第7章 韓国ドラマ映画
274.ドラマ捜査班長スサパンジャン1958❶
 
 
常時加入になってしまったNETFLIXはさておき、観たいドラマが終了すればしばしお休みしたり復活したり「フレキシブル」に付き合うハズだったディズニープラスですが、敵もさるモノ、中々お休みさせてくれません。
一番の目当てだった『ムービング』後、ナム・ジュヒョクの『ヴィジランテ』も終わり、家内が『財閥✖️刑事』『ワンダフルワールド』を視聴し終わったのでもうそろそろお休み期間到来か?とたかを括って居たら、チュ・ジフンハン・ヒョジュ『支配種』イ・ジェフン主演の今作『捜査班長1958』を持って来ました。ディズニーも頑張っています(笑)。

 

 

『支配種』はさて置き、イ・ジェフンと来たら何を置いても観るしか有りません。
どんな作品だろうと必ず観る「信じて観る俳優」が私の中で何人か居ますが筆頭人物です。
この機会なので箇条書きで挙げてみましょう。

 

 

❶まずは今回のイ・ジェフン〜特に『模範タクシー3』が待ち遠しいです。
ナムグン・ミン『恋人ヨニン』最高でした。
ソン・ジュンギ『財閥家の末息子』ナイスです。
ナム・ジュヒョク〜何気に爽やかで良いです。
イ・ドヒョン〜あの吊り目が堪らん。
パク・ソジュン『京城クリーチャー』はイマイチでしたが。
キム・スヒョン〜言わずもがな。

 

 

キム・テリ〜良いですね♪
イ・ハヌィ〜ヒット請負人です。
キム・ユジョン〜夫婦して大好きです。
 
まぁ他にも色々居ますが、思い付くのは上記の俳優さんたちですね。

 

 

さて、私が信じて観る俳優筆頭、イ・ジェフンですが、『模範タクシーシーズン3』の前にこのドラマを持って来ました。
のっけから古臭い雰囲気で少々観る気が削がれましたが、そのレトロ感、タイトルからして気になり色々調べました。

 

 

すると、まずこのドラマ『捜査班長 1958』は、韓国の伝説ドラマ『捜査班長スサパンジャン』の過去の時代を描いたプリクエル(prequel): 前日譚(ぜんじつたん)作品だとの事。
この手法は例えばスター・ウォーズで披露された手法で、『エピソード1:ファントムメナス』はスターウォーズ3部作の最初を構成する物語ですが、最後に製作・公開されています。以前紹介した「リ・スンシンシーズン」もまた然り。
日本風に言えば『○○ゼロ』とか『○○ビギニング』などのタイトルを冠した作品だと言えそうです。心なしか最近多い気が。

 

 

ついでに調べると『捜査班長』は日本のドラマに例えるなら『太陽にほえろ!』(1972~1986)の様な存在だそうですが、かなり韓国で人気を博したドラマとの事。
今も人気の料理バラエティー番組『韓国人の食卓』などでお馴染みのチェ・ブルアムが主演して1971年より1984年まで放映、そしてその後続作として1985年より1989年10月まで計880回に及び放送したMBCの看板作品だそうです。

 

 

今回のドラマ1話の冒頭シーンで、原作の主人公であるチェ・ブルアムへの敬意を表し、彼が引退した後、警察の孫に会うために「チョンナム宗南警察署」を訪問し後輩の警察官が敬礼をする姿が出ます。
劇中で引退し警察の先輩として敬意を受ける姿と同時に、ドラマ人気を導いて来たチェ・ブルアム俳優に対する敬意をダブルで視聴者にインパクトを与えるニクい演出で、元のドラマの存在を初めて知った我々原作ドラマ門外漢にもドラマの空間的繋がりを実感させてくれました。

 

 

この様な話題性により韓国では1話から全国10.1%、首都圏10.3%と言う異例の高視聴率でスタートダッシュを切りました。
 
現在2話の途中まで視聴したのですが、本格レビュー執筆に先駆け、今回はニュースで知った番組情報をまず。
 
今ドラマの大事なイシューとして何故『捜査班長1958』の舞台は1958年なのか?と言う点です。
ココに箇条書きします。

 

 

