俺が仕事から帰ると、ichiはまだ鼻を垂らしていた。


「ただいま・・・大丈夫か?」


「あまり・・・」


ichiはそう言って、扉の付いていない家に入っていった。


「これりゃ、なんとかせんとなぁ・・・」


俺はそう思い、奥さんと話をした。


「トビラ作ってやれよ」


「は?むかっ自分じゃしないのに催促はするんだむかっ


「いや・・・催促じゃないんだが・・・」(やばい、こりゃ機嫌が悪いな・・・あせる


「用件はそれだけ?」


「あ・・・うん、まぁ、そのなんだ・・・とりあえず、タバコを買ってくるから・・・あとよろしく」


俺は、奥さんに言ってタバコを買いに外に出た。


(やばいなぁ・・・なんか、今日は機嫌が悪そうだな・・・)


俺はそんなことを考えながら、コンビに向かいichiと奥さんにお土産を買って帰ろうと思った。


(奥さんには丸ごとバナナでichiにはミルクアイスで良いか)


コンビニで買い物を済ませ、家に帰りついて奥さんにお土産を手渡した。


「あら☆ありがとう・・・このアイスは?」


「ichiの分だ」


「・・・あのね・・・風邪引いてる子に何を買ってくるの?むかっ


「あ・・・ま、気にするな」


俺はそう言って、PCの前に向かうのであった。



朝起きると、イチが青い顔してこっちを見てた。


いや、元々青っぽいんだけど(笑)






「おはよう」




「お゛ばよ゛う゛ござい゛ばず」



「どうしたの?花粉症?」




「いや、風邪ひいたみたいです。」




「大丈夫?」




「ばい゛。扉がないから隙間風がぴゅーぴゅーして・・・」




「あぁ、旦那さんが作った家。」




「そうです。」




「旦那さ~ん。イチ風邪ひいたみたいなの。

扉作ってもらえるかな?」




「おー、おはよう。イチ大丈夫か?

扉?俺細かい事苦手なんだよ。」




「いいじゃない、作ってあげてよ。」




「えー。俺ですら賃貸なのに。家は自分で作るもんだぜ、イチ。」




「そう言われても、私じゃ無理です。無理です。」




「とにかく、俺は扉は作らないぞ。」




「もうむかっ変なとこだけ頑固なんだからむかっ


じゃ、後で私が作ってあげるから、今はおとなしく寝てなさい。


熱あるんでしょ?おかゆ食べれる?」




「あぁ。奥さん、ありがとうございます。


熱はそんなにないのですが、鼻が止まらなくて。


あ、おかゆは卵入れて下さい。」




「はいはい。」



イチはおかゆを食べると、おとなしく寝たみたいだった。


明日までに熱が下がらなかったら医者に連れて行こう。

仕事から疲れて帰ってくると、入り口の前でichiが待っていた。


「どうした?」


「あの~・・・お願いがあるんですが・・・」


「なんだ?」



「なんだと!家がほしい?」


・・・俺でさえ、賃貸暮らしだというのに・・・


ichiは懇願するような目で、俺を見ている・・・。


確かに、放し飼いと言うわけにもいかんしな。


「しょうがない。作ってやるか」



で、出来たのがこの家だ。


ichiハウス


我ながら頑張ったと思う。


「どうだ?これで文句は無いだろ?」


ichiは家の周りをクルクル回りながら確認している。



サイズ

ついでに大きさも測ってみた。


よく出来ている(笑)


しかし今まで家の周りを回っていたichiは、俺に不満そうにこう言い放ったのだ。


「あの~・・・トビラは?」



「・・・は?」


「いや、だからトビラ・・・」


「・・・ふざけるな!」


俺はichiを放置し、PCの前に向かった。


ichiにも家が出来たんだし、良いだろう。


ichiは不満そうに俺を見つめていたが、諦めたのだろう。


世の中は、理不尽なのだ。


「さて、今日の晩御飯はなんだろう?」