複数のネットに繋がったPC 同士で通信するP2P技術を応用した匿名性の高い画期的なファイル共有ソフトが、ゲームや音楽、映像などの著作物が違法にやり取りできるということでそのアプリケーション開発者までもが著作権法違反幇助の罪で有罪判決を受けた事件を題材にした『Winny』

そのアプリを悪用して違法に著作物をアップロードした使用者が捕まるのはまだしも、そのソフトウェア開発者まで有罪って、劇中でもありましたがナイフで刺殺した実行者だけでなくナイフを作った人まで捕まえるようなもので、よかれと思って開発したものが予期せぬ悪用で捕まる可能性があるとなると、新しいものを開発することすらしにくくなることもあり、当時かなり話題になってたのは記憶にあります。

協力的な開発者47氏こと金子勇さんを言葉巧みに言いくるめて、手本通りに書面を書かされたり、署名させたり、明らかに組織ぐるみで悪意を持って有罪にしようとする警察側が悪役的に描かれていて、並行して描かれていた愛媛県警の架空領収書裏金作り告発事件も合わせて、日本の司法のあり方を問うような内容でもあったように思います。

金子さんの事件も愛媛県警の事件で告発した仙波巡査部長も実名で登場してましたが、実話を元にした話とはいえ、なかなかに赤裸々な内容でした

最終的に7年をかけて無罪を勝ち取った金子さんがその半年後に42歳の若さで亡くなって10年。。。なぜ今になってと思ってたんですが、逆に今だから映像化できた実話なのかもしれません。★★★★80点

物語がこれからってところでいきなり終わるのでせっかくならどう覆ったのかまで描いて欲しかったところですが、両事件とも警察側はどうなったのかとかお茶を濁したように終わっているところを見ると何かしらここまでしか描けない事情もあるのかもしれません。何で警察が原告側だったのかも明らかにされないままでしたし。。。

そう言えば当時、警察の偉い人がWinnyでダウンロードしたファイルがウィルスに感染していてえらいことになったから腹いせに作者を逮捕させたとか言う都市伝説的な噂もあったような(笑)

 

P2P 技術は大容量サーバー管理と異なり、端末同士が直接やり取りするので速度も早く、サーバーがダウンしてしまうとかサイバー攻撃を受けるとか言うこともなく、匿名性も高いので使い方によっては非常にメリットの大きい仕組みで、例えばほとんどの方のスマホにインストールされているLINEとかはまさにこの技術を使った便利なサービスですよね。。。

反面、ウイルスが広がりやすいとか、こういう著作権侵害を横行させる危険があるとかデメリットも当然にありますが、どんなものも使う側のリテラシーの高さが問われるってことなんでしょうね