TMD代表の畑野 貴哉(toya)さんの自作本。全体的にアクが強めだけど、実態配線図がついているのが強み。特にPart2は折込の実態配線図で大変見やすい。

 

最近のエフェクターとは毛色がかなり違うけど、10年以上たった今、思い返してみると”社会現象”になった本だと思う。

 

私が社会現象と思ったのは以下の点

1.

当時すでに魔界の謎商店と化していた桜屋電機がeコマースに躍り出てホームページを作ってしまった事。

2.

一部の骨董マニアしか興味のなかったビンテージケーブル、ビンテージパーツ等を国内に広く紹介して、ギター弾き、オーディオマニアに定着させたこと。

3.

ケスター44”を国内のギター弾きに流行らせたこと。(伊藤 喜多男の音響道中膝栗毛で紹介していたので団塊の世代のオーディオマニアは使っていたと思う。)

 

 

NAME:

 

 

COMMENT:比較的簡単な工作で作れること、部品参考価格、実体図が付いていること等は好感が持てます。
ただ骨董部品に限定した作例が多いため、出版当初はデッドコピー可能でも、現在では不可能な物がいくつか有ると思います。
まあ、作りやすさを優先しているため、回路も比較的単純、且つケースにスペースの余裕があるのでエフェクター設計の参考書を参考に本書をアレンジすればオリジナルの性能を超えることが可能だと思います。

機器名    コメント
LINE de GUITAR:J-FET1石ソースフォロア
Fuzz Master:Fuzz Face式?Fuzz
Vintage One:バイポーラ1石ブースター
Vintage Limiter:フォトカップラー式リミッター、トランジスタ1石+フォトカップラーを利用したリミッター
Distainer:バイポーラ1石変形ブースター
HA-Plus:2石ブースター、600Ωマッチングトランス付き
Vintage Tone:フェンダー風2石トーンコントロール
Hyper Mix:Buffer AMP+2ch入力OP-AMP変形ミキサー、アイディアはマーシャル等のJumpとかLinkとか呼ばれる、入力ジャック間を接続するテクニックのシミュレーション
PSU:Power Supply Unit、AC100Vから、だいたい14V位の正負電源を出力する電源、Hyper Mixにも使用可能
SLD:2chフォトカップラー式リミッター、こちらはOP-AMP+フォトカップラーを利用した2chリミッター、コントロールのリンクが出来ないためステレオで使用する場合はソースを選ぶ必要があり。
BENRI 1:リバーブ用2chOP-AMP変形ミキサー、リバーブタンクやディレーマシン(3 HEADのオープンリール等)に信号をセンドし、リターン信号とオリジナル信号をミックス
Sakura 1966 Fuzz:変形2石ブースター、変形1石ブースターの従属接続
Voltex:1球真空管ブースター、12AU7の2段従属接続、電源はVoltex PSU
Voltex PSU:真空管ブースター用電源
Rockbox:1球真空管ブースター、12AU7で2段1段の増幅段数切り替え機能付、電源はVoltex PSU
以上

NAME:

 

 

 


COMMENT:前作の特徴を引き継いで以下の点がパワーアップされて好印象です。
実体配線図がより大きくなってカラーで書かれていている。
いわゆるビンテージパーツ等の骨董部品の類の使用する数が減っている。(同一の物を作りやすい。)
「自作の世界へようこそ」と言う章で簡単な部品の説明、ハンダ付けの仕方、レタリングの仕方が載っている。(でも、ケース加工が載っていないところは残念。)

また、エフェクター設計の参考書を参考に本書をアレンジした方がより良くなりそうなのも前書と同様です。
いくつか指摘すると
OP2604とTL072が交換できるって製作物がいくつか有るけれども、OP2604でも結構厳しい、TL072にとってはむちゃくちゃ厳しい負荷がつながっているので、同じ音にはならない事が予想される。(全体的に負帰還回路の抵抗が小さすぎる。)
パワーサプライを使った製作物がいくつか有るけど、電源のバイパスコンデンサーが無いため、ノイズを拾いやすい。場合によっては音も変わる。CAPACITOR TIPS(コンデンサの使い方)参照
2つのリミッターでフォトカップラーをインジケータ用のLEDと並列にしているため、インジケータ用のLEDのスレッショルド電圧が変わるとリミッターの性能が変わってしまう。その割にインジケータ用のLEDの銘柄指定をしていない。(運が悪けりゃー動かない。)
上記リミッターは音声ラインに直接、インジケータ用のLEDとフォトカップラーをつないでいるため、どちらかのLEDがダイオードクリッパーとして動作し歪みが発生する。エフェクターだから別に歪みが有っても良い(MIXダウン用だとチト厳しいかもしれない)けど、銘柄指定していないLEDの為に、使うLEDによって音が変わってしまう。
もっとも音が気に入れば何でも良いのがエフェクターの世界(つーか、ヤバ気な回路の方が結構良かったりする。)なので、まずは著者の言うとおり作ってみて、色々改良していくのが良いと思います。

BLack Magic Vox:電源トランスをLPFに使用した意欲作。600Ω入出力限定、Vocal用EQ
Cable Checker:シールド線の断線をLEDでチェック。(ショートしてないのがわかるともっと良かった。)
Delta Fuzz:Fuzz Face系のFuzz
E-Drive:OP-AMP使った、ちょっと変わったBright SWスイッチみたいなコントローラ
Multi Power Supply:+48V、+12V、±15V出力の電源。電源はあんまり引っ張れないのでこの本の製作物専用。
Sonic Time Machine:電源トランスをLPFに使った、非常に異色なEQ&エキサイター(受け側の装置の入力Zで音が変わるため、注意。)
Stereo Tube Limiter:下のTube Limiterを2chにしてステレオリンク機能を追加
Stereo Wire Tester:ステレオ用の簡単な部品用ブレッドボード
Tube Booster:12AU7をヒーター6V、B電源9Vで動かす回路(回路図で電池のシンボルが逆)
Tube Limiter:Multi Power Supplyから電源ひいて、12AU7を12Vのヒーターと48VのB電源で駆動。その後にフォトカップラーを使った、ゲインリダクションタイプと分圧比可変タイプの2種類のリミッターの出力をMIX
Tube Pre Amp:MIC IN付きフェンダータイプ?のプリアンプ。諸元を別としてALEMBICのF2Bの半分の真空管を12AX7から12AU7に変更してヒーター電流のコントロールを加えた感じ。電源はMulti Power Supply
XLR Checker:XLRの接続をLEDで確認する装置。
LUUN:LUUNモジュールというTMD特製の部品を使ったドライバー(GAIN制御の抵抗がむちゃくちゃ小さいのでLUUNモジュールの抵抗値がちょっと不安。)
Session Master:前著のLine De GuitarとVintage Oneを接続したような物。2SK30のソースフォロア+2SC945のブースター
LRghost:ステレオ信号のクロストークを制御する機械。(MONOにすると前につなぐ装置のL信号とR信号がショートする作りになっているので接続する機器を選ぶ可能性が高い。)
Ecstasy:電源トランスを使って昇圧するという意欲作。Sonic Time Machineに近いエキサイター&EQ(前後の機器で音の印象は変わりそう。)

 

PS.

畑野 貴哉(toya)さんはアメンバーらしいです。

 

 

ちなみに桜屋電機はこちら