<ドラマ トッケビ>
 
 
ワンポイントコラム
<韓国朝鮮歴史のトリビア>
214.トッケビ도깨비 
 
 
 
 
前回日本の妖怪河童カッパを見た流れで、今回は朝鮮を代表する妖怪『トッケビ』を見ようと思います。
 
トッケビとは動物や人の形状をした幽霊を指しますが、示す範囲が広く、鬼や妖怪、お化けなど広範囲です。
 
朝鮮を代表する幽霊・お化け・鬼ですが、コンユ主演のドラマ「トッケビ」の大ヒットにより、世界的に有名な妖怪になりました。
 
トッケビには異名も多く、トチェビー・トクガクキ獨脚鬼・トクガプイ狐魅・ホジュ虛主・ホチェ虛體・マンリャン魍魎・リョンガム(済州島)など、多くのの名前で呼ばれます。
トッケビを「キムソバン김서방(金旦那)」とも呼びます。
これは、トッケビは人間の名前をキムソバンしか知らないので、もじってそう呼ぶのです。
 
<トッケビ図鑑>
 
トッケビは我が国古来の宗教で有る、『巫教』下級神としての性格を持って居ます。
 
↓巫教についてはコチラ↓

 

トッケビの語源については諸説有り、主に上記の「トクカクキ獨脚鬼」から来たと言う説、火や火種を表す「トッ돗」と大人を表す「アビ아비」が合わさったと言う説が有力です。
 
「三国遺事」など幾つかの文献にも記録されており、三国時代から既にトッケビ信仰が存在していたと推測されます。
 
肯定的・否定的の両面性を見せますが、人間を殺害するほど悪さをする事はせず、人間の計略に超能力を利用される愚かさをさらけ出したりユーモラスな姿を見せるのが特徴的です。
 
トッケビは単純に「鬼」と訳される場合も多いですが、日本の妖怪とも言える膨大な種類を指す概念なので、幾つかのカテゴリーに分類する事が出来ます。
 
A〜Eに区分して考察します。
 
 
A.形状として、
❶火トッケビ・巨人トッケビなど具体的な形が見えるトッケビ
❷姿・形は見えず、お茶碗の割れる音、馬の蹄の音、瓦屋根の割れる音の様に目には見えないトッケビ
に分けられます。
 
姿形があるトッケビの姿は、頭を散らかしたまま歩き回る、漆を塗った様な黒い1本足でピョンピョン駆け回る、背が高くて天まで届いて頭が雲にそびえるなどの形象で描かれます。
鬼の足一つという話は、古代から東洋に多く広まっています。
 
 
B.性別は
不明ですが、一般的に頭を散らかして歩き回るトッケビは男性トッケビで性質が粗い場合が多く、通常山道や野道で出くわすと言います。
 
民間では、お化けたちが火を付け行き来すると言う旧暦正月14日の夜と15夜鬼火を見て、その年農業の飢饉と豊作を占いました。
この時、トッケビは千変万化で神出鬼没、体が一定せず、子供・巨人・高齢者・独身・乙女などの様々な姿で現れ、俊足で野原を駆け回ります。
 
 
C.姿形で区分すると
❶火を付けて歩き回るトゥンプル(灯り)トッケビ、
❷転がり回るタルギャル(卵)トッケビ、
❸モンソク(むしろ)トッケビ、
❹ホッイブル(シーツ)トッケビ、
❺ムル(水)トッケビ、
❻サン(山)トッケビ、
などに分けられます。
 
 
人が死んだ後の魂の移り変わりと言われる『クィシン(鬼神:幽霊)』とは異なり、「トッケビ」は木や石などの自然物が移り変わって現れた物だと言います。
 
昔の文献に大きく
⑴マンリャン魍魎
❶ムル(水)トッケビ
❷サン(山)トッケビ
❸モクソクグェ(木石怪)
 
⑵リャンメ魎魅
〜足が1つのお化け、
 
⑶リメ魑魅
山の異氣で生じたトッケビ
 
の様に3種類で区分して居ます。
 
他にも、人が使用して居た物が変わってトッケビになったケースも有ります。
❶ピッチャル(ほうき)トッケビ
❷プドゥンケ(火種)トッケビ
❸草履・杵・釜、壊れた茶碗、クッションなどの様に、人の手垢がついた物や、女性の血液が付着した物がトッケビに化けると考え、田舎ではその様な物は火に燃やしました。
 
<色んなトッケビ>
 
D.トッケビが住む所は、
一定では有りませんが、野原・山道・渓谷・寺や古家などとされて居ます。
 
陰気で日陰の場所に住み、人が中々通わない所や夜陰に住むとされます。
特に、大きな木は『クィジュン鬼衆』が集まる場所とされ、巨木の枯れ枝は折ってかまどに入れる事をしませんでした。
 
