<フィッパラム口笛のチョンへヨン>
 
第4章 韓国朝鮮の文化
18.共和国の音楽PK-POP
 
 
 
ネットニュースで共和国のキムオクチュがトレンドに上がったせいか、この記事の検索が増え、アクセスが増えました。
 
なので、再度UPさせて頂きます。
 
元々当初の予定では韓国と共和国の音楽、K–POPとPK−POP(NK-POP)の歴史について扱うつもりでした。
 
その中でK-POPは曲がりなりに纏める事が出来ましたが、やはり共和国の音楽を纏めるのは資料が乏しく困難で、頓挫して居ました。
 
<サムジヨン管弦楽団>
 
しかし昨日たまたま、雑誌Penを取り出して読んだ時、共和国の大衆音楽についての記事が掲載されて居る事を思い出しました。
 
この記事に触発され、共和国の音楽の歴史では有りませんが、大衆音楽のトレンドについて簡単に述べたいと思います。
尚、K−POPについては以前書いたので、コチラの記事をご覧下さい。
 
↓↓記事はコチラ↓↓↓

 

現在、日本や韓国でPK–POP(もしくはNK− POP)なるものが静かなブームを呼んで居ます。
PKとは共和国の事、NKNorth Koreaすなわち北朝鮮を指します。
KーPOPの向こうを張ってそう呼ばれて居ます。
 
現在Youtubeで盛んに流れており、新しい歌がUPされると広く聴かれ、歌われるのだそうです。
共和国の美女応援団が、オリンピックなどの共同応援で人気を博して居るのと同じ脈絡と言えそうです。
 
<ポチョンボ電子楽団>
 
共和国で大衆音楽の出発点は「ポチョンボ電子楽団」と言われて居ます。
厳密に言えば、共和国には韓国や西側諸国の様な概念の大衆音楽は存在しません。
全てのメディアは朝鮮労働党の指導により決定され、大衆音楽を主導する一般的な意味のマスメディアが存在しないからです。
 
                               <チョンへヨン>
 
しかし、1980年代から西側の大衆音楽に近い、普通の人が好む「人民性」が強い音楽「生活歌謡」のジャンルが生まれました。
 
特にその中で、1983年「ワンジェサン軽音楽団」が結成 、1885年「ポチョンボ電子楽団」に代表される電子音楽が誕生した事で、既存の音楽とは異なる新しい音楽ジャンルの発生が見られます。
 
<ワンジェサン軽音楽団>
 
シンセサイザーと電子ギター・サウンドを中心とした、軽快で明るい「個人の歌」が生まれ、生活の中でゆったり歌う事が出来る歌が多く作られました。
 
男女の切ない感情を載せたり、宴会で楽しんで歌う歌「フィッパラム口笛」「都市の乙女嫁に来る」「まだ言えない」などは、今も共和国で多くの人気を得て居て、韓国在日コリアンにも良く知られている共和国歌謡です。
 
<ワンジェサン軽音楽団 リョムチョン>
 
社会主義をテーマにしながら大衆歌謡曲の要素を加味した「あなたがいなければ祖国もない」「明けないでくれ平壌の夜よ」などの曲や、民謡に現代的な感覚を加味した「オンヘヤ」「ノドゥルの川辺」「トラジ」「密陽アリラン」など現代的な民謡も生まれました。
 
<チョ・クムァ>
 
今では考えも及びませんが、「ポチョンボ電子楽団」は、1991年に日本を全国縦断公演して、多くの拍手喝采を浴びました。
これまた余談ですが、拉致問題が発生する以前には、2〜3年に1度、共和国から『ピョンヤン学生少年芸術団』など多くの芸術団が訪日し、この様に日本全国縦断公演を行い、多くの支持を得て居たのですから、今では隔世の感です。
 
電子音楽シンセサイザー電子ギターなど、クラシックとは距離が遠い現代音楽で、つまり共和国が警戒している資本主義的、退廃的な音楽です。
 
<リ・ギョンスク>
 
しかし、韓国がそうだったように、共和国でも1980年代半ばからディスコブームが起き、いくら国を閉ざしても、国際的なトレンドを完全に防ぐ事は出来ないので、先手を打って耐性を付ける意味でも少しずつ解禁したのでしょう。
 
私が1988年共和国を訪問した時、地方都市に行きましたが、青年たちの間で電子音楽を伴奏にダンスを踊るのが密かに流行して居るとの話しを聞きました。
 
<キム・グァンスク>
 
とは言え、共和国の電子音楽は健全な電子音楽です。
「人々の革命意識と民族自主意識を麻痺させ堕落」した西洋の電子音楽ではなく、新しいながらも健全な共和国式の電子音楽です。
 
