ブログ開始当初から情報交換をさせていただいているターナー娘のお母さんに「ターナーについて思うこと」へのコメントを頂戴しました。

本当にたくさんのことを書いていただき、是非ターナー娘を妊娠中の方や育児されている方に読んで欲しいと思う内容です。

※文字数の都合によりリブログという形にしました。
2歳児母Mさん、長文コメントありがとう!






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【2歳児母M】


2歳5ヶ月のターナーの子の母親です。

娘に異常があるかもしれないと知ったのは、妊娠13週の超音波検査のときでした。検査師から、首の後ろと足の甲に厚みがある、でもまだ早い段階だから、20週の検査の時までには厚みがなくなっていることもある、様子を見ましょうと言われ、胸がざわざわしたのを憶えています。
そして、20週目の超音波検査で、首の後ろと足の甲のむくみは消えておらず、検査師は何も言いませんでしたが、何度も何度も心臓を細かく見ていました。その様子に、これは何かあると確信しました。
帰ってからネットで「胎児、首の後ろ、足の甲 むくみ 心臓」と検索し、性別もその時に女の子だと分かったので、ターナーがヒットしました。
その時点で、主人に、恐らくお腹の子はターナー症候群だと思うと伝え、それが何を意味するのかを話しました。

主人の反応は、どちらにせよ君は堕さないと決めているだろうし、正直、重度の知的障害がないのなら、育てていく上での大変さも何とか乗り越えていける範囲だと思うよ、という感じでした。




超音波検査の2週間後に、国立病院の心臓専門医との面会に呼ばれ、心室中隔欠損症と大動脈狭窄症についての説明を受けました。そして、場合によっては生まれてからすぐに心臓の手術をしなくてはならないかもしれないと説明を受けました。
その後に、助産師に別室に呼ばれ、お腹の子について話さなければならない事があると言われました。私たちは、助産師が「ターナー症候群という言葉を聞いたことがありますか?」と言った時に、そうだと予想していたこと、そして私たちが知っている範囲の知識を伝え、結果がどちらになっても中絶はしないので、流産の確率が上がる羊水検査はしないと伝えました。
助産師は、通常動揺して泣き崩れる親もいる宣告の場面で、私たちが既にターナーのことを調べて知っていて、産む決断もしていたことに拍子抜けしているようでした。

「宣告」の時に、私は泣きませんでした。
自分で調べてターナー症候群である可能性が高いと分かったときに、もう十分泣いたからです。




その後、出産までの間は、ターナーについて本も取り寄せ、よく調べました。不妊についての解決法がないかについても調べました。そして、娘がターナーの中でも妊娠率の上がるモザイク型であることをひたすら祈っていました。

予定日翌日に生まれた娘は、3280gの丈夫そうな子でした。すぐの心臓の手術が必要かどうかを決めるための経過観察のためにNICUに1週間入りました。
出産後すぐに引き離されてNICUに連れて行かれ、落ち着いた後にNICUへ行って初めてケーブルやチューブがあちこちについたまま眠る娘を見たときには、申し訳ない気持ちでいっぱいになり、暫くの間、ひたすらごめんねと言いながら娘を撫で涙を流しました。
幸い経過が良好だったので、手術はせずに退院することができました。
また、出産翌日には血液検査の結果が出て、女がフルターナーだと分かりました。羊水検査をしなかったので、ターナーではない可能性もゼロではなかったため「やっぱりそうか。」と気持ちが落ちたことは事実ですが、心の準備はできていました。




娘は生後4ヶ月になる前に心臓の開腹手術をしました。
腎臓も馬蹄腎で、両足の小指の爪は奇形です。
これだけの特徴をみると、ターナーの中でも重い方なのかもしれないと思ったりもします。

もちろん、私自身、みなさんと同じように「何で私?」という思いは何度もしていますし、今でもときどきふっと思うこともあります。ですが、時間が経つと共に衝動的な強い思いではなくなり、今は静かにふと思います。心の奥で、自分に起きた現実を受け入れ始めたのかもしれません。




私は日本ではない国に住んでいて、主人も日本人ではありません。そのことが、これからについては分かりませんが、今現在私が比較的平安な気持ちで暮らしていられる大きな要素であることは確かです。

娘は、主人が長身の為、ターナー2歳児の中ではかなり大きい方で、まだ成長ホルモンを打つ段階まで達していません。

また、私の住む国は多人種、多民族国家なので、『人と違う』ということに日本より寛容な空気があります。みんなが違って当たり前なので、娘ものびのび生きていける可能性が高いのではないかと感じています。




主人と私では、ターナーである娘にとって一番の問題だと思う点が違います。私は、不妊が一番の問題だと思っているのですが、主人は、低身長であることによって社会的に不利になったり、自己肯定感が低くなったりすることの方が問題だと思っています。
主人の周りで、子どもが欲しいと思わず、持たないと決めている比較的若いカップルが何組もおり、また、養子も日本ほど珍しくない為、不妊であるという障害は比較的乗り越えやすいと考えているようです。
これに関しての考え方は、夫婦間で一生平行線かもしれませんが、私も主人も、娘の人生がベストのものであることを望んでいるという点では一致しています。

情報を与えることで、娘に「障害者」というレッテルを貼ったり、違う目で見て接して欲しくないので、ごく近しい人にしか娘がターナーであるということは伝えていません。将来問題があった場合に、それに関わる人だけに伝えれば良いと思っています。大きくなったら本人に誰に伝えるかの判断は任せようと考えています。





不妊に関しては、心臓の手術の経験を通して現代医療技術の高さを目の当たりにしたので、これから20年後、30年後にはもしかして不妊治療のレベルもかなり上がっているのではないかと希望を持っています。

娘はまだ2歳で、日常生活で他の子と違うと感じることはありませんが、これから色々な壁にぶつかることがあるのは十分分かっています。

娘のことを経験して、染色体異常についてもよく学びましたし、出生前診断の結果で産まない決断をする人の気持ちも十二分に理解できます。もっと重度の障害と分かっていたら、産む選択をしたのかと言われたら、分からないとしか答えられません。

ただ、今の私が言えることは、娘が可愛くて可愛くて仕方がないということです。いつも天真爛漫で笑顔の多い娘は、ターナーだからなのか、ただそういう性格なのか、息子と比べて女の子だからなのか、よく分かりませんが、毎日私を笑わせ、癒してくれます。
浮腫んだ手の甲も愛おしくてたまりません。
それだけに、もしあの時この子を産まないと決めていたら、、、と考えるだけで背筋が凍る思いがするのです。




最後に、Dad.K さんのブログには、ターナー児の親として知りたいことがあらゆる方面から書かれていて、感情的になり過ぎず冷静に、そして現実的に様々な事を考える為の材料が細かいところまで書かれているので、本当に助かっています。この場を借りて感謝の気持ちを伝えさせて下さい。ありがとうございます