第7章 韓国ドラマ映画
79.ソンギュングァン成均館スキャンダル❷
私は元々テレビってあんまり好きで無くどちらかと言うと本を読んだり歌を聴くのが好きです。
ラジオも「ながら聴き」をしやすいので好きでした。
特に車の運転時には楽しいですね。
若い頃からNHKの大河ドラマ以外殆ど観なかった私のような人間も珍しいでしょうか?
いえ、最近の若者もテレビ離れが激しいと言いますから、少々通じる部分が有るかもです。
しかし今やブログ執筆をする様になり、ヒマさえ有ればテレビをチェックするのに忙しいです。
観る番組は
❶KBSワールドのニュース、バラエティー番組
❷韓流史劇ドラマ
❸韓国映画
❹大河ドラマと火水金ドラマ
❹Netflixeの話題作
ちょっと見過ぎですか?
忙しいのでブログ記事を書きながら1.3倍にして観て居ますが、本当に忙しいです。
途中寝てしまう事も多いです。
今日は仕事が休みなので集中して観てます。
楽しみなソンギュングァン成均館スキャンダルもやっと観られます。
↓↓↓前回のレビューはコチラ↓↓
成均館スキャンダル、題名とモチーフから軽いドラマを想像しましたが、そこはやはり韓ドラ。
重々しく進み、男装して女人禁制の学問最高府に潜り込むと言う一見バカバカしいお話しですがシリアスにストーリーが進みます。
メインの役者が皆知った顔と言う部分が大きいのでしょうが、登場人物のキャラが立って居て主要人物が皆魅力的です。
ソンギュングァン成均館の日々の生活が伺えるのが面白くも有り、ハラハラドキドキも有り目が離せません。
やはり人気小説のドラマ化だけ有って話の筋がしっかりして居ます。
ドラマを貫く重要な隠れモチーフ(隠れてませんが:笑)それは『금등지사クムドゥンジサ』です。
日本語には訳し難いのか字幕では「密書」とだけなって居ます。
漢字では『金縢之詞クムドゥンジサ』と書きます。
今回はそのストーリーを支える重要な隠れモチーフについて説明させて頂きます。
内容上ワンポイントコラムの記事にしても良いのですがドラマ繋がりが大きいのでコチラのカテゴリーにします。
金縢キントウ금등(クムドゥン)と言う単語を広辞苑で調べると「金のひもで封をした箱。その中には、重要な文書をしまっておく」と有りました。
元々金縢キントウは儒教の経典「書経」の『金縢編』と言う題名から出た単語です。
それはこんなお話しです。
周の武王が病気に掛かると、その弟である周公は
「自分が武王の代わりになって死ぬので王をお助け下さい。」と天に祈願する文章を書いて箱に入れて置きました。
武王が亡くなり、その息子である聖王が即位すると周公が摂政を務める事になりますが、彼の弟2人が周公を中傷して彼が武王を毒殺したと罠に陥れました。
周公は洛陽に避難しますが、聖王が後に金縢(キントウ)の中の本文書を発見して、周公の濡れ衣が晴れたと言う故事です。
この様に金縢之詞とは人に言えない悔しさや秘密が有って、後世にこれを明らかにして、真実を知らせる文書を指します。
朝鮮王朝ではこの場合、英祖と正祖との関係になぞらえて使われます。
ドラマ「イサン」をご覧になった方はご存知かと思いますが、英祖は党争に巻き込まれて自分の息子で有るサドセジャ思悼世子を米櫃に閉じ込め餓死させて居ます。
ここの所はソンガンホ主演の映画「王の運命」に詳しいので是非ご視聴を。
<映画 王の運命のサドセジャ役ユアイン>
英祖の孫で有り思悼世子の息子で有る正祖は即位初の言葉が
「余は思悼世子の息子で有る」で有った様に、
父の無念を晴らし汚名をそそぐ事を自己の重大な統治課題としました。
英祖は息子を殺してしまった後自責の念に駆られ、この事件が小論派と老論派の党争により起こった事で有り間違いで有った事、正さねばならぬ事として、政治的諸事情から今宣言する事は出来ないが、ゆくゆく先の世に正してもらいたいと書を書き残したと言われて居ます。
これが朝鮮王朝の正史で有る『朝鮮王朝実録』にも記録されて居る『金縢之詞』で、実在した書だそうです。
余談ですが、この書をモチーフにしたハンソッキュ主演のサスペンスドラマ「秘密の門」が有ります。
この書の存在は正祖が父の復権を図る重要なアイテムとなりますが、ドラマではその書を祖父・英祖が成均館ソンギュングァンに隠し残したとして、臣下で有る丁若鏞チョンヤギョンをして探す密命を与えます。
そして、この成均館ソンギュングァンでその
「金縢之詞」を正祖よりいち早くも見つけ正祖の意図を挫こうとする反対派との敵味方入り乱れての、のっぴきならぬ争いが火蓋を切ります。
回が進むにつれ政治的陰謀を巡る敵味方間の争いで手に汗握る展開になる事でしょう。
史実で「金縢之詞」は正祖即位直後に発見されており、ドラマの歳まで探したと言う事実は有りませんが、小説及びドラマでは成均館での主人公たちの日常生活に歴史的使命を挿入する事により、ドラマの緊張感を高める為の重要なドラマツルギーにしたのでしょう。
韓国ドラマではこの様に事実(ファクト)とフィクションの間を描く『ファクション』と呼ばれる手法が近年増えており、成功を収めて居ます。
そんな下敷きの上にドラマが成り立っている事を念頭にドラマを観て頂きたいと思います。
主人公の父親を巡るエピソードも気になりますが、今後に期待と言う事で。
ではまた。
<参考文献>
나무위키
위키백과
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