第7章 韓国ドラマ映画  
240.日本映画 君たちはどう生きるか
 
 
 
本日宮崎駿(はやお)監督・スタジオジブリ作品『君たちはどう生きるか』を観に行って来ました。
韓国朝鮮とは無関係ですが久しぶりに観た韓国映画以外の映画プラス感じる事の多かった映画と言う事で、本日はこの映画についてしばし語らせて頂きます。

 

 

この映画、制作発表から一切の情報遮断で覆面を貫き、情報漏洩を避ける為に映画パンフレットさえ事後制作と言う徹底ぶりで話題になりました。
あくまで「口コミ」まかせの最近流行りの手法、ならば悪い口コミが蔓延する前に観なければ…と急ぎ本日鑑賞した次第です。
 
とは言え、全くの事前情報なしではストーリーが理解出来ないと困るので最低限の情報は仕入れました。
 

それにしても圧巻なのは、こんな悪条件でも公開から3日間、興業成績であの『千と千尋の神隠し』の初動を抜いたと言いますから宮崎駿監督パワーには只々脱帽です。

 

 

あらすじを紹介すると
主役は宮崎監督の少年時代をモデルにしたと思われる牧眞人(まき・まひと)少年です。
時は太平洋戦争中の1944年、東京を襲った空襲で入院中の母を亡くし、父が経営する戦闘機工場とともに、一家は郊外へ疎開します。
 
出迎えたのは父の再婚相手となった母の妹夏子。
(妊娠するにはチト早くて以前から関係が有った?と思わせますが)お腹に新たな命が宿っている母親ソックリの新しい母夏子に眞人は戸惑い、転校先でも孤立します。
 
そんなある日、疎開先の屋敷で眞人は偶然1冊の本を見つけ、母の想いに泣きます。
本のタイトルは『君たちはどう生きるか』。

 

 

屋敷の庭の森には、廃屋となった洋館が建って居ますが、眞人の母の「大おじ」にあたる伝説の人物が建てたとの事。
そこにある日、夏子が入って行き姿を消します。
眞人の前に「母君があなたの助けを待っている。死んでなんかいませんよ」と人間の言葉を喋る青サギが現れ、導かれるように眞人は洋館の中へと進んで行きます。
 
さて、どんな出来事が待っているでしょう。

 

 

幾つかネットを読み漁って貴重な情報を得ました。
まずは原作者の子孫、吉野太一郎氏のコラム『好書好日』の『「君たちはどう生きるか」宮崎駿監督が、新作映画について語っていたこと。そして吉野源三郎のこと』です。
この文章から引用させていただきます。
彼が宮崎監督と交わしたインタビュー内容がとても示唆に富んでいます。
 
宮崎監督によれば、引退宣言を撤回して臨んだ今回の作品は「ずっと自分が避けてきたこと、自分のことをやるしかない」という思いだったそうだ。
「陽気で明るくて前向きな少年像(の作品)は何本か作りましたけど、本当は違うんじゃないか。
自分自身が実にウジウジとしていた人間だったから、少年っていうのは、もっと生臭い、いろんなものが渦巻いているのではないかという思いがずっとあった」
 

 

「僕らは葛藤の中で生きて行くんだってこと、それを大っぴらにしちゃおう。
走るのも遅いし、人に言えない恥ずかしいことも内面にいっぱい抱えている、そういう主人公を作ってみようと思ったんです。身体を発揮して力いっぱい乗り越えていったとき、ようやくそういう問題を受け入れる自分ができあがるんじゃないか」
 
(引用 コラム『好書好日』)

 

 

なるほど、主人公は宮崎駿監督だと思いましたが、そんな想いが込められて居たとは…
 
映画の進行は原作の『君たちはどう生きるか』の内容にも沿って居ます。
イジメや孤立、真の勇気とは?人間の生きる意味、宇宙の分子との共通点など…原作はコペル君と叔父さんとの対話型式で進み、この書籍から私はイタリアの児童文学の名作『クオレ』を想起しましたが、ただ答えが書いて有るのではなく、読んだ者が自分で答えを発見する過程が重要で有ると説いて居ます。

 

 

映画も真実を見つける『眞人』と言う名前からして原作との共通点が有りますし、異界に潜り込む事でそれまで出せなかった本心や勇気などが呼び覚まされて行く様子が描かれます。
 
検索すると吉野源三郎の小説からタイトルを借りる一方で、宮崎駿監督がもうひとつモチーフを借りた小説がある事を知りました。
それはジョン・コナリーの『失われたものたちの本』(田内志文訳、創元推理文庫)です。

 

 

タニグチリウイチ氏の文章を引用します。
 
母親を病気で失ったデイヴィッドという少年は、父親の再婚に伴いローズという名の継母と暮らし始める。
ローズの家には本でいっぱいの古い部屋があって、その持ち主だったジョナサンという人物はある日忽然と消えてしまったという。
そしてデイヴィッド自身も、飛行機が墜落して来て炎上した際に異世界へと飛ばされてしまい、そこで木こりと出会って落ち着きを取り戻したあと、元の世界へと戻るための冒険に向かう。

