第7章 韓国ドラマ映画
18.サンガプ屋台(ポチャ) 2020と巫教ムギョについて
何気無しに見始めたドラマがマイブームになる事が有ります。
「愛の不時着」と「イテウォン梨泰院クラス」目当てに入会し、一通り観たら解約すれば良いや位に思って居たNetflix配信サービスですが、
敵もさるもの、幅広いドラマ・映画のラインナップでしぶとく食い下がり、中々解約させてくれません(笑)。
韓国ドラマ制作会社とタイアップし、リアルタイムで新作が更新されるのも、あたらし物好きな人には打ってつけで、我が家の家内などもドップリとNetflixの沼にハマって居ます。
<ドラマより>
余った時間に気になったドラマをお試し観して、つまらなければ放って置いて違うドラマを観れば良い訳なので、時間を効率良く使えます。
否、時間はかなり取られます(笑)。
それでもこれまでダラダラ見(み)も含め、
私が選んだドラマで「時間を返してくれ!」と
叫びたくなる様な失敗ドラマはこれ迄、
1点だけです。
どのドラマかはそのドラマファンの方、これから観て楽しいかも知れない方に申し訳無いので伏せますが、逆パターンの、とんだ拾い物のドラマを見つけた時の喜びは口に出せない程の嬉しさが有ります。
<サンガプ双甲のポスター>
その筆頭がまさにこのドラマ。
「サンガプ屋台」と言うキッカイな題名に釣られ見始めましたが、夫婦してハマりました。
12部と言う、韓ドラにしては半分程の長さの、短かいドラマと言う事も手伝い、それこそ休日を使い一気観しました。
原題が「サンガプポチャ」포차布車で、居酒屋の一形態である事は以前にワンポイントコラムで触れました。
↓ ↓ ポチャの語源↓ ↓ ↓
また、サンガプ双甲と言う聞き慣れ無い言葉もカプチル(甲チル=行為を悪く言う言葉)を排除して、お互いWinWinの関係を築くと言う意味だと言う事も触れました。
↓ ↓ ↓ サンガプの意味はコチラ↓ ↓
後で原作はウェブ漫画と知り、道理で飽きさせない何かが有ると思いました。
クルミもイテウォンもウェブ漫画原作です。
韓国も日本の後を追い、サブカルチャーが文化を支えて行くのでしょうか。
<原作マンガ>
まずあらすじを記します。
2つ挙げさせてください。
一つ目。
韓国の人気ウェブ漫画を原作とした本作は、この世とあの世を舞台に、人の夢に入り込むことができる不思議な屋台の女将・ウォルジュと、屋台に関わる人たちを描くファンタジックなカウンセリングドラマ。
ウォルジュは、ある目的のため、特異体質に悩む青年・ガンベをアルバイトとして雇うことになる。
2つ目はかなり気に入ってます。
ウォルジュは、ある特別な酒を客に飲ませることで客の夢の中に入ることができる。
自分が経営している“サンガプ屋台”にやって来た客たちから恨みを聞き出し、夢の中で客が抱える問題を解決することで、9万9,990人の客たちの恨みを晴らすことができた。
あと10人で10万人というところで、ウォルジュは閻魔大王から「あと一月以内に10万人を達成できなければ地獄行き」と宣告される。
ウォルジュの悩みの解決方法は、客が心を開いてくれない限り達成できないため、時間がかかる。しかし、あと一月以内に人の客の悩みを解決できなければ、地獄行きになってしまう……。
そんなウォルジュの前に現れたのが、ユク・ソンジェ演じるハン・ガンベだ。
ガンべは、手を触れた相手が自分の思っていることを喋り出してしまうという不思議な力を持っている。
ウォルジュはガンベをアルバイトとして雇い、その能力を活用して客の悩みを知る手がかりを得ようとする。
また、“あの世警察庁”の元刑事であるクィも“サンガプ屋台”で働くことになり、不思議な三人が不思議な“サンガプ屋台”を経営することになる。
(出典 https://virtualgorillaplus.com/)
<民俗画に見える巫女>
どうですか?
