<ドラマ 成均館スキャンダル>
 
ワンポイントコラム
<韓国朝鮮歴史のトリビア>
167.朱子学:性理学
 
 
 
今回は満を持(じ)して朱子学:性理学について簡単に説明します。
 
高校で世界史を教えて世界の宗教に興味を持ちました。
別に宗教に入れ込んだとか入信したくなったとかでは有りません(笑)。
 

<ダヴィンチの最後の晩餐>

 
これ程多くの人々を魅了する思想とはどんな考えなんだろう?と言う学問的興味が湧いて来たのです。
 
基本、マルクス「宗教はアヘンだ」と言う命題が有る様に、私が帰依するイメージは有りません(笑)。
そもそもひとつの考えに囚われるのは嫌なのです。マルクス主義チュチェ思想も含め(笑)。
 
<マルクス>
 
しかし、「その物を知らずにその物を語るなかれ」と言う考えは有ります。
基本、教育を受けながら、何故知りもせず、知らせも教えもせず批判するんだろう?と言う疑問を持っていたのは確かです。
 
教える人達がどれだけ知ってどれだけ本質を把握して批判するのか、そんな説得力無い勉強は御免だと言う反抗心は私の中で常に有りました。
 
と、これ以上ほざくとかなりヤバい方向に進みそうなのでここら辺で抑え(笑)、本題に戻りますが、朝鮮の歴史上最大の影響を及ぼし、朝鮮を植民地に追いやった1番の戦犯と言われて居る朱子学:儒教性理学についてもっと勉強したいと思って居ます。
 
<成均館大学>
 
出来れば成均館大学に留学し、儒教性理学部なんかでも入って習えば完璧かも知れません。
とは言え、その成均館大学でも儒教人気はイマひとつだと言います。
現代の価値観ではさもありなんと言った感じです。
 

ちなみに儒教は宗教では有りませんが、多分に宗教的世界観を備えた教義及び学問です。

「思想」と言う言葉がピッタリ合うかも知れません。

 
なので、今回は「韓国朝鮮歴史のトリビア」管理人流解釈による「儒教性理学:朱子学」入門を上梓したいと思います。
この間私が習って理解した朱子学の本質をなんとなく伝えられたら幸いです。
 
<朱熹>
 
朱子学とは朱子の教えと言う意味です。
朱子とは朱熹(しゅき:南宋出身1130〜1200)を先生と崇めて、高めて呼ぶ言葉です。
孔丘孔子と、孫武孫子と呼ぶ様に。
私も頑張れば『呉子』と呼ばれる日が来るかな〜なんて、もう呉子諸子百家で存在します。
2人居ても良いのかな?なんて図々しい(笑)。
 
朱子学とは朱熹が儒教を集大成して仏教や道教に対抗出来る学問、言わば「哲学」として体系化した学問で、なので意義が有り、これ程広く流布したと言えます。
 
<孔子>
 
それまで儒教、孔子の教え、孟子の教え…それぞれ「教え」で哲学ではあれど、宇宙の成り立ちから始め、理論が断片的で完璧に整って居なかった訳ですね。
それを仏教の世界観に対抗出来る形で一本化して体系化した事に意義が有ります。
 
少し細かく言うと、朱熹は儒教のテキストの中で曾子の「大学」・孔子の「論語」・孟子の「孟子」・子思の「中庸」の四書を注釈し、その地位を高めたのです。
 
そしてこの四書儒教の基本経典としました。
4人の教えを合体させたと言うべきでしょうか?
 
ここで朱子学の本質を幾つか叙述します。
 
 
❶まずは理気論です。
この世は「理」と「気」で成り立って居ると言う理論です。
これは何と無く分かりますね。
「理」は意識で、「気」は物質です。
この理・気が互いに分離せず表れると教えました。
しかし、どっちが先とかどう表れるとか迄、踏み込みませんでした。
勿論「気」が先に来るので有れば唯物論になりますからそうは言いませんし、儒教観念論なので理が先か、理と気が一緒に表れると言う主張になります。
 
朝鮮王朝時代、中国では踏み込めなかったこの部分に踏み込んだのが以前朝鮮の人物で紹介した李珥リイと李滉リファンです。
 
↓2人についてはコチラ↓↓↓

 

