7章 韓国ドラマ映画
283.映画 ベルサイユのばら❷
 
 
忘れた頃にレビュー記事を書きます。
アレやコレや書きたい事が多すぎて整理が付かないので、忘れた頃に書く位が私には丁度良いかもです(笑)。
1月31日公開だったのでとっくにロードショーは終了しただろうと思い込んで居たら幾つかの映画館でまだ放映中でした。やはり固定ファン層の厚い作品の映画化は違います。
私ももう一度観たかったりして(笑)。
 

 

今回は映画自体について少々語りたいと思います。
まずは概要を。
 
かつて薔薇たちに憧れたあなたへ贈るーあの胸の高鳴りが今、蘇る。
 
原作 池田理代子『ベルばら』、劇場アニメで再び。
 
革命期のフランスで懸命に生きる人々の、愛と人生を鮮やかに描いた池田理代子の漫画『ベルサイユのばら』。
1972年より「週刊マーガレット」(集英社)にて連載され、現在累計発行部数は2000万部を突破。
不自由な時代の中で、身分や性別を乗り越え自身の手で人生を選びとり、フランス革命へと飛び込んでいく美しいオスカルの生き様は、少女たちの共感、そして憧れを一身に集めた。
 
連載中から読者の熱狂的な支持を集めた本作は、その後、宝塚歌劇団による舞台化やTVアニメ化もされ、日本中で社会現象となった。
―そして2025年1月31日より、ついに完全新作での劇場アニメが上映となる。
1972年の連載開始から50年以上の時を経てなお、全く色あせない『ベルサイユのばら』の世界。そしてオスカル達の生き様。
 
その物語が、今新たな劇場版となって幕を開ける―
(引用 公式サイト)

 

 

歴史的作品の映画化だけあって作品紹介も物々しいですね。
 
次にストーリーを。
 
将軍家の跡取りで、“息子”として育てられた男装の麗人オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ。
隣国オーストリアから嫁いできた気高く優美な王妃マリー・アントワネット。
オスカルの従者で幼なじみの平民アンドレ・グランディエ。
容姿端麗で知性的なスウェーデンの伯爵ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン。
彼らは栄華を誇る18世紀後半のフランス・ベルサイユで出会い、時代に翻弄されながらも、それぞれの運命を美しく生きる。
 
これは、フランス革命という激動の時代の中で、それぞれの人生を懸命に生き抜いた『愛と運命の物語』。
(引用 公式サイト)

 

 

私が『ベルサイユのばら』の作品を幼い頃から好みリスペクトしつつも、今回映画館に足を運ぶ事を若干であれ躊躇(ちゅうちょ)した理由は何を隠そう過去のアニメ放映に有りました。
 
この作品、当然アニメ化されており、アニメ作品としては絶大な評価を受けて居ます。
しかし、私はアニメ作品をたまに横見した以外、真剣に観て居ないのです。
 
アニメ放映は調べると日本テレビ系列、1979年10月10日 より1979年10月10日 、全40話+総集編1話と有りました。
珍しく原作に忠実に制作され好評だったと聞いて居ます。
 
とは言え、1979年と言えば私が高校生活に入った頃で、現在と違い「アニメを高校生が観るなんて…ましてや高校生の男子が…」と言った時代です。
その上、高校生活はとてつも無く忙しく、アニメ作品など観ている物理的余裕などとても有りません。
そして、幼い頃に観た『エースをねらえ』などのマンガのアニメ化作品などの例を見ても「原作改悪」「幼稚化」「作画崩壊」など、原作のイメージを毀損するアニメ作品が多かった為、尚更「食べず嫌い」でした。
後から作品評価を知り観るべきであったと残念に思いはしましたが、アニメで池田理代子の作画を丸コピーする事など出来ないことは明白なので、積極的に観ようと思う情熱が無かったのは当然です。
どうあれ原作の作画イメージを毀損されるのがイヤだったワケです。

 

 

