声は出ないけど歌は歌える、路上ライブで活動するシンガーソングライター・キリエの数奇な半生を描いたドラマ映画『キリエのうた』

主人公のキリエを元BiSHのアイナ・ジ・エンドが演じ、幼い頃に震災で母と姉と声を失いながら、聴くものを魅了する心に染みる主人公キリエの歌声を見事に再現した劇中の彼女の歌は、聴くだけで泣けてしまうほど、本当に琴線に触れるってこういうことかと思えました。

アイナ・ジ・エンドの歌って実は最近になって水星の魔女のエンディング曲の「宝石の日々」を聴いただけでほとんど知らなかったのですが、この映画の劇中で彼女が歌う、オリジナル曲のメロディも私好みでしたし、カバー曲の選曲も絶妙で、かなりはまり役でした。

彼女のハスキーな歌声は好き嫌いが別れるところですが、私はかなり”アリ“な方です

ストーリー的にも、幼少期と、学生時代、現在をザッピングしながら彼女と彼女を取り巻く友人や恩人達の物語で紡がれる、彼女の決して幸せとは言えない過酷な過去と、その環境下で色んな人に支えられながら今を精一杯生きる誠実な姿に心が洗われ、君は全く悪くない、だからこそ幸せになってほしいと応援したくなる、そんなお話です。★★★★☆90点

2時間58分とかなりの長編で、本当に泣けるいいシーンも多いのですが、登場する度に髪の色や服装が奇抜に変わる広瀬すずとか謎でしかないですし、主人公の姉・希(きりえ)とその恋人の夏彦との学生妊娠を巡る泥沼シーンとかなんかキリエのイメージがダウンしがちで、正直もっとサラッとでよかったのに、変に尺がとってあって、それがかえって間延びしてるみたいな感じになってるのが惜しいところ。。。

何はともあれ、そんなシーンもすべてリセットしてくれて最後に良かったと思わせてくれるところも含めて、歌はいいね。歌は心を潤してくれる。