余談ですが、儒教は「論語」ひとつ取っても解釈の仕方が様々で、論争になりやすく、それを突き詰めると朝鮮王朝時代の「党争」になります。

 
どうでも良い事でも学者たちに取って見ると大きな問題だと言う訳ですね。
これが政治に利用されると「党派闘争」になる訳です。
 
 
❷ 次に「性即理」の理論です。
朱子学では❶の理気論を人間に当てはめ、心を「性=理(本性)」「情=気」とに分け、これによって身分の上下が表れると説きました。
 
本性と感情は分離出来ないが区分されるので、人にも本性が尊い人と卑しい人に分かれると言う訳です。
 
一言で身分制度を擁護して居ると言えます。
 
<科挙制度>
 
ちなみに朱子学とよく対比されるのが、中国の明代に王陽明が起こした「陽明学」です。
朱子学が唱える「性即理」に対し、陽明学は「心即理」という考え方を唱えています。
 
「心即理」では心は分けるものではなく、「心そのもの」こそが「理」だとしました。
 
権威に従い秩序を重んじる朱子学が統治者に好まれたのに対し、権威に盲従するのではなく、自分の責任で行動する心の自由を唱えた陽明学は自己の正義感に従って秩序に反発する革命思想家に好まれる傾向が有りました。
 
<我が国の書院>
 
なので、中国では清の時代に朱子学に対抗して盛行した陽明学ですが、朝鮮では異端とされ弾圧されました。
タラレバですが、朝鮮で陽明学を受容する体制が有れば歴史は変わって居たかも知れません。
 
❸現実に於ける実践方法として「修養論」を挙げる事が出来ますが、内容としては「居敬窮理」と「格物致知」が有ります。
 
「居敬窮理」とは万物の理を研究するにあたり心の姿勢を正して没頭する事を意味します。
 
「格物致知」とは物事について研究して知識を広げる事を意味します。
 
 
この様に人間の気質を優秀にする為に学問を実行する事が重要だと説きました。
この様に修養を極めた人間を君子と呼びます。
 

修養の仕方は仏教道教の修養と異なって居ます。朱子学では徹底的に仏教道教に対抗した理論を打ち出して居るのです。

 

❹朱子学では死後の世界を認めない為、扱いがとても曖昧です。
あくまで生きている時の行動を説いたので死後には興味が無かったと言えます。
その為、死後の世界は仏教の世界観を借用して居ます。
 
❺儒教に於ける大事な徳目として孔子が説いた「仁」よりも「礼」を重要視しました。
これはかなり大事な特徴で、君臣・長幼・男女間の秩序を最重要視します。
一部、孟子「易姓革命」を取り入れはしましたが、❸の徳目を備えない王や上司に出会うと下に居る者たちはお手上げです(笑)。
 
これが統治者、特に我が国朝鮮王朝時代に利用された特徴で、革命が起こりにくい理由になります。
 
<フランス革命>
 
東洋社会ではイギリスフランスの様に民衆が王様を弑害するなど想像も及びません。
 
その伝統の影響で、現代でもルーマニアチャウシェスクの様に軍が指導者を処刑する様なショッキングな事件は起こらないと言えます。
 
大まかに朱子学の特徴を挙げましたが、研究者によって分類も違い解釈も異なります。
 
先程も言いましたが、漢文は表現が曖昧で、解釈の仕方が難しいのが特徴な上、学者間に於いても解釈に差が生じる為、論争が起きやすいと言えます。
 
<ドラマ チョンドジョン>
 
特に儒教のその後の発展形で有る陽明学考証学が異端として徹底的に弾圧された我が国では、朱子学を深く掘り下げるしか道が無く、解釈によって党派が生まれ、党争が激化したと言えます。
 
中国よりも朱子学が盛行した朝鮮王朝ですが、それは朱子学を国教にし、朱子学を国是と崇める士大夫が『国家理念』として建国した国家だった為と言えます。
一言で言うとイデオロギー国家です。
社会主義と似て居ますね。
 
統治者にこの上無く都合の良い朱子学ですから、みすみす手放す筈は有りません(笑)。
 
<チョンモンジュ>
 
西学や開化思想など徐々に浸透して行きはしましたが、それらが受容されるのは朱子学が否定された後にしかなされなかったと言う面が我が国に於いて不幸だったと言えます。
 
<参考文献>
나무위키 
한국민족문화대백과사전
垣内景子 朱子学入門
Wikipedia
日本史用語集 朱子学
 

#韓国ドラマ #韓国時代劇ドラマ #韓国映画

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