さん、染めてもらうことができるかどうか分からないけど、染めたい?
 染めなくてもいいかな?」

了承を求めると、今度は頷かない。
ああ、やっぱり染めたいんだ。

「じゃあ、ちょっと確認をしてもらおうね」


母は、もともと自分の気持ちに正直な人だ。
そう分かったのも、Uターンして母の傍で暮らし始めてからだ。
家族のことにはとても我慢強い人だったが、まだまだ私の知らない母がいる。

母の好きなものは何かと聞かれて、私が
「母は、前は合唱もやっていて、歌うのが好きなんです。
 家で一緒にシャワーをするときに、よく二人で歌ったんです」

というと、母はニッコリ笑う。
その笑顔がなんともかわいい。

看護師さんにも、
「最近は笑顔が出るようになって、この笑顔を家族さんにも見せたいねえと
 先生と言っていたんです」
とおっしゃっていただいていた。

もともときれいな肌をしている人だったが、ニコッと笑うとまるで童女のようだ。
こちらも思わず笑顔になる。

だんだん子どもに近づいていっているんだなあと思った。


二か月前の誕生日は、普通にしゃべり、デイサービスにも通っていた。
急にこんなふうになるんだ。

私が引っ越しや学びの日々で忙しくなる直前に、病院や施設にお世話になることとなった。
まるで、計ったかのようなタイミング。

そういえば、亡くなった兄の33回忌を終える前後で、急激に身体が衰えた。


以前、私は母との縁が深いと言ってくださった方がいた。
その話を母にしたら、母は「あら、お父さんとかと思っていたわ」と言った。

お父さんもそうかもしれないけど、お母さん、私はご縁が深いからあなたの子どもなんですよ。
生んでくれてありがとうね。

 

🌿自然療法シェルハ🌿
隠れ家サロンで、IAM(間脳エネルギー活性法)、ライオンあくびクラスを開催しています✨
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