本日は今週、3月19日発売の一迅社文庫アイリスの新刊をお届けいたします
新刊は……
『転生令嬢は推しキャラのために…!!2』

著:森ノ宮 明 絵:柊酸
★STORY★
前世で愛読していた物語の中に転生した子爵令嬢セルディ。彼女は、非業の死を遂げる推しキャラ・近衛騎士隊長レオネルの死亡フラグを折るために前世の知識を披露していく。その結果、セルディは気づかないうちに物語の裏事情に巻き込まれはじめて――。
転生令嬢の推し活ラブファンタジー第2弾💖
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「セルディ、待たせた」
そして夜になって夕食の準備を終えた頃。レオネルとサイロン、更にはサーニア公爵夫人までもがセルディの部屋へとやってきた。
(どうりで皿の数が多いと思った!)
どうやらレオネルがセルディの部屋で一緒に食事をするという話を聞きつけ、夫人がついでに謝罪をしたいと申し出たらしい。
サイロンは夫人に引っ張られてきたのだろう。
渋々やってきたと顔に書いてあった。
公爵夫人を上座に、セルディとレオネルは隣同士に座った。サイロンはレオネルの対面だ。
「セルディ、今回の事は本当にごめんなさいね」
「えっ、いえ、そんな! こちらこそ私の問題で騒動が起きてしまったみたいで……」
薄い水色の綺麗なドレスを着た夫人に、申し訳なさそうに眉を下げながらそう言われてしまい、セルディは両手を顔の前で何度も振った。
「いや、もともとセルディをここに連れてきたのは、こういう騒動を懸念していたからだ。対応しきれなかったこちらに問題がある。兄上にも伝わっていると思っていたんだがな……」
「私は聞いていなかった」
申し訳なさそうな夫人とは違い、サイロンは相変わらず偉そうに見える。
そのサイロンの態度に夫人は眉を寄せた。
「聞かなかったの間違いでしょう? 私は話そうとしましたよ」
「そもそも母上がだまし討ちのような事をするからいけないのでしょう」
「あなたがさっさと結婚していればこんな面倒な事には……」
「母上、セルディの前で言い合うのはやめてください。兄上は謝る気がないなら出ていけ」
「……こちらの不手際であんな目に合わせた事を謝罪する」
レオネルにきっぱりと言い切られ、不貞腐れたように横を向いて言ったサイロンの頬には大きな痣が出来ている。
(あれって、もしかしてレオネル様に殴られたんだろうか……)
よくよく見れば唇も切れたような跡がある。
レオネルがセルディの代わりに思い切り殴ってくれたのだろう。
その事実だけで、セルディの溜飲がいくらか下がった。
確かにあの夕食会がなければあんな目には遭わなかったかもとは思うが、セルディはサイロンの事を非難するつもりはない。
悪いのは実行したブルノーだし、サイロンもわざとこんな事を起こした訳ではないだろう。
たかが夕食を一緒に食べたくらいであんな事が起きるなんて、誰も思っていなかったに違いない。
パールとセルディは初対面だったのだから、何かするにも時間が早すぎる。
それに、情報の伝達不足があった事は否めないが、あのまま実家に居たとしたら野外で襲われていたかもしれないのだ。
その可能性にブルリと寒気が走ったセルディは、嫌な気持ちを追い払うように顔を横に振った。
「今回の顛末を話す前に、まずは食べよう。セルディ、どれが食べたいんだ?」
「ふぇっ⁉」
夕食は時間を気にせず食べられるようにとすべての料理が大皿に並べられていた。
取り分けるのは使用人だと思っていたセルディは、予想外のレオネルの問いかけに固まる。
「これとかおすすめだぞ。脂がのっていて美味い。あとはコレと……」
あれとそれと、とたくさんの種類を皿に盛られるのを、セルディは戸惑いながら見つめる事しか出来ない。
「あ、あの、レオネル様! もう、もう一杯です! そんなに食べられません!」
さすがにそれ以上は無理だと止めると、レオネルは「そうか?」と言いながらセルディの前に皿を置いてくれた。
小山のうちに止められた事に、セルディはホッとする。
「そんなに気に入っていたのなら最初から手紙に書けばよかったでしょう」
一度口元をナプキンで拭ってから、夫人がそう切り出した。
レオネルは自分の皿に好きな食材を乗せながら、苦々しげな口調で返す。
「……だからといってまさか兄上に紹介するとは思いませんでしたよ」
「私はこの街が発展するならどちらでもよかったんですもの」
顔を横にツンと逸らして言う夫人は、さっきの拗ねたサイロンとそっくりだ。
「はぁ……、母上も少しは自重して下さい。兄上はあなたに似て頑固なんですから、決められた結婚に従う訳がないでしょう」
「それとこれとは話が別です。サイロン、早く結婚して跡継ぎを作りなさい」
「母上がもう一人お作りになればよろしいのでは?」
話を振られたサイロンはレオネルと同じように苦々しげに言い返す。
「出来る事ならそうしたいところですけれど、子供は一人では作れないのですよ」
「二人とも……、子供の前でやめてください……」
「……だからここにはあまり帰ってきたくないんだ」
使用人が注いだワインを飲み干し、サイロンが呟く。
セルディは三人のやり取りを見て、なんだかダムド家の親子関係がわかってきたような気がした。
(サイロン様は母親似で、レオネル様はきっと父親似よね。それで、サイロン様はサーニア様に同族嫌悪のような感情を抱いてるって感じかしら……)
あまり顔を合わせたくないサイロンはたびたび視察に出かけ、ダムド領はサーニア夫人がほぼ一人で切り盛りをしてきたのだろう。
そんな二人の間を取り持てるレオネルは王都に、父親は辺境地で睨みを利かせていて帰る事が出来ないでいる。そのため、家族間での情報共有が上手くいかなかったのだろう。
「セルディ、美味いか?」
黙々と食べていたセルディは、レオネルの言葉に慌てて頷いた。
「あ、はい! とっても美味しいです!」
「それはよかった」
こんなに甘い人だっただろうか。
ちらりと横目で見たレオネルは、頬を緩ませながらセルディが食べる様子を見ている。
見られているという事実がなんだかとても恥ずかしいが、セルディは食べるしかない。
(心臓に悪すぎる! 早く食べ終えよう!)
セルディは頑張って口を動かした。
~~~~~~~~(続きは本編へ)~~~~~~~~
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