「痛かったね、かわいそうな体験させてごめんね。本当なら警察につき出してやりたいよあいつら。でも、警察呼んじゃったら、あなたもお家に返されちゃうものね...」
キズの手当てを終えて私の両手を両手で優しく握りながらなぜかママが謝った。
「どうしてママがあやまるの?」
「あんな男が自分の男だから」とママはうつむいて呟いた。
ママもなにかひどいことされてるのかもしれない。何か言ってあげたかったけど、それに該当する言葉が見つからなかった。
こんなとき掲示板のお悩み相談とかなら、そんな男とは別れた方がいいとか当たり前のアンサーが飛び交うのだろうけれど。
ママと彼氏のこれまでの歴史やこれまでの生活を私は知らないし、別れられるならとっくに別れているだろう。
きっと別れられない理由があるんだろうと思ったら、何も言えなくなってしまった。
言葉が浮かばず私が黙っているとママが「やっぱり、あなたをこんなところに長居させたらいけないね。何か良い方法を考えなくっちゃね」
って言った。
何か良い方法を...?
私はまた両親の元に返されるのかな。
それだけは嫌だった。
でも、確かにここにも身の危険があるならば私は居るべきでは無いだろう。
「お家にはどうしても帰りたくないの?こんなことがあって怖い思いしたじゃない?それでもお家にはどうしても帰りたくないのかな?」
ママが作ってくれた焼きそばを一緒に食べながら私に問いかけてきた。
「...はい...帰りたく無いです。」
私は答えた。
「そっかぁ~...うん、わかった」
美味しい焼きそばだけど、噛む度に切れた唇がピリピリと痛かった。
良い方法ってあるのかな?
私自身なんでこんな体験をしたのに家へ帰りたくないのか考えたてみた。
私はどうしたいんだろう。
私はどうありたいんだろう。
学校のいじめ問題が解決出来れば帰れる?
もうK先生のことは忘れてしまえばいい?
両親が悪いわけでは無い、両親を信じてありのままの出来事を話すべき?
等々考えたけれど、答えはNOだった。
つまり今の私は
あの街には居たくない。
自分を知っている人には会いたくない。
これが結論だった。
*後にカウンセリングを受けた時に私のこの考えはプライドの高さから形成される自己防衛みたいなものらしいことがわかった。これから大人になって色々な経験を積むうちに緩和されるって言われた。そこは今もまだ治療中💧
私のケガが治るまで仕事はしなくていいから、部屋から出なくていいから、ってママが言ってくれた。
この間もママが彼氏には絶対にマンションに来ないように配慮してくれて「来たら警察に突き出すからね!」と彼氏に脅しをかけてくれていた。
5日目くらいにはケガは治り、アザもほんのちょっとだけになっていた。
「完治だ!完治だ!」とママに報告すると
ママは「おお!若いから早いね~!良かった良かった!」と喜んでくれた。
「よし!美人な顔も取り戻せたし、今日は外食でもしようか!」とママが外食へ誘ってくれた。
近くのファミレスだったけど「遠慮は無用よ!今日は男に対するストレスの解消だと思って好きなものを食べなさい!ライスなんか頼まないで色々な美味しいものをつまもうよ!」と言われて
ストレスを解消するべく私は本当に食べたいものを色々頼んだ。
ミルクティー、ハンバーグ、ピザ、ケーキ、フルーツパフェ。
それから二人で「デブになろうぜ~!」なんて言いながら大笑いしてたくさん食べた。
最後のデザートのフルーツパフェを「別腹!別腹!」なんて言って頬張っている時にママが一枚の名刺サイズのカードを私に差し出してきた。
そのカードには
自立支援アーリア
人生をもう一度やり直したいと思った時!