2つ目のあらすじでかなりイメージが湧きませんか?
気に入ったので引用させて頂きました。
ネットサービスの会社の様です。
こう言った痒い所に手が届くあらすじを読むとイメージが広がりますね。
どこまでがネタバレ未満か難しい所ですが、なるべくそうならない様に進めます。
実はウォルジュは死に損ないで、前世で罪を犯し地獄行きとされ、その贖罪の為に善行を行なって居るのです。
それは5百年前の朝鮮王朝時代の許されぬ恋。
彼女は巫女でした。
<巫教>
今度いつか扱おうと思いつつ延び延びになってしまって居ますが、このドラマの面白い所は朝鮮古来の宗教で有る巫教(무교ムーギョ)をモチーフに描いて居る所に有ります。
巫教とは一言で、古来から続くシャーマニズムが長い伝統の中で宗教化した物で、以前はただの迷信と呼びましたが、近年では一種の民俗宗教で有ると認定されて居ます。
<民俗画に見える巫女>
古朝鮮の時代に既に成立し、日本の八百万(やおろず)の神の居る神道の様に、全ての物に神が宿り、巫女によるお告げを介してあの世と繋がる宗教観です。
以前紹介したチャンスンも巫教の末端の守護神です。
↓ ↓ チャンスンについて↓ ↓ ↓
他の仏教やキリスト教などと根本的に違うのは、自然発生的、かつ民間信仰だった為、体系化して居ないと言う所です。
なので、死後の世界などは多少ブレが有ります。
各々それぞれの世界が有り、基本、霊魂は残ると言う世界観です。
仏教の世界観と似て非なるところが有ります。
ドラマでは原作を大幅に改変して居るので仏教的世界観で進行します。
長らく王朝政府、日本総督府、そして現在の南北政府により弾圧を受けて来ましたが、占いなどを通じ、今なお朝鮮の民間で盛んに受け継がれて居ます。
<巫女の舞い>
基本、宗教信仰が禁じられて居る共和国で少なくとも1500万〜2000万人が信者とカウント出来るとの主張も有ります。
そうすると南北合わせ3000万以上の信者の居る、世界的にも大きな宗教と言えます。
一言で、この皆が知っている様で知られて居ない巫教を全面的に扱っている事がこのドラマの新鮮さを醸し出して居ると言えます。
そもそも、2番目に引用したあらすじに有る、ウォルジュが残した残り10人の悩みを解決すると言う件(くだ)りで皆さんドラマのパターンが見えた事と思います。
とっても解りやすい設定ですね。
先にも述べましたが、ドラマは原作を大幅に改変したので、似て非なる作品にはなりましたが、我々が理解し易い仏教的世界観に基づくドラマ進行となって居ます。
その括(くく)りの中で歴史を股に、縦横無尽のドラマが展開する訳で、人間ドラマとしても歴史ドラマとしても見応えがある訳です。
<ドラマより>
そしてウォルジュの哀しい過去の顛末が徐々に明らかになりますが、ネタバレに近いので、これ以上は避けた方が賢明です。
「応答せよ1994」で子役を演じた、ガンべ役のユクソンジェ君も良い味を出していて、一度触れると人が本心を吐いてしまうと言う、ある意味最高に不幸な人生を送って来ているのですが、愛嬌の有る風貌から辛さがとっても伝わり、とにかく毎度可哀想で何とか幸せになって欲しいとハラハラしながら観る羽目になりますが、結末は観てのお楽しみ。
<ガンべ役を好演>
このドラマ、韓国でも評判が良かった模様で、IMDPのネット評価で10点満点中8.4の高評価を得て居ます。
12話と少ないので、後半、特に最後に詰め込み過ぎだとの批判が有った様で、確かに最後の1〜2話が慌ただしいです。
間延びする中間をもっと有意義に使うか、後1、2話増やしても良かったのではと思います。
いずれにせよかなりの掘り出し物なので、観られる環境に有る方は是非ご視聴を。
<参考文献>
한국민족문화대사전
나무위키
한국 민족종교 무교(巫敎)
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#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画