今回のアニメ映画化についても、当初勝手にアニメ作品の総集編だと思い込んで居ましたから観る気になれないのは当然でした。
しかし、たまたまネットニュースで知った事実、今回新しく作画をイチから行ったとの事。
だったら、もちろん作画に関して「原作丸コピー」では無い事は重々承知の上ですが、コワイもの観たさで観て見るか?(失礼)となったワケです。
 
あの長い原作をどう消化するか?
興味津々で鑑賞に臨みました。
 
前回も述べましたが、原作は現在韓国でトレンドの『ファクション史劇』、つまり史実と架空を上手く組み合わせ、歴史歪曲にならない程度のファンタジーに仕上げる手法を取って居て、史実の人物と架空の人物が絶妙に絡み合って居て、どのエピソードも失くなると作品の良さが半減してしまう絶妙な展開です。
従ってアニメ化・映画化にあたってはどの人物・エピソードを削除してどの人物・エピソードを生かすか、どのエピソードに注力するかが制作のミソとなります。
 
今回のアニメ映画の監督吉村愛氏はアニメ作品を手掛ける希少な女性監督との事で、やはりオスカルの愛と生をメインに持って来ました。
特にメインの女性ファン層にオスカルが絶大な人気を誇る事を考えると妥当過ぎるに尽きます。
描き方が現代的で、女性の自立をメインテーマとして描いた事には原作を知る私としてはクビを傾げる面も無くは無かったですが、現代の女性ファン層の心には響いた事でしょう。
韓国ドラマ・映画でもフェミニズムの影響からか女性の自立を大きなテーマにして居ます。この映画もその路線を踏襲したと見るべきでしょう。原作とはチョッピリ、基本スタンスが違う気がしてなりませんが…
作品のマイノリティファンで有る中年男のぼやきとして通り過ぎて下さい(笑)。

 

 

多くのエピソードを省略するにあたって、一部ミュージカル仕立てにして、説明を省き画像を、歌に合わせて流れる様にフラッシュバックで描写する手法が新鮮で何とも粋でした。
もとい宝塚歌劇団のオペラで人気を博している事も有り、この作品、ミュージカルとは親和性が有ります。
説明不足で不親切とも言えますが、基本原作を知ったファン層が観覧するので不満は少ないと見えます。
その分、原作を知らない若い人には理解不能かも知れません。
その意味でも、原作を読んで居ない人はまず読んだ上で観て欲しいですし、原作を忘れた人も再度読んで挑んで欲しい映画です。
私は原作がバッチリあたまにインプットされているのでどの場面を早回しされても一向に困りません(笑)。
 
鑑賞を終えた印象として、このエピソードは抜かないで欲しいと思った省略が多く、特にマリーアントワネットの生涯部分で省いた場面が多く残念でした。
一番残念なのは、時間が無いのは理解しますが、最後のコミックス9巻部分、王妃マリーアントワネットが革命に関わり断頭台に消えるまでを、当時の歴史画を使い淡々と説明で終えた事です。
せめてその部分を新たに作画して流してくれれば良かったのに…とも思います。
大いなるムダ遣いになるので避けたのでしょうか?
そもそも原作者池田理代子氏がこの作品を執筆した動機は、ツヴァイクの伝記『マリーアントワネット』を読んだ事からだったことを考えると、分かり切って居たとは言え女性ファンのオスカル人気におもねった様な仕上げが少々残念でした。
まぁ、作品の商業化を考えると、それが最大公約数だったことは大いに分かるのですが。
監督は当初3部作にしたかったと述べて居ますが、実際その位のボリュームでないと作品のエキスは絞れない事は納得です。
後は原作を思い浮かべ妄想するしか有りません(笑)。

 

 

風景や建物など、現在の日本のアニメ技術は世界に類を見ないレベルなので、まるで実写版かと見間違える様な背景も映画の大きな見どころです。
ベルサイユ宮殿に行った気分になれると言う意味でも映画を観る価値が有ります。
 
もう一度劇場で観たい気持ちも持ちつつ、無理な場合にはDVDで再度観る事とします。
また、再度原作を読み返して、作品の壮大な世界に浸ろうと思います。
とても良い企画でした。

 

 

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