第7章 韓国ドラマ映画 
167.太宗テジョン イバンウォン〜龍の国❶
 
 
 
標記ドラマ、2024年4月5日よりテレビ東京系列で初の地上波放送が始まりました。
6年ぶりの大河ドラマ復活第一弾として企画され、多くの話題を呼び高い視聴率を叩き出した秀作です。
その年2022年年末のKBS演技大賞では主人公チュ・サンウクが見事大賞を受賞しました。

 

 
日本での放送に際し『太宗イバンウォン〜龍の国』との邦題が付けられました。
テレビ東京系列が視聴可能な地域にお住まいの方は必見です。見逃し予防の為にも録画予約されることをお勧めします。
今回はそれにちなみ以前のレビュー記事再度UPさせて頂きます。
 

 

行き付けの韓国マートでドラマ『太宗テジョン イバンウォン』のDVDを見付け、衝動買いしてしまいました(笑)。
まだ日本では放送前なので日本語字幕は有りません。なので、耳を澄まして聞かないと聞きそびれます。

 

 

幸い史劇ドラマは韓国の流行語やトレンディーな言葉(特に略語が1番の曲者:クセモノ)は出ませんから逆に分かり易いです。
しかし方言が出るとお手上げで、ニュアンスは理解出来るモノの誠に理解し難いです。
そう思うと私はつくづく「バイリンガル以上ネイティブ未満」だと思い知らされます。

 

 

6年ぶりの大河ドラマ制作を知り喜びひとしおでした。
ヒュージョン史劇はさしずめ『トッポッキ』『ヤンニョンチキン』を食す様な物、現代ドラマは『チーズタッカルビ』『ハットグ』みたいな存在でしょうか?
美味しくは有るのですが、やはりたまにはキムチテグタンなど本場物の朝鮮料理が食べたくなります(笑)。

 

 

特に私の様に日本のドラマでも「大河ドラマ」しか視聴しない向きには『チュノ』『緑豆の花』『赤い袖先クットン』など本場大河ドラマに負けずとも劣らない秀逸なヒュージョン史劇に時たま出逢う喜びは有りますが、おいそれとは出逢えず1話の途中から余りの「有り得なさ」にガッカリする運命が待ち受けて居ます。

 

 

ファンタジーだと割り切って観ればそれはそれとして良いのでしょうが、何処か寂しさを免れません。
 
と言う訳で復活した韓国「大河ドラマ」とても楽しみにしておりました。
しかし、制作タイトルを聞いて少しガッカリしたのもこれまた事実です。
何故ならまたしても『麗末鮮初リョーマルソンチョ』物、すなわち朝鮮王朝建国前後にまつわる物語だったせいです。
本ドラマ前まで25年間、『麗末鮮初リョーマルソンチョ』を背景とする時代劇の数が地上波、ケーブルを合わせて10回にもなります。

 

 

そのせいで韓国でもドラマ企画当時から『トバンウォン또방원(またバンウォン)』の揶揄(やゆ)が止まりませんでした。
しかし、今までその時代を描く事はあれ、当のリバンウォンこと太宗を主人公に描いた事は皆無なので「コロンブスの卵」だったかも知れません。

 

 

早速見始めましたがテンポが良く、吸い込まれます。
あれよあれよといつの間にか10話まで観終えてしまいました。
これは本ドラマが大河ドラマとしては短めの32部作として編成して制作をしているせいでも有りますが、韓国ドラマ特有のダラダラ感が無くスッキリと進みます。 

 

 

韓国ドラマは基本週2回なので3ヶ月余りの期間内に「ウィファド威化島回軍」から始まり、「チョンモンジュ鄭夢周殺害」「朝鮮王朝建国」、2回の「王子の乱」「ミン氏兄弟たちの粛清」、「ヤンニョン大君の廃世子」など大きな事件が立て続けに放映されます。
 
同じ時期を背景に制作した往年の名作「龍の涙용의 눈물」が159話だったので、なんとほぼ5倍速以上に話しが進むと言う事です(笑)。

 

 

このため、リバンウォンが関与していない事件は軽く触れる程度のレベルで展開します。
特に、チョ・ミンスの失脚やチェ・ヨンの処刑など、主人公リバンウォンが関与しなかった部分の描写はあっさりして居ます。

 

 