使用していない井戸もよくトッケビが集まり易く、人が住んでいない廃屋、荒野や茂みや森もトッケビの住処となると言われて来ました。
 
E.トッケビの特徴は、以下の通りです。
❶まず意地悪なイタズラを非常に楽しみます。
例えば、市場を行き来する人に格闘(相撲)を乞い、一本足の為にすぐ負けるにも関わらずしつこく挑む話や、宴会が行われる家に現れ釜蓋を釜の中に投げ込んだり、牛を屋根の上に持ち上げたと言う話が、トッケビの悪戯心を示して居ます。
 
❷第2に狡猾で浅はかです。
人々はトッケビの愚かさを利用して富を得たり、または得をします。
日本のこぶ取り爺さんにも似た、①こぶの有るせいで歌舞が上手だと言い、宝物をこぶと変えた話、②どんぐりが割れる音を家が崩れる音と勘違いして逃げた話、③一度お金を貸した所、毎晩貸したお金を持って来て金持ちになった話、
などはこれらの例え話です。
 
<妖精の様なトッケビ>
 
❸第3に、たとえ愚かで物忘れがひどいとしても、借りたお金を返す事を忘れない律儀さ・倫理性が有ると言う特徴が有ります。
約束を必ず守り、騙された事を知り怒っても利口な人間にまた騙される無邪気さと真面目さを持って居ます。
 
❹第4に、歌と踊りを楽しみ遊びが好きです。
これは朝鮮民族の民族性とも言えますが、歌舞を楽しみ、相撲や遊戯に熱心です。
他にも済州島の場合、トッケビ神で有る「リョンガム」は、豚肉やきび団子、焼酎などを好んで食べ、海女さんや未亡人など美女が大好きで良く追い回します。
 
<鬼瓦おにがわら>
 
この様に、我が国の妖怪で有るトッケビは、人間と同じ情緒を持っており、喜怒哀楽が有り、特に嬉しく楽しい事に没頭すると言う滑稽さを持った存在で有る事が大きな特徴と言えます。
 
トッケビは千変万化して、目に見えない透明体になる事も有り、神通力を持っていて超人的な怪力を示す事も有ります。
 
そして美しい女性に変身もし、未亡人に変化して白装束を着て表れるなど、自由自在です。
トッケビは一つの姿だけを持つのではなく、いとも簡単に他の姿に変身し、人々を混乱に陥れる事もしますが、トッケビ「お面」「トゥンコリ腰布」を着用すれば被った人も目に見えない様になると言います。
 
 
この様な超人的な能力を持っているトッケビは神格化されて、例えば済州島では家の中の守護神である日月祖上」、「漁船の船神」、「鍛冶屋の神」、そして「町の堂神」などに祀られて守護神になったりしました。
 
日本の妖怪やお化けも色んな性質を持ち、民族性に因んだ様々な性質を持ちますが、我が国のトッケビも同様で、朝鮮人の意識の中に生きていて、物質的欲求の充足と言う存在として示されて居ます。
 
他の多くの民族も、それぞれ超自然の存在を設定し敬い、畏(おそ)れ、付き合って来ましたが、それなりの独特な性格を持ったトッケビを創造したのは、朝鮮人のメンタル的な特徴による物で、それらをよく表わして居ると言えます。
 
トッケビは幽霊の様に、不正に人に害を与えません。
最終的には円満な解決と勧善懲悪が保証された、悪気ないイタズラを使うだけです。
鬼が持つ神通力は、最終的には人間に有益に使用されます。
 
いつの世も人々は、金を稼ぎたい、大きな権力を握りたい、美味しい食べ物をたらふく食べたい、良い家で贅沢三昧したいなど、あらゆる叶わぬ夢を見ますが、現実にはそう上手く行きません。
 
人々はトッケビを信じる事によって、部分的にその様な欲望と願いを満たす事が出来たのでしょう。
 
<トッケビの特徴>
 
トッケビ信仰は、これらの一般的な機能以外に、朝鮮民族の考え方と人生観・宇宙観などを研究する上で、良い材料となって居ます。
 
<参考文献>
한국민족문화대백과사전
나무위키
 

#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画

 愛のムチならぬ愛のポチお願いします ↓

にほんブログ村 テレビブログ 韓国ドラマへ

  ブログランキング・にほんブログ村へ

ブログ村に参加して居ます↑
↓読書登録はこちらから↓
韓国・朝鮮よもやまばなし - にほんブログ村