<ドラマ 緑豆の花>
ワンポイントコラム
<韓国朝鮮歴史のトリビア>
227.邑城ウプソン
本日、キムヨンチョルの街歩きを観ると、忠清南道タンジン唐津市を扱って居ましたが、そこで今も残る邑城ウプソンの遺構が紹介されて居ました。
邑城ウプソンは我が国に残る貴重な遺跡です。
なので、今回はこの邑城ウプソンにスポットを当てて見たいと思います。
我が国の都市は日本とは異なり、中国やヨーロッパの様に城郭都市でした。
即ち、村や都市まで大小中大規模の居住地が城郭に囲まれた空間でした。
中国に於ける国家の始まりは都市国家「邑」が起源で有る事は有名です。
「国(國)」と言う漢字も城郭に囲まれた人と武器=国家器具を現して居ます。
我が国に於いて、古朝鮮に至る初期の都市国家が中国と同じく「邑国家」で有ったか実証はされて居ませんが、地理的な近似性から多分に城壁に囲まれたであろうと推測されて居ます。
楽浪遺跡に於いては土城の存在を確認出来ますし、三国時代には朝鮮式山城とセットでの邑城の存在が示唆されて居ます。
後期新羅・高麗時代以降は邑城の存在をしっかりと確認出来ます。
治安、行政、防衛の目的で城壁に囲まれた邑城で居住地を造成し、居住空間としました。
邑城には出入口である城門があり、追加的な防御として甕城オンソン、雉城チソン、見張り台、垓字ヘジャ(お堀)などを巡らせました。
朝鮮王朝時代には、地方別に行政の中心地には必ず邑城ウプソンを築きました。
当然、その地域で人が多く住む中心地一帯に建設しました。
時代別にウプソン邑城の数は多少変動が有り、『世宗実録地理誌』では当時335の行政区域の内、邑城が記録された所は96箇所程度でしたが、成宗時代の『東國輿地勝覽』には当時330の行政区域の内、160ヶ所のウプソン邑城が有ったと記録されて居ます。
中には1都市に2～3箇所の城郭がある所も有り、実際の城郭の機能を有している所が190箇所となって居ます。
一方、壬辰倭乱後には334の行政区域の内、邑城のある地域は107箇所に減少しており、戦乱を経て相当数のウプソン邑城が破壊され、修理出来ずに放置されて居た事を物語ります。
邑城の面積は小さい所では60,000㎥から大きくは150,000㎥でした。
東京ドームが約46000 ㎥ですから、1個分から3個分程度だったと思えば良いでしょう。
邑城のうち最も小さい所が2万㎥のチンへ鎮海ウプソン邑城であり、最も広い所が内城限定で8.5㎦であるケソン開城、北城+内城基準で4.3㎦のピョンヤン、1.29㎦のスウォン水原ファソン華城などが有ります。
↓スウォン水原ファソンについてはコチラ↓
残念ながら、ウプソン邑城にどれ程の人口が住んだか明らかにされて居ません。
人口密度が高かったヨーロッパと異なり、朝鮮王朝時代の邑城は人口密度が低かったのが特徴で、最高でもピョンヤンやハンソン漢城(ソウル)の20万人規模だったと言えます。
これは100万人規模だった19世紀のロンドンなどと比べ、かなり低かったと言えます。
また、城壁都市では有りませんが、18世紀の江戸が当時世界一規模の100万人都市だった事を思うと、朝鮮に於ける都市の発達は非常に緩やかで有った事を物語ります。
ヨーロッパに於ける都市と異なり、我が国のウプソン邑城は、行政機能を中心に防御施設、住民の住居施設が伴って行った事も特徴の一つです。
商業の発達により、朝鮮王朝後期には邑城ウプソンに商業的機能も追加されました。
基本的に5日市が邑城ウプソンの至る所で催されました。
邑城ウプソンは朝鮮王朝末期まで存在しましたが、植民地化に伴い、我が国の地理的特色を恐れた日本により、1910年「邑城撤去令」が発令され、邑城は徹底的に破壊されました。
それでも現在、原型をほぼそのまま維持したまま残っている邑城としては、コチャン高敞ウプソン邑城、ラクアン樂安ウプソン邑城、ヘミ海美ウプソン邑城が存在します。
他にも一部存在する邑城は韓国内に限っても30余箇所有ります。
最近では地域振興・観光資源開発の為、邑城を復元する動きも見えます。
ドラマ「緑豆の花」や「ミスターサンシャイン」など、史劇の撮影現場としても大きな存在感を放って居ます。
<水原スウォン華城ファソン>
<主な邑城ウプソン 所在地>
<参考文献>
한국민족문화대사전
나무위키
위키백과
한겨레 읍성에 새겨진 숨결도 되살린다
