第7章 韓国ドラマ映画 
206.ドラマ愛と,利と사랑의 이해❶
 
 
 
このドラマ、大いに期待してました。
『賢い医師生活』で人情味溢れる小児科医役を好演したユ・ヨンソクと『女神降臨』でキュートなヒロインを演じたムン・ガヨンの共演と来たら観るしか有りません。
ましてや社内恋愛がテーマとは。

 

 

ユ・ヨンソクミスターサンシャインで屈折した人物ク・ドンメ役で眼を惹き、彼が出演するドラマ・映画を観まくりました。
ドラマ『応答せよ1994』『メンドロン・トトッ』映画『サンイウォン』『その日の雰囲気』など…
人の良さが顔からはみ出して居る様なベビーフェイスが堪らなく魅力的で、特に先の『賢い医師生活』はハマり役です。
「濃すぎず・薄すぎず」程よいイケメン度が彼の魅力ですが、そのベビーフェイスで観る人を癒やしてくれるので、彼の主演作は必見です。

 

 

一方のムン・ガヨンは説明不要でしょう。
ドラマ『女神降臨』を観れば彼女のファンになる事、間違い無し(!)
キュートで少々コミカルな演技が観る者を虜(とりこ)にすると思われ。
 

 

上記のドラマは唯一、コレまで我が家の家族4人が一斉にハマった貴重なドラマでした。
普段韓ドラを見たがらない我が家のミックスツインズまで虜にするとは恐るべし吸引力。
それには相手役の「顔の天才」チャ・ウヌの存在も欠かせませんが、観る者の心を掴んで離さない彼女の魅力また絶大です。

 

 

と言うワケでこのドラマ見始めましたが、期待した普通の社内恋愛ドラマとは少々勝手が違う様です。
ジャンルが『恋愛痴情ノワール』だと謳って居る位ですから。
そもそも『恋愛痴情ノワール』って?
初めて聞くジャンルなんですけど(笑)。
何となくイメージは掴めます。
結構ドロドロ系?
ノアールと来てますから暗いんでしょうね。
明るいドラマで無い事は確かです。

 

 

それにしても、まずは原語のドラマタイトルに「ヤラレタ」と思いました。
『사랑의 이해サランエ イヘ』とは。頭音法則では無い共和国式で表記すると『사랑의 리해リヘ』です。
日本同様漢字語が多い朝鮮語は同音異義語が多く、聞いただけではどの意味か分からない言葉が多いです。
「리해」も「利害」と「理解」2つの意味が有ります。
しかし、漢字を使う日本では文章を見ればどちらか理解可能ですが、漢字全廃のウリマルでは字を見ても理解不能です。
文脈や書いた人の意図など、知らないと分かりません。

 

 

しかし、ダブルミーニングがお好きな韓国ドラマには「持ってこい」とも言え、むしろその不利さを逆手に取って使っている向きが有ります。
少し前に終映したホームドラマ『ヒョンジェは美しい』などはその類いと言え、主人公のヒョンジェと「現在ヒョンジェ현재」を引っ掛けたと見られます。
勿論、主人公の「ヒョンジェが美しい」では意味が通じませんから「現在」がセオリーだと思います。
しかしスペルは違いますが「兄弟ヒョンジェ형제」にも引っ掛けたと見え、とても意味深なタイトルでは有りましたが、最後までタイトルの真の意味は伝わり切らずでした。

 

 

と、ホームドラマの話はさて置きコチラのドラマに戻りますが、このドラマのモチーフは「愛の利害」を求める若い男女4人の主人公たちが真の「愛の理解」を深める過程を描くドラマだと見ました(あくまで私見ですが)。
多分当たらずとも遠からずでしょう。
先程の「利害」「理解」を引っ掛けて居ると言うワケです。
 
述べたい事は多いですが、まずはお決まりの制作意図を。
制作意図、私のブログのレビュー記事では必殺のお決まりですが、最近見た『韓ドラガイドブック』で、「制作意図」が韓ドラを視聴する上ではとても重要なコンテンツだと有りました。
コレは「このドラマはこう言う風に見て欲しい」と製作陣が視聴者に向けて発信するメッセージだそうです。
韓国ではこのメッセージを頼りに視聴者はドラマを視聴するのだと。

