<映画 王の男>
ワンポイントコラム
<韓国朝鮮 歴史のトリビア>
67.サダンペとナムサダン
サダンペとは、群れをなして流離(さすら)いながら曲芸と芸能を披露する賎民集団です。
漢字で寺黨、社堂、寺堂などと表記しました。
日本で言うと歌舞伎の元祖「出雲の阿国(おくに)」、もしくは「伊豆の踊り子」の様なものでしょうか。
<サダンペ>
宰人(チェイン:白丁ペクチョン)の女性で構成され、別名女寺黨ニョサダンと呼ばれるこの連中は、歌舞戱を前面に出して売春も行いました。
上部にモガプ某甲という旦那格の男があり、その下にコサ居士と呼ばれる男たちがそれぞれ祠堂1人ずつとペアになりました。
表面上モガプが率いる集団に見えますが、モガプや居士はすべて彼女らに寄生しているだけです。
彼らは佛事を助けるという口実で、寺院のお守り(符籍)を売ったりしました。
<ドラマ 招魂チョホン>
それらサダンペの演戯種目は歌と踊りに限られ、居士は関係せず、ただ彼女らを背負って通うなど、雑用や金銭の管理のみ担当しました。
モガプと居士は、通常ゴルリプペ(農楽集団)出身が多かったと言います。
サダンペを描いたドラマでは、人気を博した
招魂チョホンがあります。
また、映画「王の男」は大道芸人のダイナミックさを実感出来る秀逸な映画です。
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<サダンペ>
独身男性のみの群れをナムサダン(男寺党)と言いました。
これは男性で構成された流浪芸術集団で、韓国に伝わるこの様なさすらいの集団には、グァンデペ・ソッテチェンイペ・ゴルリプペ・チュンイングなどがありましたが、一番大きく有名なのがナムサダンです。
西洋のサーカスに近いと言って良いでしょう。
<ナムサダンの芸オルムパン>
ナムサダンの根源や歴史的形成過程を明らかにするには、残っている資料があまりにも貧弱で、はっきりしません。
一言で、支配層が主管した官奴官員戱とは異なり、 1900年代初めまで庶民社会で自然発生的に生成された民衆遊戯集団でした。
<ナムサダンの芸ボナ>
記録では、すでに新羅期に「人形劇」が、高麗期には「傀儡木偶戱(人形劇)」や、クァンデ広大と呼ばれるピエロに関する記録などが見えます。
しかし、あくまで支配者の記録である為、断片的な記録に過ぎず倫理を汚す集団として否定的に書かれているのみです。
朝鮮の歴史に於いて、民衆の記録が少ない事が歴史研究を妨げている大きな原因と言えるのです。
<仮面劇>
ナムサダンはコクトゥセを頂点に
❶農楽、❷ボナ(皿回し)、❸サルパン(曲芸)、❹オルムパン(綱渡り)、❺ドッブェギ(仮面舞)、❻トルミ(操り人形劇)などの六種類の芸で、
一定の報酬なしに寝食のみ受け取り、村の大きな庭や市場で夜通しノリパン(遊戯)を行いました。
団長であるコクトゥセを中心に離合集散するこの集団は、一糸乱れず厳格な集団でした。
50人内外の集団でしたが、貧困農家で引き取られた子、家出の子、或いは誘拐された場合もあったと言います。
<農楽>
メンバーとしては
❶まず責任者のコクトゥセ、
❷彼を補佐して交渉業務を担当したゴムベンイセ、
❸各遊戯の専任者トゥンセ
❹その下にカヨル(通常技能者)
❺一番下に置かれる初心者ピリ
が置かれました。
<ドラマ 王になった男>
ピリはカヨルに昇格する迄は女装をするのが異色な点で、内部でも旅する町(村)でも男色をしました。
内部でもピリの争奪戦が多く、ピリの多さが町(村)での人気に繋がったと言います。
彼らの根拠地で有名なのは京畿道安城・チンレ、忠清南道唐津・懐徳、全羅南道康津・求礼、慶尚南道晋州・南海、北には黄海道ソンファ・殷栗などです。
ナムサダンは庶民には歓迎を受けましたが、支配層には極度の嫌悪と屈辱の対象だったので、どの街にも勝手に出入りする事が出来た訳では有りません。
<農楽>
田植えなど共同作業がある時期に、その町の農旗が立てられると、一望出来る丘の上から彼らの党旗を振ってあらゆる芸を見せて、これを見た町の人々が地主の事前了解を得て引き入れるかを決めます。
またはゴムベンイセが村に入って、その町の最高権力者に自分たちの遊びを見てくれるよう懇願します。
もし、許可が出れば意気揚々と楽器を鳴らし町(村)に入りましたが、十中七回は許可されなかったそうです。
ナムサダン遊びは日が暗くなった後、ノリパン(舞台となる広場)の広い庭にトーチを取り付け、ギル軍楽と言う楽隊が楽器を鳴らし、町の人々が後について行列をなしパレードになります。
この時ノリパン(広場)には、紐がつながれ、真ん中に大きなむしろ5~6枚が敷かれます。
<映画 王の男より>
演目の内、オルルン(手品)などは既になくなり、上記の6演目が伝承されて居ます。(2マダン7コリ)
今でもバクチョムジ(朴僉知)マダン、ピョンアンカムサ平安監査マダンなどが伝承されており、中でも人形劇は、1964年に重要無形文化財第3号(男寺党遊び)に指定されて居ます。
ドラマでも大道芸は良く描かれています。
ドラマ「王になった男」や映画「王の男」でも主人公はクァンデでした。
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<参考文献>
한국민족문화대백과사전
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<映画 王の男より>