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司馬さんの「燃えよ剣」も好きですが、新選組ものではこの作品が一番好きです。新選組の隊士や周りの人々の視点からの話で構成されているので、まさに群像劇といった感じ。一人につき5~6ページなので読みやすいし、同じ出来事でも、見る人によってこんなにも違うのか~というところも面白いです。

また、一人一人の設定もしっかりしていて、史実や資料を読み込んで肉付けしていったのがよく分かります。時々、彼らを極端な人物にしている(特に沖田や斎藤)新選組ものもありますが、実在していた人達だから、そういうのはどうかなぁと思います。史実とは違うことやなかったことを書いたり…というのはいいんですけどね。

好きな場面はたくさんありますが、今回はここでグッときました。

「一匹狼だと思っていたが、どういう風の吹き回しだ」
皮肉ではなく、歳三は心底驚いた表情をしたという。
(中略)
歳三の言葉を聞いて、斎藤の顔が曇っていくのが、端で見ている市村にもはっきりわかった。
「あんたにはそう見えたのかもしれないが、そんなことでもなかったんだ」
低いかすれ声だった。
「近藤さんやら沖田やら、他の連中のこともそうだが、あんたはこれと決めた他人のことは信用するくせに、そいつらから自分が信用されているとは思えねぇんだな。完璧に采配を振るうことだけが相手を救うと思っている。采配なぞ間違っていても、自分の信用した奴がしたことなら、俺はどんな結果でも受け入れるが」
(中略)
歳三は、なにも言わずにジッと斎藤を眺めていた。それから膝に手をついて、ほんのわずかだが頭を下げた。
(P.461)

長々と引用してしまいましたが、斎藤さんの心境の変化は時折出てくる話で分かっているぶん、歳に吐露するこの場面は何とも言えなかった。みんながそれぞれの土方歳三、斎藤一を知っていて、そこに自分の言葉を足しているわけで、結局本当の自分なんて人の目を通したぶんだけいるってことなんですよね(ん、何だかよく分からなくなってきた)

この本、残念ながら絶版なんですよね…。今のところ図書館で借りるしかないんですが、いつか絶対に買おうと思ってます。新選組が好きなら、是非読んで欲しいです。