お電話ください
と書かれていてフリーダイヤルの電話番号が記載されていた。
「何ですか?これ?」とママの顔を覗きこんだ。
「私にも良くわからないんだけどお金が無くて住むところが無い人のための実家の代わりをしてくれる場所らしいの。あなたにどうかな?と思って...うちにいるよりは安全なんじゃないかな」と説明された。
カードの両面に印刷された文を読むと実に今の私には助けとなる言葉が並んでいて、ふさわしい場所の様な気がした。
でもホテルもネットカフェも断られた私には不安しか無かった。
「私の年齢でも利用できるんでしょうか?」
「わからない。利用出来たらいいよね。でもそこは弁護士さんもいるみたいだから、そういうことも含めて相談できるんじゃないかな?」
「弁護士さんは私を家へ連れ戻したりするんじゃないかな?」
「わからないけど、そしたらまた家出しちゃえ!」
ってママが笑った。
私もつられて笑った。
「とりあえず電話して聞いてごらん」
「はい」
携帯からフリーダイヤルの電話番号を押してみた。
電話には女性が出てくれた。
男性じゃなくてちょっと安心した。
私「カードを見て電話しました」
受「緊急ですか?」
私「緊急とは?」
受「今すぐ助けに伺った方が良いですか?」
私「来てもらえるんですか?」
受「今夜泊まるところも食事もなくてご不自由でしたらお迎えに伺います。」
食事..今たらふく食ったところだった。
私「.....とりあえずお話が聞きたいです」
受「ご相談でしたらご相談受け付けダイヤルへお掛け直しいただけますか?」
カードを良く見たら相談受け付けダイヤルが記載されていた。
私「わかりましたかけ直します」
もう一度かけ直した。
私「お話が聞きたいです」
受「はい、何でもご相談ください。いかがされましたか?」
受け付けのお姉さんはとても丁寧だった。
私「今、私16才で家出をしてしまいまして。住むところがありません。助けられますか?」
受「16才以上でしたらご利用可能です」
受け入れてもらえることにびっくりした。
私「助けに来てください」
そう言ったら涙がこぼれてた。
受「お迎え場所の住所と電話番号を教えて下さい」
私「ママのマンションの住所と自分の携帯番号を伝えた」
受「その場所ですと少しお時間をいただきますがよろしいですか?」
私「どれくらいですか?」
受「お迎えの時間は3時間後です」
私「お願いします」
電話を切った。
「利用出来るみたい」と微笑んだ私にママが抱きついてきた。
「良かったね!」
ママのマンションに戻って新しい旅立ちの準備をした。
キズの手当てを終えて私の両手を両手で優しく握りながらなぜかママが謝った。
「どうしてママがあやまるの?」
「あんな男が自分の男だから」とママはうつむいて呟いた。
ママもなにかひどいことされてるのかもしれない。何か言ってあげたかったけど、それに該当する言葉が見つからなかった。
こんなとき掲示板のお悩み相談とかなら、そんな男とは別れた方がいいとか当たり前のアンサーが飛び交うのだろうけれど。
ママと彼氏のこれまでの歴史やこれまでの生活を私は知らないし、別れられるならとっくに別れているだろう。
きっと別れられない理由があるんだろうと思ったら、何も言えなくなってしまった。
言葉が浮かばず私が黙っているとママが「やっぱり、あなたをこんなところに長居させたらいけないね。何か良い方法を考えなくっちゃね」
って言った。
何か良い方法を...?
私はまた両親の元に返されるのかな。
それだけは嫌だった。
でも、確かにここにも身の危険があるならば私は居るべきでは無いだろう。
「お家にはどうしても帰りたくないの?こんなことがあって怖い思いしたじゃない?それでもお家にはどうしても帰りたくないのかな?」
ママが作ってくれた焼きそばを一緒に食べながら私に問いかけてきた。
「...はい...帰りたく無いです。」
私は答えた。
「そっかぁ~...うん、わかった」
美味しい焼きそばだけど、噛む度に切れた唇がピリピリと痛かった。
良い方法ってあるのかな?
私自身なんでこんな体験をしたのに家へ帰りたくないのか考えたてみた。
私はどうしたいんだろう。
私はどうありたいんだろう。
学校のいじめ問題が解決出来れば帰れる?
もうK先生のことは忘れてしまえばいい?
両親が悪いわけでは無い、両親を信じてありのままの出来事を話すべき?
