過酷な介護における救いとは何か、正しさだけでは救えない現実に道を踏み外した介護士とそれを裁く検事を描いたサスペンス映画『ロストケア』

原作は葉間中顕の小説「ロスト・ケア」

介護老人宅で毒殺された老人と介護センター職員の不審死から発覚した、気遣いも対応も模範的な介護士・斯波(松山ケンイチ)の連続介護老人殺人。

寝たきりで認知症を患う親の介護をしながら子育て、パートと休む間もない家族を介護の呪縛から解き放つ救いの為の唯一の手段、喪失の介護・ロストケアと殺人を正当化する斯波と、あなたのやったことは殺人であり家族の絆を勝手に断ち切る権利はないと真っ向から否定する検事・大谷(長澤まさみ)。正しさだけでは生きていけない、ドン底の状態でなんとか人並みの生活を取り戻すために、介護される側もする側もそれを望み、そうした方が幸せなのであれば正しくなくても救いになっているのでは?もし自分が将来そういう境遇に陥ったとき、彼の行いを単純に責めることができるだろうかと善悪を錯覚すらしてしまいそうになるなんとも重い問題にメスを入れるお話です。。。★★★☆70点

松山ケンイチの怪演が、真に迫ります。

劇中で彼が影響を受けたルカの福音書にあるキリストの言葉「人にされたいと思うようなことを人にすべきだ」の言葉を過大に解釈して、誰に頼まれるでもなく、家族の都合も顧みず、やり過ぎなくらい“救い”と称するロストケアを実行しているので、あまり同情の目では観れませんが、こんな事件が実際に起きたとしても多分賛否は真っ二つなんでしょうね。。。

安全圏にいる人から見ればと仕切りに出てきましたが、安全圏に居られる人たちは一握りで、大半は確かに明日は我が身だよなぁとつくづく思います