本日はコンサート評です。

 

 

2024.6.9 (日)、「石田組 結成10周年ツアー」、香川県県民ホール小ホール、全席指定前売り 6600円(税込み)、13時半開場、14時開演。

 

それでは石田組に関して簡単にプロフィールを。

 

組長、石田泰尚、神奈川県出身、国立音大首席卒業、ヴァイオリニスト。

2001年神奈川フィル・ソロ・コンサートマスター。

2020年4月、京都市交響楽団特別客演コンサートマスター。

その石田泰尚の呼びかけにより2014年に結成されたのが弦楽合奏団石田組。

プログラムによって様々な編成で演奏をするスタイルを取っており、メンバーは石田組長が信頼を置いている第一線で活躍するオーケストラメンバーを中心に公演ごとに組員として招集される。

だから曲目もメンバーも毎回違うのだそう。

 

13時半過ぎ会場入り。

すでに多くの人で賑わっている。

 

しかし写真などでみる組長石田さんの恰好がすごい。

髪型といい服といい、まるでヤクザそのもの。

なんで、メンバーが皆ヤクザみたいな恰好をしてクラシックを演奏するのかと思っていたのだが、ネットなどで調べてみるとヤーさんっぽい恰好をしているのは石田さんだけであとの人は普通の黒い服装でやっているようだ。

今日はどうなんだろう。

 

とにかく最初はその奇抜ないでたちばかりが目を引くのだが、肝腎の演奏の方はかなりの実力派らしい。

そういう意味でも今日は実に楽しみだ。

 

席は2階前列中央。

今回はチケットを取るのが遅かったので2階席しか残ってなかったのである。

しかし会場は県民ホール小ホールでキャパは800人くらいだから、ここでも十分な良席と言えると思う。

まあなんにせよありがたい限り。

 

14時5分過ぎ開演。

まず最初の曲はモーツァルトの弦楽四重奏曲、「ディヴェルティメントヘ長調、K.138」。

出だしからいい音が響いている。

芳醇な香り高い音。

モーツアルトらしい軽やかな迷宮と呼びたくなるような小味の効いた楽曲。

 

石田さんのバイオリンはよく通る音。

次の曲でもそうだったがソロになると、とりわけよく響く。

ソロパートなんかでよくある背景の音に埋没というのが全くない。

特に高音域でよく響く。

 

また、こなれた音の四重奏の連携とバランスは完璧で、やはり噂にたがわぬ実力派だなと。

三楽章から成る楽曲でした。

 

次はメンデルスゾーン「弦楽八重奏曲 変ホ長調 op.20」。

こちらは先のモーツアルトの小品と違って長尺の大曲。

四楽章形式。

 

なんせ8人でやっているわわけだから音が分厚い。

で、演奏をやっている内にだんだんと興が乗ってくるわけだが、最後の方などはオーケストラでやってるのかというような凄い音が出ていた。

かと思うと曲の前半では、いい意味でバラけたような音が弾ける感覚もあったりして。

 

20分の休憩後、後半へ。

前半はクラシック、後半は映画音楽とハードロックという構成。

 

後半最初は映画音楽から。

1曲目から3曲目まで。

「バックトゥザフューチャー」、「ニューシネマパラダイス」、「荒野の七人」。

 

弦楽の人はバイトやなんかでこういうのには度々呼ばれていて慣れているのだろう。

映画音楽にストリングアレンジは付き物だし。

流れるようなメロディーに、全体できちっと締まるリズムと合奏の妙。

 

ニューシネマパラダイスの明るい静謐感、荒野の七人のワクワクする感覚。

上質の映画音楽が楽しめる構成。

 

後半戦は、ハードロック。

ロックのリズムをストリングスだけで再現するのはかなり難しいと思うのだが、低音部のチェロやヴィオラの頑張りで、地を這うようなグランドビートが見事に再現されていた。

そこに乗っかっていく主旋律を奏でる石田さんのバイオリンが激しく狂いだす。

もう誰も止められないハードロック天国。

 

「悲しみのアンジー」、ローリングストーンズ、「天国への階段」、レッドツェッペリン、「スターゲイザー」、レインボー、「紫の炎」、ディープパープル。

 

特に二曲目の天国への階段、ツェッペリンは筆者も昔よく聞き込んだ曲。

序盤の静謐なメロディーから中盤の複雑な展開へ。

それら全てを含めて完コピである。

特に主旋律を奏でるバイオリンを聴いているとあのロバートプラントの甲高い声が聞こえてくるよう。

間奏ではジミーペイジのテクニカルなギターソロで聞こえてくるようで。

感慨無量。

 

最後の二曲、スターゲイザーと紫の炎は筆者にとってあまり馴染みのない曲だったが、その迫力には圧倒された。

まあ二曲とも凄い音が出てたね。

 

アンコールは三曲。

静かな映画音楽がまず最初に。

それから激しいハードロックの曲が一曲。

最後はロックバンド「オアシス」の超有名な代表曲を。

 

で、舞台袖に引っ込んでから出てくる度に組長さんのTシャツが着替えられていて、そのTシャツには「模範囚」とか、他にも色んな洒落の効いたプリントがされてあってそれも面白かった。

なんとアンコールの時、組長さんは靴を脱いで裸足で舞台に出てきていた。

最後の曲になるとメンバー全員も裸足になっていて。

なんか気持ちよさそう。

 

アンコール最後の曲が終わると会場は総立ちに。

ちなみにこの日は満席だったそうで。

疾風怒涛、圧巻の二時間半。

来て絶対に損はありません。

ありがとう。

 

 

最高の音楽を提供してくれた石田泰尚さん、石田組組員の皆さんに感謝。

その音楽を舞台で提供してくれた香川県県民ホールさんに感謝。

その他、関係者の皆さん方に感謝。

そして今日も最後まで読んでくれたあなたにありがとう。