『オー!スジョン』






あのね。

この『カンウォンドのチカラ』と、『オー!スジョン』を見るまでは、ですよ。

僕は初期のホン・サンスを、まったく見てなかったのね。

でね、ホン・サンスのインスタントな作風のもうひとつにね。

毎度、映画監督が主人公、ってあるんです。

さいきんは、そうじゃないけれども…

脇役にやっぱり映画監督が登場するのね。『あなたの顔の前に』でも、『イントロダクション』でも。



『カンウォンドのチカラ』には、映画監督が出てこないけどさあ…

『オー!スジョン』には、出てくる。ま、脇役なんだけども。



映画監督をなぜ登場させるのか?

ま、よく知ってるからですよね。ホン・サンス自身が、よく知ってるディテールや心情。

いいと思います。

「また映画監督が主役かよ」と、あきれられながらも、リアルな人間を描くのに好都合とゆう。

そして、『カンウォンドのチカラ』の主役 (男性のほう) は、妻帯者。


となると、こちらもホン・サンス得意の不倫関係になるのね。


ある意味「いい気なもんだね」となる、不倫。


浮気。妻も子もいるのに、若い彼女ってさあ




正直、去年見たときは、「いい気なもんだね」と僕も思った。

けれども、カサヴェテス的なリアルな生活描写を今回じっくり見て、なんか許せましたね。

こいつもいろいろあんねんなー、と。


いまじゃかんがえられない、映画全体のこってり感がたまらない。

つまり、おもしろい。

性欲にしたがってアクションをおこす。

そんな男の、旅。



女の旅。すれちがい。




さらに、男も、それなりに苦労してるとゆう描写。

大学教員の一生、そのスケッチ。

ジョン・カサヴェテス + タランティーノ。


見事だと思いましたよ。『カンウォンドのチカラ』。


韓国の観光地。自然。滝。
水。


『オー!スジョン』は、独身男性が主役でねえ。

ま、そのパターンもありましたよね。『ハハハ』とか。


しかし、『ハハハ』の、もうひとりの主人公は、やっぱり不倫のドラマをやってました。


『オー!スジョン』には、不倫はなかったかなあ。

となると、恋愛から結婚のドラマを、ど~盛り上げるのか?


そこは、小技でかわす感じ。

カップルでケンカしたりもするけども… 男と女、その両サイドをタランティーノ風な話法で、魅せる。


男と女。

あのね、ストーリーの最後のほうとか、ど~なるのか忘れてたんですけどね。

あーら、こうゆう終りかただったんだって。

いや、普通に終わってましたけどね。


そこは普通。語り口は独特。


かつて、ホン・サンスを評して青山真治は「フォルマリスト」と発言してました。


フォルマリストだとして、それがなんなの?

僕の印象を書けば、カタチ (画面や演出) にこだわる、ある意味リアリストなのね。



内容がリアルなの。わかりますか?


リアルなんだけど、独特のスタイル。小津は小津。ホン・サンスはホン・サンスって、すぐわかる。

でもって、クールなのね。冷徹なまなざしがある。

リアルな人間をクールにって。


あのね、フォルマリストゆえ、映画としては不自然な感じもあるのよ。小津安二郎もそうでしょう?

でも、そんな多少の不自然さは気にしないの。彼らは。

「描いている人間は、でもリアルでしょ」って。

その描き方は、オリジナルとゆうか、独特。

映画のフォルム。独特だと。

内容としては… 恋愛、性欲でうごく人間を、クールに観察、洞察する作家、ホン・サンス。

さらに、酒のんで酔っ払ったバカの描写の連発ですよ。

バカのおもしろさ。小津も、僕が好きな作品は、喜劇調のやつなのね。

あー、おもしろいってなるんです。こちらは。

リアルバカ。ですよ。

でも、そのおもしろさ、どの作品も似たりよったりなんじゃね?

かもしれない。けど、僕は凄いと思う。

クールでバカ。凄いよなあって。




『オー!スジョン』。

ちょっと金持ちの独身男と、スジョンとゆう若い女性の恋愛ドラマ。

まあ、よくあるとゆうか、普通なんだけども (大半) 、それでおもしろいのはさすがですよ。

またまだ見てない初期~中期のホン・サンスが見たい。

強くそう思った。



引用おわり




五円木比克です。


いまね、引用した部分は。

去年、2022年に書いたブログですよ。

まあ、ど~でもいいコトが書いてある。



それは、その。

わたしがね、書きたいから書いている…

ただそれだけの文章だから、ホントにど~でもいいモノなんです。


まあ一応、ホン・サンスのおもしろさの分析のようなコトをしてるんだけども。

他に、もっと、ちゃんとしたホン・サンス論、批評はあると思います。

どこかにあると思う。 




完結編につづく