 

 

この児童文学に刺激を受けて作られたのが『君たちはどう生きるか』という映画だ。そこでは具体的な書名は挙げられていなかったが、どうやら『失われたものたちの本』ではないかといった推測が出回った。
何よりこの本の帯に、宮﨑駿監督自身が推薦文を寄せていた。
 
ただし、「この本には刺激を受けたけど原作にはしない。オリジナルで作る。そして、舞台は日本にする」ともあるように、舞台はイギリスではなく日本となり、眞人が異世界へと向かう動機にも独自の状況が乗った。
宮﨑吾朗監督の『ゲド戦記』で、アーシュラ・Kル=グウィンの原作に、宮﨑駿監督の絵物語『シュナの旅』を取り込んだスタジオジブリの作品らしいミクスチャーだ。
 
(引用 Real Sound  『君たちはどう生きるか』には宮崎駿のジブリでの全てが詰まって居る)

 

 

何も情報の無い真っさらな状態で映画を観たい方にはコレらの引用は迷惑だったかも知れません。
しかし、コレ位の知識を基に映画鑑賞した方が理解しやすいと思いました。
 
実際、映画の口コミを見ても賛否両論(コレも当たり前ですが)、意味が良く分かったと言う意見と分からなかったと言う意見に分かれて居ましたので、私も意味が分からなかったらどうしよう(笑)と、半分恐怖に慄いて映画を鑑賞しましたから。
しかし、心配は杞憂に終わりました。
メルヘン・ファンタジーなので何を意味するかは解釈上違いは有りますが、少年の冒険譚には間違いないからです。

 

 

敢えて言えば『千と千尋の神隠し』のセルフオマージュ・少年版で、私がタイトルを付けるならばこのブログ記事のタイトルにもしましたが『眞人(まひと)と駿(はやお)の神隠し』(プラス夏子を加えても良いですね:笑)と言え、2つの映画は同じパターンで進みます。
 
そこに『不思議の国のアリス』と宮崎駿監督の色んな発想が次から次へと展開する形で合体され、コレまで創造したキャラクターのアレンジキャラが大勢登場します。
例えばワラワラは真っ黒クロスケの変形?
天国への白い道はハリーポッターの世界を連想しました。

 

 

この展開を「ストーリー破綻」だと批判するコメントも見ましたが、所詮はファンタジーって想像を超えたお話し、破綻して居ないと詰まらないとも言えます。
そのひとつひとつの映像が美しく、宮崎駿監督の描きたい映像をコレでもか!と我々に投げかけて居る様です。
 
私は2度は観ませんが、賛否両論ではあれもう一度観たいと言うコメントが多いワケは分かります。
最後の米津玄師の主題歌『地球儀』も映画の世界観を良く表現して居て心に沁みました。

 

 

余談で、塔の中の世界を『スタジオジブリ』とその世界と表現するコメントも見ましたが、私もそう理解出来ると思いました。
その際、主人公眞人は宮崎駿監督と宮崎駿監督の子息宮崎吾郎氏、アオサギは鈴木敏夫氏、インコはジブリ作品を観る一般大衆…です。
その点も語りたい気はしますが、多くは語らずに置きます。
 
作画ですが、宮崎駿監督の作画は濃すぎず薄すぎず、凛々しくて色気も有りステキだと実感しました。
主人公眞人が少年から大人に変わって行く瞬間を上手に描いて居て、息子を持つ身として自分に置き換えて観ました。
他にも沢山細かい所まで語りたい気持ちもしますが、キリが無いのでコレ位に致しましょう。

 

 

宮崎駿監督が送りたい最大のメッセージはコレまでの映画と共通しますが、『先行きの見通しがこんなに暗く希望の持てない世の中だが、若人は精一杯頑張って生きて欲しい』だと見ました。

 

最後に、蛇足ですがもう一つ別のタイトルを考えました。

有りきたりですが『眞人と駿の不思議な冒険』です。
『不思議の国の眞人と駿』でも良いと思います。
やっぱりタイトルから駿(ハヤオ)は欠かせません(笑)。
 
どうあれ思ったより分かりやすい映画なので、まだどうするか決めて居ない方、私の様にタイトルだけ見て道徳臭いので観るのを辞めようと思っていらっしゃる方、「百聞は一見にしかず」です。
私の記事を読んで観たくなくなったかも知れませんが(笑:失礼)、機会があれば是非ご覧いただき、様々な角度から語って頂きたいです。
では。
<参考文献>
コラム『好書好日』
Real Sound  『君たちはどう生きるか』には宮崎駿のジブリでの全てが詰まって居る
 

#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画

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