半沢直樹や下町ロケットなど大逆転ビジネスサクセスストーリーの第一人者・池井戸潤の初の映画化作品『空飛ぶタイヤ』

今作も中小企業の社長が事故原因に納得が行かず財閥系の大企業の自動車メーカー相手に闘うお話
TOKIOの長瀬智也が脱輪事故で死者を出した運送会社社長役でしたが、なかなかの熱演でした。
事故の被害者への謝罪、事故調査したメーカーへの問い合わせ、資金繰り、取引先への説明・・・と中小企業の社長は社員を守るためにも自らが走り回って対応に当たらなきゃならず、更には相手先のほとんどは協力的ではないので、ホント相当な信念持ってないと立ち行かなくなります。
会社が大きくなると逆に偉い人達は表に出ず、上役に責任が及ばないよう担当者がどれだけうまく対処できるか、各々にあるのは自身の保身といった利己的なものが多いもので、中小の社長と従業員の信頼関係や、組織のまとまり、大企業のセクションごとの縦割りな関係や潜在化した不満など、この映画でもその違いがかなり大袈裟ですが対照的に描かれています。
さすがに今時こんなユーザーの安全をそっちのけの会社ぐるみの不正隠しはあり得ないと思いますが、上意下達な組織だと、「末端の従業員から意見するのは会社批判だ嫌ならやめればいい」と物申す従業員の処遇が風当たりのきついモノになってたりすると、必然的に何も言えなくなってしまうものですよね。。。
正義ってなんだろうとなんだか色々考えさせられるものがありました。★★★★85点
無駄の無いストーリー展開でしたが、池井戸作品は連続ドラマなどの長編向けなので二時間の尺だとちょっと展開が強引な感じはありました。子供の受けたいじめのところとか、最後の追い込みの切り札のところとか、被害者に対する対応の部分、融資先との支援までの流れとかラストシーンも、もっと原作では展開があったんだろうなと思います。原作は読み出すと止まらなそう(笑)
なんだか他人事とは思えない映画です