当時の事件は以前放送した「チョンドジョン」とほぼ重なるため、本ドラマはただ「全州チョンジュ李氏家族史」を中心に快速特急で進行する韓国史劇版『ホームドラマ』と見て良いでしょう。
実際、製作陣が韓国版『ゴッドファーザー』を目指したと述べている様に『朝鮮王朝版ゴッドファーザー』と言えるかも知れません。

 

 

なので、当時の詳しい歴史を知りたい「歴史ビギナー」には不親切に写るかも知れませんし、詳しく知る為には最低限「チョンドジョン鄭道伝」の視聴が必須です。
歴史事件・事実も多少アレンジして描いているので、私の隣りで好きでも無い史劇を見せられて「門前の小僧、習わぬ経を読む」の如くいつしかドップリと浸かってしまった我が家の家内などは「この場面チョンドジョンと〇〇が違う」などとのたまっており、難しい描写も難なく理解してしまって居ます(笑)。

 

 

過去のKBS大河ドラマは当初先を見ずにグズグズ進行して、いざドラマで深く扱わなければならない後半の重要な事件は飛ばして批判を受ける事が一再ならずでした。
例えば「大王の夢」などはドラマの主演級が太宗武王(キムチュンチュ金春秋)と文武王なのに、この王が在位していた時期の主要な事件である高句麗滅亡及び羅唐ラダン戦争は非常に簡略に描いて居ました。

 

 

他にも「テジョヨン大祚栄」などは重要な建国過程の戦争や建国後の部分が少ないと言う本末転倒な展開で、ドラマ制作意図に疑問を持ってしまう程でした。
推測するに、久しぶりに制作する大河ドラマなので、このような『韓ドラ慢性病』を予防する為、序盤から進度を早める手法を取ったと見られます。

 

 

この様な手法は歴史をよく知らない人たちには不親切な展開として残念ですが、ドラマ主視聴者層が歴史をある程度知っている人だと言う事を前提として居る為、歴史的事実に対する説明がダラけず見易い設定になって居ます。
例えば第1回目プロローグで太宗(リバンウォン)世子(セジョン)に自分が犯してきた悪事・廃倫行為をいちいち列挙する場面から始まりますが、今ドラマの主人公太宗のキャラクターの方向性を端的に見せる明快な導入部となって居て、導入部から視聴者は鷲掴みされてしまいます(笑)。

 

 

このドラマは『麗末鮮初リョーマルソンチョ』という激動期に全州李氏家の群像を扱ったドラマで、先程述べた様に時代劇よりは人物劇に近い作りです。
今までのドラマでリバンウォン以外、影薄い存在でしか無かった彼の兄弟たちに熟練した演技派俳優を配置して比重とキャラクター性を持たせるなど今までの史劇と差別化して居ます。
残念なのは32話という少ない回数に無理やり長い時間帯を押し込んだ為に、そのキャラクターたちの個性が描かれて居ない事です。
もう少し事件か人間を絞った方が『韓ドラ版ゴッドファーザー』としての人物劇を丹念に描けたと思います。

 

 

上記のように現在10話まで視聴終了しました。
今後リソンゲ李成桂シンウィ信義王后から生まれた五人の息子たちとの葛藤と、その間に介入してリソンゲ李成桂を振り回して自分の息子を世子に上げようとする神徳王后康氏との葛藤までかなり細かく描写され、後日の『王子の乱』の背景が詳しく描かれると思われ楽しみです。
特に『第2次王子の乱』は殆ど描かれた事が無いので描かれ方が楽しみです。

 

 

このドラマ、韓国で全般的に好評を博しました。
同時代を描写した歴代のどんなドラマと比較しても史実を最大限反映、既存のドラマと差別化されたキャラクター性と正統史劇にふさわしい俳優たちの立派な演技力で視聴率も10%前後を保ちました。
 
今年に入り動物(馬)虐待事件が大きく騒がれ1か月ばかり休映しましたが、その他には大きく申し分ないとの評価を受けて居ます。

 

 

32話と少ない回数である事がとても残念だという評価がとても多く、素晴らしい完成度のおかげで正統な時代劇を期待した多くの視聴者の渇望を満たしてくれたと言えるでしょう。
今後日本でどのソースで放映されるか興味津々ですが、楽しみに待って頂きたく存じます。
私の様に待てない向きには韓国ドラマショップにてDVD購入と言う手もございますので、ご一考を。
 
是非ともNHKさん、期待して居ます♪
ではまた1〜2度出没させて頂きます。
 
❷のレビュー記事はコチラ

 

歴史の記事はコチラ

 

 
<参考文献>
나무위키 
 

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