等々考えたけれど、答えはNOだった。
つまり今の私は
あの街には居たくない。
自分を知っている人には会いたくない。
これが結論だった。
*後にカウンセリングを受けた時に私のこの考えはプライドの高さから形成される自己防衛みたいなものらしいことがわかった。これから大人になって色々な経験を積むうちに緩和されるって言われた。そこは今もまだ治療中💧
私のケガが治るまで仕事はしなくていいから、部屋から出なくていいから、ってママが言ってくれた。
この間もママが彼氏には絶対にマンションに来ないように配慮してくれて「来たら警察に突き出すからね!」と彼氏に脅しをかけてくれていた。
5日目くらいにはケガは治り、アザもほんのちょっとだけになっていた。
「完治だ!完治だ!」とママに報告すると
ママは「おお!若いから早いね~!良かった良かった!」と喜んでくれた。
「よし!美人な顔も取り戻せたし、今日は外食でもしようか!」とママが外食へ誘ってくれた。
近くのファミレスだったけど「遠慮は無用よ!今日は男に対するストレスの解消だと思って好きなものを食べなさい!ライスなんか頼まないで色々な美味しいものをつまもうよ!」と言われて
ストレスを解消するべく私は本当に食べたいものを色々頼んだ。
ミルクティー、ハンバーグ、ピザ、ケーキ、フルーツパフェ。
それから二人で「デブになろうぜ~!」なんて言いながら大笑いしてたくさん食べた。
最後のデザートのフルーツパフェを「別腹!別腹!」なんて言って頬張っている時にママが一枚の名刺サイズのカードを私に差し出してきた。
そのカードには
自立支援アーリア
人生をもう一度やり直したいと思った時!
お電話ください
と書かれていてフリーダイヤルの電話番号が記載されていた。
「何ですか?これ?」とママの顔を覗きこんだ。
「私にも良くわからないんだけどお金が無くて住むところが無い人のための実家の代わりをしてくれる場所らしいの。あなたにどうかな?と思って...うちにいるよりは安全なんじゃないかな」と説明された。
カードの両面に印刷された文を読むと実に今の私には助けとなる言葉が並んでいて、ふさわしい場所の様な気がした。
でもホテルもネットカフェも断られた私には不安しか無かった。
「私の年齢でも利用できるんでしょうか?」
「わからない。利用出来たらいいよね。でもそこは弁護士さんもいるみたいだから、そういうことも含めて相談できるんじゃないかな?」
「弁護士さんは私を家へ連れ戻したりするんじゃないかな?」
「わからないけど、そしたらまた家出しちゃえ!」
ってママが笑った。
私もつられて笑った。
「とりあえず電話して聞いてごらん」
「はい」
携帯からフリーダイヤルの電話番号を押してみた。
電話には女性が出てくれた。
男性じゃなくてちょっと安心した。
私「カードを見て電話しました」
受「緊急ですか?」
私「緊急とは?」
受「今すぐ助けに伺った方が良いですか?」
私「来てもらえるんですか?」
受「今夜泊まるところも食事もなくてご不自由でしたらお迎えに伺います。」
食事..今たらふく食ったところだった。
私「.....とりあえずお話が聞きたいです」
受「ご相談でしたらご相談受け付けダイヤルへお掛け直しいただけますか?」
カードを良く見たら相談受け付けダイヤルが記載されていた。
私「わかりましたかけ直します」
もう一度かけ直した。
私「お話が聞きたいです」
受「はい、何でもご相談ください。いかがされましたか?」
受け付けのお姉さんはとても丁寧だった。
私「今、私16才で家出をしてしまいまして。住むところがありません。助けられますか?」
受「16才以上でしたらご利用可能です」
受け入れてもらえることにびっくりした。
私「助けに来てください」
そう言ったら涙がこぼれてた。
受「お迎え場所の住所と電話番号を教えて下さい」
私「ママのマンションの住所と自分の携帯番号を伝えた」
受「その場所ですと少しお時間をいただきますがよろしいですか?」
私「どれくらいですか?」
受「お迎えの時間は3時間後です」
私「お願いします」
電話を切った。
「利用出来るみたい」と微笑んだ私にママが抱きついてきた。
「良かったね!」
ママのマンションに戻って新しい旅立ちの準備をした。