第7章 韓国ドラマ映画  
241.韓国ドラマ 生まれ変わってもよろしく이번 생도 잘 부탁해
 
 
 
最近殊にドラマレビューを書くに当たり、ドラマ視聴終了からしばらく時間を空けて書く様にして居ます。
ドラマの興奮冷めやらぬ内に書く方が書きやすいとも言えるのですが、ややもすれば一般的、平面的になる恐れも有るので、見落とした部分、書き残す部分が無い様に冷静になる為です。

 

 

ドラマのワンパターン化が顕著になり、それに伴いレビュー記事も以前の感想の焼き写しが多くなることを避ける為でも有ります。
そしてドラマの隠れた裏話などが無いかネットサーフィンする時間稼ぎの為でも有ります。
それは総じて、書きたい「パッション(情熱)」を掻き立てるドラマが減った証左でも有ります。
そんな中でも、現在視聴中のドラマではこのドラマが唯一レビュー記事を書くに価すると考え書かせて頂く事にしました。

 

 

邦題は『生まれ変わってもよろしく』ですが、韓国での本題は『이번 생도 잘 부탁해』で、直訳すると『今回の生(人生)もよろしく』で意味が微妙に異なります。
邦題はたまたま今回だけを表して居ますが、本題はまるで生まれ変わる事をあらかじめ知っているかの様な題名です。
そして何度か経験済みで有るかの如し。
 
この様に韓国ドラマのタイトルは含蓄(がんちく)が多いに含まれているので伝わらない事が惜しく感じ、翻訳の難しさをしみじみ実感します。

 

 

このドラマは韓国の人気ウェブトゥーン(漫画)のドラマ化と言う事で、原作は120話を数える大作です。
各国で翻訳配信されており、ウェブマンガ好きの我が家のムスメも当然の如く読んで知っておりました。
 
死んだ女性が生まれ変わって男性と恋に落ちると言う良く有りがちなラブロマンスですが、世界観が気になり色々と調べました。
宗教的世界観についての考察も含め述べさせて頂きます。

 

 

まずはドラマの概要を。
 
19回目の人生ロマンスの最大のライバルは18回目の私?
前世を記憶する「パン・ジウム」が必ず逢わなければならない「ムン・ソハ」を訪ねながら広げられる猪突的転生ロマンス。
 
(引用 公式サイト)

 

 

ついでにドラマの制作意図も。
 
我々はどうやって生き、
そして、どんな選択をすれば幸せになるのでしょうか?
 
ここに、死を18回も経験した女性と
大切な人の死後、
世界の扉を閉めてしまった男性がいます。
 
なんと千年にも及ぶ十八回の前世を持つ女性は
19番目に「パン・ジウム」という女性の肉体で目が覚めました。

 

 

「なぜ私だけが前世を覚えているのか?」
説明する事も、言う事もできない悩みを
抱きしめて生きています。
 
でも今回の生には、はっきりとした目的があります。
短く燃え上がって終わってしまった前世から始まった…
「ムン・ソハ」にまた会うこと。
 

 

止まっている時間から、「ムン・ソハ」を再び動かすこと。
生きている瞬間まで、暖かく握った彼の手を離さないこと。
 
このドラマは前生を覚えている女性の
猪突的な愛を応援する話であり、
死後に残された人々にとって
慰めが届くと良いという話です。
 
そして
みんながそれぞれの選択と方法で幸せになることを心から願って…
「今回の生もよろしくお願いします!」
 
(引用 公式サイト)

 

 

何だかロマンチックでは有りますね。
死んで実る事の無かった恋愛を、生まれ変わってもう一度再開出来ればどんなに良い事か…
「冬ソナ」から脈々と続く初恋・純愛の究極な形とも見えます。
 
設定は、19回もの人生を生きる若い女性が主人公と言う事で、とっても少女マンガチックで、とてつも無くナンセンスなお話しなんですが、ドラマは「もしそうだったら」と言う前提で始まるので黙って観るしか有りません(笑)。

 

 

実際、本当に19回もの人生を生き、記憶が有るとしたらそれら19回の人生の記憶と夢(つまり頭の中の想像)とで記憶がゴチャゴチャになって気が狂うと思いますが(笑)。
かく言う私も記憶力だけは抜群で3歳頃からの記憶を持ち得ているので、それが少し(多いに?)長くなっただけ?
ドラマや物語でタイム・リープのお話しは良く見ますが、生まれ変わりのお話しはさほど多くは無い気がします。

 

 

ドラマの重要なアイテムとして『ムリョン巫鈴(巫女の持つ鈴)』が出て来るので、世界観は朝鮮の土俗信仰『巫教ムーギョ』が背景に有る事が分かります。
『ムリョン巫鈴』は日本語では『神楽鈴』とも言い、朝鮮語では『ヨリョン搖鈴』とも『巫堂ムダン鈴パンウル』とも言いますが、言葉の通り巫女が踊る時に使う鈴です。
あの世とこの世を繋げてくれるアイテムでしょう。

 

しかしながら、「生まれ変わり」と言う概念は基本、シャーマニズム(原始宗教)の発展形で有る『巫教』には有りません。
 
「生まれ変わり」は主に仏教「輪廻転生」(りんねてんせい)が有名ですが、インドのバラモン教、仏教、ヒンズー教などから出発した思想です。
巫教ではあの世で霊魂だけが残ると教えます。
なので2つの宗教の教えは似て非なるモノでした。
 
