第7章 韓国ドラマ映画 
187.  ウヨンウ弁護士は天才肌❸이상한 변호사 우영우 第10話感想
 
 
 
 
 
前回『ウヨンウ弁護士は天才肌』(이상한 변호사 우영우)の第9話レビュー記事でキャラクター設定の甘さと、子ども誘拐や子どもたちのステレオタイプの描き方を批判しましたが、10話を巡っても韓国ネチズンたちによる賛否両論が大きなイシューとなって居る模様です。

 

 

私も首を傾げる事になったこの回のレビュー記事を、今回も書かせて頂きます。
特に今回はレビュー記事と言うよりも、韓国ネチズンたちの議論紹介とご理解下さい。
 
第10話は「知的障害の女性と健常者の男性との犯罪エピソード」でした。
聞けば、このエピソードは実際の判例が背景に有るそうです。
判決も量刑も同様だそうで、実際の事件のオマージュを感じます。

 

 

論旨は一言で『障がい者にも悪い男と恋に落ちる自由はあるか?』です。
 
今話でウ・ヨンウ知的障害者シン・ヘヨンに対する準強姦罪で起訴されたヤン・ジョンイルの訴訟を引き受ける事になりましたが、彼らは障がい者の集まりで出会い、恋人の間に発展したとの事。

 

 

しかし、小学生6年生レベルの発達年齢を持った知的障がい者と健常者が性的関係を持ったという点が問題になり、彼は準強姦罪の疑いを受ける事になります。
彼らは最後まで性的暴行ではなく合意された性的関係だったと主張しましたが、判事が懲役2年を求刑し、彼は拘束されました。
 
彼女は「性的暴行はしなかった。お母さんがそう言えと言った。
お母さんは男が嫌いだ。ツバメみたいなやつだと嫌う」とウ・ヨンウに彼が監獄に行かない様にして欲しいと頼みます。

 

 

ウ・ヨンウは、「障がい者にも悪い男と恋に落ちる自由はないのか?
シン・ヘヨンさんが経験したことが愛だったのか性的暴行だったのか、その判断はシン・ヘヨンさんの判断だ」と言いながら、「それをお母さんと裁判所が代わりに決めるように放って置くな」と助言します。

 

 

現在、韓国のネチズンたちが問題にする部分は、ウ・ヨンウが彼女に証人をお願いし「障がい者にも悪い男と恋に落ちる自由がある」という場面・セリフです。
このセリフが、障がい者への性的暴行事件の本質を誤らせると言う指摘です。
また、高機能自閉症スペクトルを持つ弁護士が、13歳レベルの発達年齢を持つ知的障がい者にすべき助言として適切では無いと言う主張です。

 

 

さらにその後、ウ・ヨンウとイ・ジュンホがキスする場面が描かれた事で批判はさらに激しくなりました。
作家が彼らの愛を叶えるためにシン・ヘヨンの判例を道具として利用したのでは?という非難です。
私も彼らの愛の障がいの大きさに切なくやり切れない思いを抱きつつも、少々同じ様に感じた面が有りました。

 

 

ネチズンたちは
「ウ・ヨンウは視聴をやめるレベルに堕ちた。
本当に面白く見てたけど、グルーミング犯罪(加害者が被害者を飼いならした後に行う性犯罪)の美化は不愉快だ。
我が国(韓国)で知的障がい者の性的暴力の数値を見ると、今日のエピソードをこのように解いてはいけないと思う」

 

「もちろん処罰はされた。
しかし、障がい者の愛は難しいという結論だけを出してしまうと、彼女への性暴力事件が歪曲されるのではないか」
 
「高知能自閉症のウ・ヨンウが精神年齢13歳の女性障がい者に自分を投影して発言する問題ではない」
などと批判して居ます。

 

 

また他にも
「被害者が障がい者と言う明らかな弱者で、実在する問題をエピソードで扱う場合には明確な結末を見せなければならない。
曖昧にするので有れば、9話、10話の子どもや障がい者の素材はむしろ扱わない方がいいと思う」
 
「正直、弁護士にまでなれる高機能自閉症ウ・ヨンウと、精神年齢13歳という被害者とは状況が違うのでは?
現実でも13歳の健常者の子どもに判断能力はほとんどないのではないか?」
などと指摘して居ます。

 

 

一方、問題にならないというネチズンは
「視聴を降りる程では無い様だ。
様々な構図で見せたいという意図が感じられた。
単に知的障がい者も悪い男を愛する権利があると主張したかっただけなら、序盤に精神科相談の所見を入れなかっただろう」と反論して居ます。
 
また
「ウ・ヨンウは、いつもドラマが答えを提示して居るワケではないと思う。
ドラマの中で法廷判決という結末を見せてはいるが、いつもそれが正解か誤答か、白黒付けて居ない。
このドラマは、私たちに考える課題を投げてくれるという意味で存在価値があると思う」

 

 

「確かに子供の誘拐や、健常者が障がい者を利用する事自体は間違っている。
しかし、二人とも監獄に行ったでは無いか?
作家が本当に擁護だけをしようとしたなら、ウ・ヨンウが裁判に勝ったはずだ」
と主張しました。
 
韓国のネチズンたちの激論を目にして、私も考える事が多いです。
確かに9話,10話に関する不満は、紹介した上記の書き込みと同様の意見です。
しかしながらスタッフを買いたいのは、この様な賛否両論を呼ぶであろう、間違えば多くの視聴者を敵に回し(廃止されましたが)放送撤回要求の大統領国民請願が起こり得ると言うリスクを背負ってまで、この様な障がい者問題をメインテーマにしたドラマを製作したと言う勇気です。
これらの問題は簡単に決着する問題では有りませんが、まだまだ障がい者への差別や無理解が罷り通って居る韓国社会に一石を投じる事になる事が明らかだからです。

 

 

そのドラマを、同じく韓国に比べ障がい者問題への理解が画期的に進んだとは言えない日本や世界で視聴出来る環境に有る事自体、感謝して余り有ると思うのです。
 
このドラマ、9話10話以外にも様々な副作用を産んでおり、韓国でも実際に諸手を挙げて称賛出来るレベルでは、残念ながら有りません。
しかし、この様な試行錯誤を積み重ねて行く事により、健常者と障がい者が普通に共生して行ける社会に徐々に成長して行くのでは?と思われます。
 
その意味でも最終回まで、配信を楽しみにしながら視聴をし終えたいと宣言しつつ、今回のレビュー記事を終えます。
また出没させて頂きます。
では。
 

 

<参考文献>
Wiki tree 엔터 “하차각?” 어제(28일) 우영우 대사 논란…심각한 갑론을박까지 휩싸였다
 
#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画

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