 

 

そう言う意味で、皆さんもそう言う角度で読んで見て下さい。
 
■恋愛痴情ノワール!銀行員たちの社内恋愛
 
愛より銀行利息がもっと切実な時代。
それにもかかわらず、恋に落ちた人たちは考える。
愛も積金のようだったらどんなにいいだろう、
預けた分だけ元金が保証されて、時間が経てば利息がどんどん溜まって、
満期になったら利率に合わせて増えて正確にまた戻ってくるように。
しかし、愛は人生において最も不安定な投資商品だ。
利子どころか元金の損失を覚悟すべし、ややもすると心まで根こそぎ破産する。

 

 

創立99周年を迎えたKCU銀行ヨンポ店、
江北と江南の境界、金融街とマーケット通りの境界に位置するこの銀行に勤務する
ハ・サンス、アン・スヨン、パク・ミギョン、チョン・ジョンヒョンも社内恋愛中だ。
彼らの愛は童話や映画の中の話のように美しいだけではない。
それぞれの理由で迷ったり、揺れたり、よろめたり、時には逃げたがる。
愛に苦労しながらも完全な愛を渇望する。
 
私たちはなぜ恋に潔癖なのか。

それは愛が人生で一番大きいファンタジーだからではないか。

愛を我慢するにも現実を我慢するにも、まだ若すぎる4人の男女の愛を通して、

私たちの愛、私たちが通り過ぎた愛、もしかしたらこれから逢う事になる愛。

その全ての愛の意味を理解してみようと思う。

 
(引用 公式サイト)
 

 

どうでしょう?
奥深いテーマでは有りませんか?
 
私の記事自体は余談ばかりで中々先に進みませんが(笑)、このドラマは同名小説が原作との事。
と言う事はそこそこ骨太なストーリーが期待出来ますが、8話まで観た印象も然りです。
ドラマを見始めて、心の機微を描く秀逸なドラマだと言うイメージを持ちはしましたが、少々地味な展開に途中視聴を中断してしまいました。
 

 

限られた時間の中、『ザ・グローリー』の様なグロく刺激タップリなドラマがリリースされるとどうしてもソチラに流されてしまい易く、
このドラマの様な「人間の機微を描く」ドラマはイコール「退屈」と背中合わせですから、保留にしがちです。

 

 

その上、大事なトコロでストップモーションが掛かり結末を見せないニクい演出がイライラを誘い、視聴者のミスリードを誘う手法は韓ドラ特有と言えそうですが、観て居てフラストレーションが噴出します。
 
韓国での展開を観ると全国3.124 %、首都圏3.593%で始まった視聴率が8話で同2.707%・3.386%と低迷感を免れません。
日本でもベストテンには入れず、さほど話題にもなっておりません。

と思っていたら、本日ベストテン入りしました(笑)。今後に期待です。

 

 

しかし、見逃すには惜しいこのドラマ、大事なモチーフは、現在韓国社会で大事なイシューになって居る「金のスプーン금수저・泥のスプーン흙수저」問題だと見ました。
この件については近日ワンポイントコラムで記事を書かせて頂きます。
人物紹介を兼ねて居ますので是非ご覧下さい♪
 

書き上がりました コチラをどうぞ

 

一言で、親の『階級』が子どもにどの様な『特権』『不利益』を与えるかと言った、「機会の平等」と言う凡そ資本主義社会の原則には一見そぐわない問題に見えつつ、実は資本主義社会の本質で有る「格差の拡大」の帰結(つまり見逃し易いウィークポイント)問題です。

 

 

この問題をコレでもかと抉(えぐ)り出して描くのでスカッとする反面、有る意味やり切れず苦痛にもなります。
『恋愛痴情ノワール』ジャンルだと謳う所以(ゆえん)でしょうか?
成り行きを見守りたいと思います。
まずはここまで。

 

 

<参考文献>
나무위키