令6年1月21日(日)。
久しぶりに一鶴の骨付き鳥を食べたいと思ったのだが、かねてより筆者行きつけの土器店は最近、開店前の行列が凄まじい。
ちょっと引くくらい人が並んでいるのである。
明らかにオーバーツーリズム気味で、地元の人間が日曜日の楽しみにぶらっと立ち寄れる場所じゃなくなってきている。
そこで比較的空いていると思われる丸亀駅前店に行ってみることに。
まあでもどうだろうねえ、入れるかどうか。
ここも最近は客が多いのだ。
しかし実は一鶴はこの駅前の店が本店。
元々は車通勤が一般的になる前に駅前で会社帰りのサラリーマンが一杯やるところだったのだろう。
ということでもあり、この駅前本店の弱点は駐車場がないことである。
そういう点で県外から来る人には今一つ不人気なのだろう。
しかし地元の人間ならではの裏技をここで公開しちゃおう。
ほんとはあまり言いたくないのだが。
実はこの一鶴駅前店から徒歩一分の好立地に一時間無料で車をとめれる福島駐車場というのがあるのだ。
以前はオールタイム有料だったこの駐車場。
車社会になった地方都市の宿命で、郊外にある巨大な無料駐車場を備えたショッピングモールとの競争に敗れ、すっかり寂れてきた中心市街部活性化のため苦肉の策で一時間無料にしたのである。
大体、食べてすぐ出てくるんなら一時間もあれば十分だろう。
ちなみに一時間以降は30分100円である。
まあ駐車代が多少かかっても100円、200円の世界だ。
後、福島駐車場はどうだったか忘れたのだが、駅前にある地下中央駐車場なら猪熊美術館の西側にある市立図書館に行けばもう一時間タダになるのである。
図書館の受付にある機械に駐車券を通せば、追加で一時間無料になるのである。
要するに二時間無料ということ。
余談だが、この一鶴と目と鼻の先にある焼き肉屋「まんぷく」さんというところではランチを安く食べることができる。
焼肉ランチ950円、ホルモンや鶏肉、豚肉ランチなら、なんと650円という安さ。
一鶴の行列がかなわんなという人や、並んで待たされてまで入りたくないという人ならここを訪れるのも一興かと思う。
ただ、店内はそんなに広くないし、地元のおっちゃんが日曜の昼間、ビール片手にチビチビやりながら至福の時間を過ごされているような店なので、あまり大人数でドカドカ訪れるのは避けたいところ。
あくまで粋に控えめに訪れたいものだ。
さて筆者は今日、一鶴にありつけるのだろうか。
開店10分前くらいに行くとすでに4、5人並んでいる。
まあまあ上出来だろう。
この感じなら余裕だ。
店の前で少し行列に並んでから開店を待つ。
その間にも行列は増えていく。
が、土器店ほどではない。
開店、即カウンターに通される。
お客さんは多いけど満席ではない。
開店11時までにくれば余裕で座れる。
やっぱりここは穴場みたい。
早速注文。
サラダとおにぎりとひな鳥。
全部で1800円くらいか。
まずサラダから出てくる。
ここのサラダが筆者の好物で。
ドレッシングが中まで均一にかかっていて旨いのだ。
レタスのような葉物野菜だけがたっぷりと、そしてその上にちょこんとベーコンのスライスがのっている。
鶏肉も楽しみだがこのサラダも楽しみの一つである。
しばらくするとメインの骨付き鳥が運ばれてくる。
まずは一口。
コレだよ、これ。
ガツンとくる旨味と辛味、まさに男の好む味。
非常にビールと合う味なんです。
この日は車で来てるので飲まなかったんですが。
まあしかしホントは、これを片手にジョッキをグイッとやればもう最高なんでしょうな。
そして〆のおにぎり。
鳥を食べ終わった後の油をたっぷりと付けて食べる。
コツは下品じゃないかと思うくらいたっぷりと油を付けること。
カッコつけて、少しだけ油を絡ませる程度にすると美味しさは半減する。
地元丸亀を代表する昼メシ。
ごちそうさまでした。
その後は、猪熊美術館へ行く。
駐車場も福島駐車場を出て駅前の地下駐車場へ。
この駐車場、先に紹介した通り図書館利用でも二時間無料になるが美術館利用でも同じように二時間無料となる。
美術館でも受け付けのところにある機械に駐車券を通すのである。
そうすると元々の一時間無料に加え、もう一時間追加で無料となる。
図書館に入るのにお金はいらないが、美術館の方は入場料を払わないと入れないので注意。
現在開催中の企画展「回復する」展を見る。
一般950円、筆者はJAF割引で760円で入れた。
回復する展とは、コロナ禍で傷んだ世界の回復を芸術を通して考える展示ということらしい。
面白かったのは、兼子裕代さんという方の撮られた写真。
アメリカの犯罪者及び犯罪被害者の更生施設の写真で、その舞台である農園に自ら乗り込んで共に暮らしながら撮影をされたそう。
中判フィルムで撮られたという写真は技術的には難しいことはほとんどなされてない。
だがとてもいい写真なのだ。
ただ被写体に自然体で寄り添っているだけ(のように見える)写真なのだが。
やはり写真というのは、これでどうだという力技的に突出したものを表現するやり方というのも一方では根強くあるものだが、もう一方では写真機本来の目的の一つであった「記録」に徹した時、思わぬ力を発揮するようもののようでもある。
この兼子さんの写真がまさにそれ。
特別なことは何一つ写ってないのに、どれもいい写真ばかりなのである。
それと近いけれど対照的だったのは畠山直哉さんの写真。
畠山さんの写真はアカデミックな意味におけるいわゆる「上手い写真」。
ただ、こちらも被写体に限って言えば特別なものは何一つなくありふれたものばかり。
が、そのありふれた被写体が高精細なきめ細かい発色のいいプリントで表現されている。
すると具象を撮っているにも関わらず、まるで抽象画を見せられているような錯覚に陥ってくる。
これは撮り方にも秘密があるのかも。
例えば構図の作り方とか。
先の兼子裕代さんの撮られたポートレートの作品は、企画展冒頭に飾られてある猪熊さんの「顔」の絵とテーマ的に繋がってもいる。
猪熊さんの「顔」は晩年の作品だが、人の顔が抽象的に描かれながらも、それでいて同じ顔が一つとしてないという得も言われぬ味わいを持った作品群である。
小金沢健人さんは、子どもたち相手にワークショップを行い、現代アートやシュールレアリスム的な手法を使って回復の意味を探っておられた。
多感な子供時代に「自然」から遠く離れたシュールの手法を使うことには多少の疑問が残るものの、そもそも人は何故、絵を描くのかといった根本的な問題をえぐっているところはなかなか面白いと思った。
その後は、美術館の喫茶でお茶。
ケーキセット880円。
以前は1000円を超えていたから、少し値を下げてきたみたいである。
その分、入りやすくなったと言えるだろう。
余談だが、ここのケーキはとても美味しい。
今回食べたチーズケーキも最高に美味しいのだが、この前食べたチョコレートケーキも抜群であった。
今日も、よく遊んだな。
それではこれにて終了。
お疲れ様でした。
美味しい骨付き鳥の一鶴さんに感謝。
安い駐車場の福島駐車場さん、丸亀駅地下駐車場さんに感謝。
最高の美術、猪熊美術館さんに感謝。
展覧会を彩る美術作家さんたちに感謝。
美味なるケーキのミュージアムカフェさんに感謝。
その他、この日お世話になった皆さん方に感謝。
そして今日も最後まで読んでくれたあなたにありがとう。