我が国でも仏教は高麗時代まで盛行しましたが、朝鮮王朝時代に儒教が盛んになり、巫教同様抑圧を受けた事は皆さんご存知でしょう。
以前コラム欄でも述べましたが、儒教は純然たる宗教では無いので、死後の世界を否定します
確かに、生まれ変わりを認めたら先祖を祀る祭祀チェーサをする意味がなくなりますよね(笑)。
 

 

この様に、生まれ変わりはあくまで仏教の世界観ですが、朝鮮では儒教によって抑圧を受けた諸宗教(巫教、仏教、道教など)がないまぜになって民間で信仰されたので、巫教の教えと仏教の教えが混同されたのかも知れません。
以前放送した『サンガプ屋台』でも主人公は何度も生まれ変わって居ました。
巫教仏教道教もないまぜになった朝鮮の伝統的死生観となっています。

 

 

生まれ変わりもタイムリープと同じで、考え出すと様々な矛盾が生じて来ます。
原作がウェブトゥーン(漫画)なので細かい所は言いっこ無しなのでしょうが、ドラマではお約束として、過去を知る人が現在の人と知り合いになると、現在の人が不幸に襲われると言うルールを設けました。
 
初盤の切なくロマンチックな雰囲気と変わり、ドラマは中盤以降はそのルールによって不幸の影が見え隠れする展開になって行きます。

そしてお決まりのミステリー、誰が18回目の彼女を殺したか?

犯人は意外な人物でしたが、動機付けが弱かった様な…。

 

ルールのせいで暗めな進行を見せますが、最後は前半と反対になりハッピーな展開で終わるので、心配は杞憂に終わりました。

ラブコメですからハッピーになって当たり前ですよね(笑)。

 

 

ラストの設定はおかしい気がしますが、ウェブトゥーン原作の韓国ドラマです。

ツッコミは野暮でしょうか?

終わり良ければ全て良しですね()

 

人気を博した時代劇『チョリンワンフ哲仁王后』で現代人が憑依した朝鮮王朝時代の王妃を好演したシン・ヘソンが19人もの人格(記憶)を持った主人公「パン・ジウム」を熱演して居ます。
彼女以外、この役は考え付きません(笑)。
 
相手役のアン・ボヒョンはどちらかと言うと武闘派で『刑事ドーベルマン』などがお似合いですが、原作の「ムン・ソハ」はひ弱な体格だそうで、当初原作ファンから不似合いだと総スカンを受けましたが、この役作りで7Kg減量、上半身の露出もセーブして内面的な弱さを持つ人物と言う設定を前面に出し、批判を抑え込みました。
韓国の俳優は皆さん芸達者ですが、主演の迫真の演技によってドラマのリアルさが多いに増します。

 

 

そして、ドラマは主人公の19回の人生を反芻するかの様に時代劇になったり世界を股に掛けるドラマになったりと、スケールの大きさを視聴者に与えてくれました。
私としては好きな時代劇要素を出してくれるので、少々有りがたくも有りました。
初代のお話しは『ファンフォン(ファノン)還魂』的世界観でしょうか?
余り無国籍的世界観は好きでは有りませんが…

 

 

同時期に放送したジュノの『キング・ザ・ランド』と設定が似通って居る事も静かな話題を呼びました。
財閥系ホテルのオーナー、継子、自分で運命を切り開いて行く自主的な女性など…
時間的にも週末土曜日・日曜日の夜9時と10時半と言うドラマ放映時間も近似性を際出させて居ます。

 

 

一般的な16話よりかなり少ない12話で終映した当ドラマですが、視聴率は残念ながらライバルにかなり水を空けられ、期待に及びませんでした。
1話目が4.2%で始まり12話が4.5%で終わって居ます。
4話で5.7%まで上昇しましたが、後半部に進入し、むしろ下落して居ます。
総じて「バカップル(失礼)」のPV(プロモーションビデオ)化して居る『キング・ザ・ランド』より面白いのに何故コレほどまでに盛り上がりに欠けたのか不思議でネットサーフィンしまくりました(笑)。
 
(コレでお分かりでしょうが、キング・ザ・ランドは最後まで視聴しますがレビュー記事は書きません。韓ドラにしては珍しく穏やかに安心して観られる所が良いとだけ記します:笑)
 
しかし、コレと言って大きな原因は見出せず仕舞いです。
ひとつ記事で理由を発見しました。

 

 

「イセンチャル(生まれ変わってもよろしくの韓国の略語)」の場合、「キング・ザ・ランド」「アシドリアン」「悪鬼」など週末劇大戦に対抗するようになり、忠誠度を持っている固定視聴層が不足していたことが理由に挙げられる。
 
(韓国日報 ウダビン記者)

 

 

なるほど、現在韓国では週末(土日)ドラマ人気が強く、大作を全て週末にぶつけると言いますから、まさに「週末劇大戦」とも言える熾烈な闘いなのでしょう。
そう考えると主演2人ともアイドル的な意味では他のドラマ主演者と比べ地味だったかも知れません。
しかし、視聴率がイマイチでも後から評価を得る作品も増えていると聞きますから、この作品もNetflixなどで配信され、今後人気を獲得しないとも限りません。
 
と言う期待半分の感想を述べながら、私が観るには軽すぎたラブコメレビュー、以上と参りましょう。
毎週末楽しませて頂きました。
まだ未視聴の方は機会があれば是非。
 

 

#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画

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