第7章 韓国ドラマ映画
226. 韓国で弁護士ドラマの旺盛
 
 
 
最近、韓国ドラマで『ウヨンウ弁護士は天才肌』『僅か1000ウォンの弁護士』『離婚弁護士シン・ハンソン』など弁護士ドラマが人気です。
昨年Netflixで日本でも同時配信された「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」は韓国で最終回視聴率17.5%を記録し、全世界で『ウヨンウシンドローム』を引き起こしました。
このドラマは自閉症問題まで取り上げながら社会的反響を起こした事もまた有名で、各エピソードも実話に基づく事件を扱った事で多くの関心を集めました。

 

 

ナムグン・ミン主演のドラマ「僅か千ウォンの弁護士」は、彼が演じるチョン・ジフン弁護士が事件手数料として僅か1000ウォン(日本円100円)を受け、小市民の悔しい事情をコミカルな方法で解決してくれる痛快ドラマで、「視聴率男」の彼の異名に相応しく、最終話15.8%の高視聴率をマークして終映しました。

 

 

他にも「法律で愛せよ」「弁論を開始いたします」「魔女の法廷」「ディエンパイア法の帝国」「朝鮮弁護士」など数多く制作されて居ます。
 
最近ではレビュー記事も書きましたが「離婚弁護士シン・ソンハン」でしょう。
 

 

ミュージカルのプリンス、チョ・スンウのイメージを生かした演出で10.5%の好視聴率を叩き出し終映しました。
統計でも、例えば2020年〜2021年制作ドラマ192編に於ける職業ドラマは計27編ですが、このうち弁護士が主人公であるドラマは5編、ほぼ同時期に放映されたとの事で、韓国でも異例との事。

 

 

なぜこの様に弁護士ドラマが増えているのでしょう?
増えた理由は多様ですが、簡単に整理して見ましょう。
 
❶まずは薄情な世界で正義を期待する心理です。
ここにはドラマに熱狂するMZ世代特有の正義感、公正感を好む傾向が折り込まれて居て、以前のドラマで「正義」を振り翳した堅い弁護士と違って最近は殆ど「好感型」の親近感のあるキャラクターが多く登場する事でも分かります。
 
❷当然、これには法廷物を通じて現実世界で感じる敗北感を解消する代理満足が含まれます。

 

 

❸そして、ドラマの話を構成するのも比較的簡単なせいだと言えるでしょう。
色んな事件や現場があるので、多様な素材を持って来られます。
「ウヨンウ」もそうですが、人気によってシーズン制ドラマの可能性も開きます。
弁護士が真実を把握するために事件現場に直接行くなど、迫力も呼び込む事が出来、書類や裁判だけのドラマを避けられます。
 

 

 

❹日本でも刑事ドラマと医療ドラマはハズレが少ないと言われますが、韓国では医療モノがダントツで人気だとか。

ハズレ難く、大当たりしやすいと言われます。

 

それに負けずとも劣らず、弁護士・検事モノも大当たりまで行かなくても中当たりは必ず狙えるコンテンツだと言えるので、カタい線狙いで制作する事も多いそうです。

 

 

❺オマケを言えば、韓国で最近増えているPPL(間接広告)を挿入しやすいと言うオトナの事情も垣間見る事が出来そうです。
 
❻しかしながら、韓国で弁護士ドラマの旺盛の最大の理由は、韓国社会が完全なる「訴訟社会」に突入し、お金と権力を持った上流階級がお金にモノを言わせて大型法律事務所の弁護士を雇い入れ、庶民を苦しめる『社会的不条理』を招いて居る現実世界を反映・反発して居る事を原因に挙げられます。
 
ほとんどのドラマで劇的な面白さを加えるためにも、悪役として「大型法律事務所」が登場する事でも分かります。
コレは韓国社会に蔓延(はびこ)る不正義と悪徳弁護士を排除し、弱者救済を求める庶民の強烈な願いを反映したモノだと言えるでしょう。

 

 

近年、韓国社会はアメリカにも似た純然たる「訴訟社会」に突入しました。
 
検察統計によると、1985年に100万9411件だった処理事件は2004年に260万2171件に増加、民主化と犯罪化が一緒に行われて居ます。
訴訟もやはり急増、2002〜2004年の訴訟件数は52万件、58万、63万件に増加しました。
これは日本での訴訟件数の30倍以上にあたると言います。

 

 

では何故、韓国社会は「訴訟社会」に突入したのでしょう?
思いの外、長文になってしまったので、この件については別途記事を書かせて頂きます。
よろしくお願いします。

 

<参考文献>
경향신문 또 변호사 드라마야?
 
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