第7章 韓国ドラマ映画 
193. ドラマ 黄金の仮面❶
 
 
 
前回も書きましたが、最近時間が無いのでKBSワールドの最新ドラマのみ✖️1.5倍速で視聴して居ます。
❶日日ドラマ(平日ドラマ)『ウラチャチャ我が人生』
❷土日ドラマ『ヒョンジェは美しい』
❸そして今回レビュー記事の日日ドラマ『黄金の仮面』
の3本です。
 

<ウラチャチャ私の人生>

 

この内❶と❷は所謂(いわゆる)ホームドラマの類いで、「マクチャン(どん詰まり)ドラマ」の要素は無きには無いにせよ、韓国庶民の日常を描くホームドラマです。
日本で喩えれば❶はNHKテレビ小説の類い、❷はTBS日曜劇場と言った類いでしょうか?
どうあれ日本同様固定ファンを抱えているので視聴率は高いです。
 

<ヒョンジェは美しい>

 

しかし❸は同じく日日ドラマなれど韓国ドラマのテッパンとも言える『マクチャン(どん詰まり)ドラマ』の典型とも言えるドロドロの復讐劇です。
一大ブームを巻き起こし、今もシーズン3が大ヒットを記録したマクチャンドラマの代表『ペントハウス』の系譜を引く作品群と言うワケです。
 

<ペントハウス>

 

簡単にストーリーを記すと、
❶財閥の家に嫁ぎ7年が経ち、孫息子まで出産しながら「SAグループ」会長(姑しゅうとめ)チャ・ファヨンに疎んじられ、ハウスメイドの扱いを受ける主人公ユ・スヨン。
 

<ユ・スヨン>

 

❷ 会長(姑しゅうとめ)チャ・ファヨンはアメリカ帰りのデザイナーソ・ユラと組んで彼女を追い出す計画を画策、ニセの不倫事件をでっち上げダンナのホン・ソンテと仲違いさせ、胃がんに罹った実母の手術を条件に離婚させ追い出す事に成功します。
 

<チャ・ファヨン>

 
❸娘の汚名を晴らす証拠を掴んだスヨンの父親はチャ・ファヨンとソ・ユラによって死に至ります。
 

<ソ・ユラ>

 

❹父の死の真相を暴く事を決意したスヨンは、SAグループのライバル企業兼協力企業でもあるグローバル投資会社『パートナーズ』の会長コ・ミスクと部長カン・ドンハの助力を得て、自分と家族を不幸に陥れたSAグループに復讐して行きます。
 

<カン・ドンハ>

 

30分モノのドラマですが、全部で100話有ります。
韓国では最高視聴率17.8%をマークし、平均視聴率14.8%で成功裡に大円団を迎えました。
日本では現在32話まで放送しました。
 
取り敢えず最新作なので週2回放送されるこのドラマを夫婦して1.5倍速で軽〜く視聴して居るワケですが、とにかくツッコミどころが満載です(笑)。

 

 

イチイチ挙げて行くとキリが有りませんが、特に韓国ドラマの常として、ヒロインの優柔不断さにイライラさせられるワケで、「なぜココでこんな行動をするか?」と言った不思議な行動にムカムカさせられます。
 

 

実際、不倫を行なって居ないのに、母親の手術を離婚の交渉手段にしようとする姑(しゅうとめ)の妨害行動をやめてもらう代わりに、最愛の夫にさえウソを付き不倫を認めます。
その後、手術は終わって居るのに家庭裁判所の場でさえもウソの供述をし、徹底的に夫にも憎まれます。
 

 

離婚に追い込まれたのは主人公ソヨンのこの様な優柔不断な行動のせいです。
こんな行動、普通しないでしょう。
主人公に同感出来ません。
 
そして、幾らデキ婚だとしても、結婚して7年も経ち孫息子まで成長して居る状況で、会長(姑しゅうとめ)チャ・ファヨンは嫁をそこまで憎むか?

