ある日私の診察室に、ほっぺに直径1センチもある

ホクロの相談に両親が赤ちゃんを連れてやってきました。


「この子のホクロをどうしたらよいか相談に来ました。生まれた病院では、しばらく様子をみて、本人が気にするようになったら病院へ連れて行ったらといわれたんですけど、生まれたときに比べても、もう大きくなったような気もしますし、どうすればよいか迷っています。たまたま上の子の幼稚園の友達のお母さんが、いちだクリニックで相談をしてみたらと、教えてくださったのでお電話をしたら、できるだけ早く診察に来てくださいといわれてやってきたというわけです」


「早く来ていただいてよかったです。私はこのような大きなあざの治療は、早ければ早いほど良いという考えで、治療をする方針ですので、生後二か月でも三か月でも連れてきていただきたいのです」


「それはどういう理由からですか」


「理由は三つあります。一つ目はあざは成長に比例して大きくなるので,小さいときにやれば傷跡が小さくてすむこと、二つ目は0歳で手術をしたほうが傷跡もきれいに治ることです。そして三つ目は赤ん坊のときに手術をすると、局所麻酔で簡単に手術ができるというメリットがあるからです。もう2、3歳にもなると、力が強いので押さえつけておいて手術というわけにはいかなくなるからです。要するに0才の小さいときに手術をする方が、簡単できれいに治せるということです。また手術のことは覚えていないというメリットもあります」



手術はホクロの切除縫縮でしたが、局所麻酔で簡単にできました。

看護師さんが一人抑え役で、手術は15分で終了です。

抜糸を1週間後に終了すると、後は2か月くらいテーピングです。

この年齢で手術をすると、傷跡もきれいに治るのです。

しかもあざは成長に比例して大きくなるのに、

傷跡は成長に比例して長くなるようなことはほとんどなく、

どんどん目立たなくなります。


術後Ⅰか月して親子が診察にきました。


「早く手術をしてもらって本当に良かったです。親としても気持ち的に楽ですから。このあいだ保健所の定期検診に行ってきました。保健婦さんに、こんな赤ちゃんを手術してくれる病院はどこって聞かれたのでいちだクリニックっていいました」


「それは良かった。赤ちゃんの時に手術をすると良いと言って実行しているクリニックはあまりないんです。総合病院では入院して全身麻酔手術にされてしまうから大げさなことになってしまうんです。私はたとえ話として、名古屋から東京に行くのに飛行機でいくバカはいないでしょうというのです」


「そう、局所麻酔で簡単にすんだ話をしたら、すごくびっくりされて、いいこと教えてもらったと言って喜んでおられましたよ」


ほどほどの大きさのあざの手術は、〇才の時に局所麻酔ですませるのが賢明だということを知っておいてもらいたいと願っています。

今も知らない人の方が多いのです。