共和国式の電子音楽を披露したポチョンボ電子楽団ワンジェサン軽音楽団は創立から熱狂的な人気を得ました。
 
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<チョン・へヨンのフィッパラム口笛>
 
共和国では接しにくかった斬新な歌詞と軽快なリズム、特にチョンへヨンの歌う『フィッパラム口笛휘파람』は歌詞、派手なファッションとパフォーマンスなどに共和国の大衆は魅了されました。
今でも好きな曲を挙げると、欠かさず挙げられる曲です。
 
ポチョンボチョンへヨン・キムグァンスク・リキョンスク・チョグムァなどの歌手たちは最高のスターとなり、人民俳優の称号を得ました。
 
<モランボン電子楽団>
 
しかし、1980年代を風靡したポチョンボ電子楽団の活動は少しずつ停滞に陥り、1990年代を経て2000年代に入って活動が見られなくなりました。

一説によると団員の内から海外と関連する不正が発覚し解散、収容所送りとなったとの情報が有りましたが、定かでは有りません。

 

2009年1月にサムジヨン楽団、同年5月にウナス管弦楽団が創立されましたが、クラシック音楽団と演奏団でした。
 

<サムジヨン管弦楽団>

 

2012年にキムジョンウン体制が開始され、新しい電子楽団の創立ニュース が入りました。

キムジョンウン国務委員長が直接創立したというモランボン楽団が創立公演をし、デビュ–したのです。

 

デビュー公演は「アリラン」の演奏を皮切りに2時間行われ、特に2部の最初の曲はハリウッド映画「ロッキー」の主題歌、演奏中にステージ後方に映画のシーンも登場しました。
 

<サムジヨン管弦楽団のソウル公演より>
 
続いて、ディズニーのアニメーション主題歌を次々演奏、舞台にはミッキーマウスとミニーマウス、くまのプーさんの着ぐるみが登場し、西側メディアの度肝を抜きました。
 
破格の舞台でデビューしたモランボン楽団は以後、共和国の主要なイベントや祝賀公演を主導しました。
 
 
モランボン楽団は革新と変化を重要なエネルギーとする、金正恩時代のアイコンだったと言えます。
公演では「世界の名曲」というテーマで、クラシック音楽やアメリカ・ロシア・イタリアの民謡が演奏され、共和国楽団の公演と言う事を忘れそうな程でした。
 
 
一触即発の危機を脱し、南北が本格的な出会いの場を持った2018年1月に、共和国は2018平昌冬季オリンピック参加を宣言し、親善交流の一環としてサムジヨン管弦楽団140人余りがソウルと江陵で二度の公演を行いました。
 
「2018平昌冬季オリンピック成功祈願祝賀公演」で始まったサムジヨン管弦楽団の公演では、共和国の歌だけでなく、韓国の歌とクラシック、世界の民謡を演奏しました。
キムオクチュが歌った「Jに」を始め、韓国大衆歌謡を相次いで歌いました。
 
<モランボン電子楽団>
 
すでに韓国歌謡は共和国でかなり知られて居ると言います。
その年4月に行われた韓国芸術団の訪朝公演を通じて、これを確認する事が出来ます。
共和国側で韓国歌謡「遅かった後悔」をリクエストし、韓国芸術団が歌唱しました。
この曲は亡き金正日委員長が好きで歌って居た曲だそうです。
 
<サムジヨン管弦楽団>
 
現在もワンジェサン芸術団は、他の芸術団との総合公演はもちろん、全国巡回公演を通じて存在感を誇示して居ます。
 
2016年にはサムジヨン三池淵郡で開いた公演をはじめ、両江道巡回公演、チョンジン公演、フンナム肥料連合企業所公演、平安南道巡回公演、ピョンヤン公演など130余回の公演を進行しており、2017年にも活発な活動を披露しました。
 
公演では「行くよ白頭山に」「我らの金正恩同士」など革命的情熱を盛り上げる歌を中心に、ラップダンス「青春時代」などの現代舞踊も含まれて居ました。
 
<リソルジュの妹 リソルヒャン>
 
ラップダンスとは「タップ」の共和国式表現です。
共和国歌謡をバックミュージックとして使用しますが、西洋のタップを舞台に上げたことが注目に値いします。
他にも「リューンダンス」と言うタンクトップと超ミニスカートを着たダンサー達が機械体操の動作を応用した舞踊を踊ります。
 
<サムジヨン管弦楽団>
 
この様に、共和国の大衆文化は今後も「人民性」を基本に、徐々に「大衆性」を加えながら、今後とも大いに発展して行く事が予想されます。
 
皆さんもYoutubeなどで、共和国の大衆音楽に接して見ては如何でしょうか

 

<モランボン電子楽団>
 
<参考文献>
Pen 牡丹峰だけに留まらない、北朝鮮の音楽トレンド
대구, 북한 대중문화에 대한 올바른 이해
나무위키 
북한의 음악 대중가요
 
#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画

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<サムジヨン管弦楽団>