みなさんおはようございます。中浦和(さいたま市南区鹿手袋)の歯医者 いちかわ歯科院長の市川です。

 

近頃はすっかり秋の陽気となりました。この時期の心配事といえば、台風ですよね。台風は7月から10月にかけて増え、甚大な気象災害をもたらすおそれもある熱帯低気圧です。この台風が、私たちの身体にも影響を及ぼすのをご存じでしょうか?

 

 

●歯周病とは

私たちの口の中には数えきれないほどの数の細菌が棲みついていますが、そのうちの歯周病を引き起こす細菌によって歯ぐきをはじめとする歯周組織に炎症が生じる病気を「歯周病」といいます。30代以上の約8割が罹患しているともいわれており、歯ぐきが腫れて出血する、歯を支えている骨が溶けていずれ歯が抜けてしまうといった症状がみられます。

 

●台風と歯周病の関係

岡山大学が2015年に慢性歯周炎患者のべ2万人に対して行った研究によると、「台風により気温や気圧が急激に下がった場合、その1~3日後に歯周炎・歯周病による歯ぐきの腫れや痛みが強くなる」という内容が報告されています。詳細なメカニズムはまだ明らかにされていませんが、気温や気圧の変化が人間の体内のホルモン分泌や循環器系に影響を及ぼし、それが慢性歯周炎の急性期の発生に関与している可能性が示唆されたとのことです。台風がきてから歯ぐきに症状が出るまでに1~3日と時間差があるのは、気圧の低下がホルモンの分泌に影響を与えて歯周病原菌の増殖を促してから、歯周病原菌が歯周ポケットの中で繁殖して炎症反応を引き起こすためであると考えられています。そのため、これまでは特に目立った症状がみられなかったとしても、台風の上陸後に歯ぐきがうずくような違和感を生じる可能性もゼロではないのです。

 

 

●歯周病以外にもある、台風によって影響が出る疾患

同じく岡山大学の研究によると、気象の変化によって症状が悪化するのは歯周病だけではないと報告されています。顎関節症のような顎顔面領域の疾患や、血圧や心筋梗塞、脳卒中、喘息、うつ病、関節リウマチ、頭痛といった全身疾患まで様々です。

 

●台風が接近してきたらどうすればよい?

いざ台風が発生し、日本に接近してきた場合はどうすればよいのでしょうか。やはり基本となるのは、いつ台風が来てもよいように日頃からお口の中を清潔に保ち、良い環境を整えるということです。自分は歯周病ではないと思っていても、それは自覚症状がなく気づいていないだけかもしれません。毎日のご自宅での歯磨きやセルフケアを丁寧に行うのはもちろんのこと、定期的に歯科医院で検診やクリーニングを受け、歯周病の予防・治療を欠かさないようにしましょう。

 

●まとめ

台風から身を守るためには、非常用品の確認、室内の安全対策などを日頃から怠らないことが大切です。同様に、身体に起こる変化も最小限に抑えられるよう、日頃から歯周病をはじめとする病気を予防し、罹患した場合は早期に治療する意識づけを徹底しましょう。