< チェウォルダン霽月堂>
庭園内には竹、松、ケヤキ、カエデの木が有り、周囲には土と石で積み重ねた自然の塀が有ります。
この塀には「愛陽檀」、「五穀門」、「瀟灑處士 梁公之慮」などの平板と木版文字が壁に埋め込まれて居ます。
<土塀>
瀟灑園の楼閣は秀吉の侵略「壬辰倭乱」時に日本軍に焼かれ、その後再建した建物です。
その意味では建立した当時の姿では有りませんが、園の中には英祖31年(1755)当時、瀟灑園の様子を木版に刻んだ絵が残って居て、元の姿が分かります。
<チェウォルダンの内部>
朝鮮王朝時代の士(ソンビ:学者)の崇高な品性と節義が垣間見える美しい庭園で、朝鮮王朝時代を代表するナンバーワンの庭園と言われて居ます。
2008年名勝第40号となりましたが、 是非今後「韓国の庭園」として世界遺産登録を目指して欲しいです。
<渓谷を臨む>
<ドラマ チョリン哲仁ワンフ王后>
❷ ワンド莞島郡ポギルト甫吉島に有る『セヨンジョン洗然亭세연정』
ワンド莞島郡は韓国の一番南に位置しており、多くの島で成り立って居ます。
その中で最も美しい島がポギルト甫吉島だと言います。
このポギルト甫吉島に有る『セヨンジョン洗然亭세연정』は、仁祖期(在位:1623年〜1649年)の著名な文人で政治家のユン・ソンド尹善道が波瀾万丈の人生中、政治情勢に憤慨して世捨て人として生きるべく済州島に行く途中、嵐を避けようと入島したボギルト甫吉島が気に入り、10年間過ごす間に造成した庭園です。
<ユンソンド園林 見取り図>
<ユンソンドウォンリム>
彼が造成した庭園は『甫吉島 ユンソンド尹善道 ウォンリム園林』と呼ばれ、3つの区域から成り立って居ます。
❶ラクソンジェ樂書齋
❷トンチョンソクシル同天石室
❸セヨンジョン洗然亭一帯
この3区域で構成されて居ますが、その内の『セヨンジョン洗然亭세연정』が韓国3大庭園に数えられて居るのです。
韓国名勝第34号にも登録されて居る『セヨンジョン洗然亭세연정』はユン・ソンドが宴会を楽しんだ亭子(東屋あずまや)です。
『セヨンジョン』の「セヨン洗然」とは「周辺の景観がとても綺麗で、気分が爽やかになる所」という意味だそうです。
彼はここで『漁父四時詞』と言う有名なシジョ詩調を書きました。
<チルアム七岩パウィ岩>
絶海の孤島に存在する『セヨンジョン洗然亭세연정』ですが、神仙の遊び場の様な釣りを楽しんだ「チルアム七岩パウィ岩」、人工滝と雲橋の役割を兼ねたパンソクポ板石洑(貯水池)、楽工たちの演奏のために石で築いた東台、西台などが存在します。
山の中腹にはオクソアム玉簫庵と言う東屋が有り、楽工と舞妓に楽器を演奏し踊らせたと言います。
<オクソアム>
セヨンジョン前の池には、元々その場所にあった岩をそのまま使用して居ます。
岩は自然のままでガサツとも言える風体です。
王室庭園などに見える長方形の精錬された岩はどこにも見当たりません。
もちろん、湖岸は人が積んだ物ですが、とても自然で、池の中の珍しい岩は自然に有った物をそのまま使用しました。
なのでとても自由奔放に見えます。
日本庭園や中国庭園ではこの様に、普通に見える岩を見る事は有りません。
朝鮮の人はこの様な荒く自然な姿が好きなのです。
これはそのままの自然を愛する民族性を表して居ると言えそうです。
<セヨンジョンの風景>
❸ ヨンヤン英陽に有る『ソソクチ瑞石池서석지』
<ソソクチ 案内図>
ヨンヤン英陽 『ソソクチ瑞石池』は、朝鮮王朝中期の学者チョン・ヨンバン鄭榮邦が光海君5年(1613)に官位を捨てて帰郷し隠遁生活を送った時に造成したと伝えられる朝鮮王朝時代の民家の庭園で、池と亭子(東家あずまや)で構成されて居ます。
チャヤン滋陽山の南側の穏やかな麓に位置する池を中心に、キョンジョン景亭(観望亭)とチュイルジェ主一齋(宿泊施設)を配置し、これらを塀で囲んだ後、塀の外の北側にスジクサ守直舎(管理棟)を置きました。
<キョンジョン>
「キョンジョン景亭」は広い板の間と2つの部屋で成り立って居る大きな東屋です。
宿泊施設で有る「チュイルジェ主一齋」には「ウンソホン雲棲軒」と書いた額が掛かって居ます。
その前に池の方に突き出して石で積んだ壇を作り、そこに松・竹・梅・菊を植えて「サウダン四友壇」と名づけました。
池は「サウダン四友壇」を包んで「U字型」の形をして居ますが、池の東北の角には山から水を引き込む溝と反対側の西南の隅には水が流れる溝を作り、水が流れる様に造成しました。
<ソソクチ 見取り図>
池の名前を『ソソクチ瑞石池서석지』としたのは、「池の中に幾つかの奇妙で珍しい石の群れがある池」という意味で、池の底から岩盤が突き出た姿が、まるで奇岩絶壁が湧いている様です。
19個の石の群れが水中に姿を現しますが、これらの石は元々この場所にあった物で、その見え方に応じて「ソンユソク船遊石」、「サンウンソク上雲石」、「オサンソク魚上石」、「ラクソンソク落星石」などの名前が付けられて居ます。
この庭園も、自然の素材を人工的に加工・配置して庭園を構成したのでは無く、与えられた自然を最大限利用して一つの宇宙を作り出し、石一つ一つにすべて名前を付けて意味を与えようとした、先祖たちの理想的な自然観を垣間見る事が出来ます。
<以下 キョンジョン内部>
<石垣>
まさに朝鮮王朝時代の民家庭園の白眉として、その名を馳せて居ます。
以上見た様に、朝鮮の有名な庭園全て「自然を活かし、自然を上手く活用する事で人工美を表現」しようとした我が国の先祖たちの美意識を垣間見る事が出来、中国・日本式庭園との決定的な違いが見えます。
<ドラマ 雲が隠した月明かり>
少ない紙面で表現する事は非常に困難ですが、少しでも韓国・朝鮮の庭園の世界観を理解して頂けると幸いです。
この様な知識を基に、コロナ禍が収まったら是非、今回紹介した庭園は無理だとしても、韓国朝鮮式庭園の代表格で有るソウル『チャンドククン昌徳宮フウォン後苑』を訪ねて見て頂きたいと思います。
<ドラマ 袖先赤いクットン>
<参考文献>
문화재청 국가문화유산포털
한국민족문화대사전
나무위키
위키백과
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