 

 

アメリカ帰りのデザイナーソ・ユラが登場した瞬間から主人公ソヨンに悪事を働く姿にも首を傾げます。
そして、こんなに嫌がらせ行為や憎まれ口を叩かれ、夫まで奪われながらも彼女を「普通の良い人です」と宣(のたま)う主人公ソヨンの鈍感さにも呆れます。

 

 

まさに復讐劇を描く為の不自然な『マクチャン(どん詰まり)ドラマ』と言った感じで、毎回イライラさせられますが、ようやく復讐に転じ始めので多少の溜飲は下がります(笑)。
 
さて、なぜ韓ドラは復讐劇、マクチャンドラマが流行るのでしょうか?

 

 

参考に、2019年チョン・ヒラクとナム・グニョンが発表、韓国主観性研究学会で発行した「ドラマ視聴動機に関する視聴者の主観性研究」によると、
 
❶ドラマを視聴する類型の中で「代理満足型」が存在すると言われています。
コレは、自分の現実で本人が経験したこと、行ったことのないところ、憧れてきた環境などをドラマを通じて代理満足しようとするパターンです。

 

 

❷次に、主人公に対する感情移入で主人公の役割と活動を通じてドラマ世界を間接体験しようとする「仮想現実体験型」も存在すると言われています。
つまり自分の現実とは違う事に対する憧れと幻想をドラマを通じて解消しようとするパターンです。
「マクチャンドラマ」はこの様な欲求を最も良く吸収して解消してくれると言えるでしょう。

 

 

現実では、自分に学校暴力を振り回した同級生、いじめる姑と義父に対してなど…社会の悪にキチンと立ち向かうことができません。
また、その行動を表現したくても我慢せざるを得ない場合が多いです。
数多くの想像をしながら「その時こうすべきだったのに」「大声で叫ぶべきだったのに」と後で思いますが、実際に行動するには困難が付き纏います。

 

 

しかし、「マクチャン(どん詰まり)ドラマ」では主人公が痛快な復讐をし、視聴者たちに韓国で言うところの別名『サイダー』をプレゼントしてくれます。
現実に自分が出来ない事を代わりにやり遂げる主人公たちを見て、視聴者たちは代理満足を感じているのです。

 

 

❸もう一つの人気理由は、正に「現実回避」と言うキーワードです。
人々はストレスを受けると、『甘くしょっぱく辛い』食べ物を探すと言います。
極端な味を感じながらストレスを解消すると言うワケですが、「マクチャンドラマ」もこのような役割をして居ると言えます。

 

 

厳しい現実よりはジェットコースターのようにエキサイティングなドラマが、時には現実を忘れて瞬間の楽しみを感じる事が出来ると言うワケですが、蓋然性(現実性)はかなり落ちますが、それを超える物スゴイ話が待っていると言うワケです。

 

 

彼らが分析したこの様な消費行動が、韓ドラを過度な復讐劇に向かわせる大きな要因だと見られます。
特に『情』や『興フン』を尊(たっと)ぶ傾向に有る韓国、朝鮮民族に於いてはその傾向が特に日本などより目立つと言えます。
普通の韓国のオバチャンが怖いモノ見たさでこの様なドロドロ劇を好んで観る傾向が強いと言うワケです。
コレは日本でも「昼ドラ」や「ドロドロ劇」がお茶の間の主婦に人気だった事に一脈通じるモノが有りそうです。

 

 

と言うワケで、韓国ドラマは刺激を強調する為に、有り得ないシチュエーションが目立ちますが、日本の様に中途半端で終わらず、トコトン突っ切って「人間」を描く為に、一種の「蓋然性」を得ていると言えそうです。
復讐ドラマはその最先端を突っ走っていると言うワケなのでしょう。
 
私もツッコミながら、ブツクサ文句を垂れながらも韓ドラを視聴放棄する気配は起こりそうに有りません(笑)。
バカバカしくは有りますが、確かに日本のドラマより面白いのです(笑)。

 

 

皆さんも懲りずに、私のブログ記事同様楽しんで下さいね♪
また何話か視聴のち出没させて頂きます。
では。
<参考文献>
중앙일보  욕하면서 보긴 왜 보나…‘막장 드라마’의 심리학
브런치  자극적인 드라마,방송자와 시청자 누구의 문제일까?
한국연예스포츠신문  아내의유혹부터 펜트하우스까지, '막장드라마'에 열광하는 이유