❶まず、リ・スンマン政権時代の政治ゴロツキ、リ・ジョンジェをヴィラン(悪役)として登場させ、政治マフィアと腐敗警察の間で正義を貫く刑事たちの話を描きたかったと言う点です。
1970~1980年代を背景にした原作よりもかなり前時代ですが、キム・ソンフン監督は制作発表会で「当時にあった社会的事件とパク・ヨンファンという人の若さを見せるのに適切な年だと思った」と述べ、「(刑事)4人の始まりを見せて1958~1962年の間の大きな社会的事件の中で刑事たちの話を繰り広げるために」選んだと述べました。

 

 

❷次に時代背景として、韓国現代史の大きな激動の歴史、1960年3・15不正選挙4・19革命、そして1961年5・16クーデターが起こる時期を選んだと言う点です。
ドラマでは政界進出を夢見る政治ゴロツキ、イ・ジョンジェと東大門派、そして彼に協力する警察が最たる悪役として登場します。
 
当時ソウル東大門を中心に成長したリ・ジョンジェは与党である自由党に協力した代表的な政治マフィアで、政敵をリンチするなどの役割を担いました。
悪名高いリ・ジョンジェは5・16クーデターで革命裁判部によって死刑判決を受けます。ドラマがイ・ジョンジェに注目しただけに彼の没落にも焦点を合わせるものと見られます。
ドラマでは権力と癒着し悪に手を貸す警察組織の姿も描きますが、3・15不正選挙4・19人民蜂起での警察の行動をどの様に描くか興味津々です。

 

 

❸この様な腐敗した組織の中でイ・ジェフン演じるパク・ヨンハンを中心とした4人組が正義に向けどの様に暴れるかを通じて、公権力の不正根絶が今まさに重要な社会的要請として求められる現代韓国の写し鏡として視聴者に訴える意図が込められていると言えそうです。
 
パク・ヨンハン刑事には実際のモデルが存在するそうで、故チェ・ジュンラク総長だそうです。
にする。1929年生まれで警察在職中に1300人余りの犯罪者を逮捕した強力捜査の伝説と呼ばれる人物です。
特に強力犯を多数逮捕して「捜査のレジェンド」「補導王」というニックネームを持ったとの事。

 

 

❹余談ですが一話の劇中、主人公が悪夢にうなされる場面が登場します。
コレは私もブログで紹介しましたが、『補導連盟事件』で、リ・スンマンが朝鮮戦争の最中に起こした大虐殺事件です。
未だ真相究明に難を抱えている韓国現代史の闇に、ドラマは一歩踏み込んでおり、今後の描写に注目です。
この様に『補導連盟事件』など、隠れたキーワードを炙り出す絶好の時期としてこの時代を選んだ事が窺えます。
 

 

オープニングテーマがレトロ感溢れるキャッチーな曲調とビジュアルですが、コレまた原作『捜査班長』の懐かしいオープニング曲をアレンジして居るとの事で、1970年代の楽曲とは思えないくらい洗練されており、現代でも充分通じそうです。
韓国人なら誰もが口ずさめる曲だそうで、韓国のレトロファンの方には堪らない事でしょう。

 

 

最後に『捜査班長 1958』の簡単なストーリーを。
 
 1958年、韓国ソウル。地方から赴任してきた牛泥棒専門の田舎者刑事パク・ヨンハンが、狂犬とあだ名される後輩のサンスン、怪力を誇る青年ギョンファン、エリート新人のホジョンの3人とチームを結成し、醜悪な犯罪に立ち向かう。
 汚職にまみれた刑事たちの中で、信念を貫くヨンハン。彼の型破りな捜査と熱い信念で、チームは堕落した権力に立ち向かい、人々のための刑事に生まれ変わるべく成長していく。
(引用 下記サイト)
 
また2〜4話視聴後出没します。
では。
 

 

 

<参考文献>
미니어오늘 '수사반장1958'이 1958년을 배경으로 선택한 이유
韓国ドラマガイドONLINE
国民的刑事ドラマの新シリーズ!イ・ジェフン主演『捜査班長 1958』見どころは?『殺人の追憶』でソン・ガンホも口ずさんだ懐かしのテーマ曲【韓流談義fromソウル】 チョン・ウンスク