“読書の秋”ということで、久しぶりに英語の勉強も兼ねて洋書を読んでみました。

『kira-kira』cynthia kadohata 著


この表紙と高評価のレビューに惹かれて買いました。


ちなみにタイトルの kira-kira とは、日本語のキラキラのことです。

 

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これは1950年代、アメリカ南部で暮らす日系一家の物語。

 

ケイティは、両親・そして4つ上の姉リンとアイオワ州で幸せに暮らしていたが、両親が経営するオリエンタルフード店が廃業し、ジョージア州へ移住することになる。

 

そこに住む伯父のつてで、父親は養鶏場、そして母親は鶏肉の加工場で働き始める。


やがて弟のサムが生まれ5人家族になった一家は、貧しいながらも平和な日々を送っていた。

 

しかしケイティが10歳半の冬、全てが変わり始める。


リンが重い病になってしまうのだ。


両親はリンのために新しい家を購入するが、その借金とリンの治療費の支払いで生活はますます苦しくなっていく。

 

次第に気持ちがバラバラになっていく家族。

その先に待っていたものは・・・

 

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以下ネタバレあり

 

この本はケイティの視点から、彼女の家族や友達、そして彼らを取り巻く日常などについて描かれています。

 

1950年代のアメリカ南部に住む日系人の暮らしは、人種差別があったり、就ける仕事も過酷な労働を強いられる仕事だったり、かなり大変なものだったことがわかります。

 

リンが重病になり、家の借金とリンの治療費返済のために今まで以上に働きづめになる両親。


そしてケイティも、サムの面倒を見ながら懸命にリンの看病をします。

 

リンの闘病中、ケイティが感じた悲しみ、怒り、葛藤などの様々な感情。


重い病の人を看病したことがある人なら、きっと誰もが経験する感情なのかもしれません。


こんな思いをまだ11歳そこらの少女が経験しなければならないなんてと思いましたが、ケイティは強く成長していきます。

 

すごいと思ったのは、まだほんの子供だと思っていたケイティが、自分と同じような悲しみを今まで多くの人々が味わってきたことに気づくところです。

 

そして父親や伯父を通して、不幸であり続けるのも幸せになるのも自分たち次第だということを学ぶのです。

 

ケイティが最初に覚えた言葉は、リンから教わった kira-kira という言葉でした。


リンは毎日の取るに足らない些細なことにも、楽しみや喜びを見出すこと、つまり kira-kira がそこにあること、そして世界は素晴らしいことを教えてくれたのです。

 

悲しい物語ではありますが、あまり悲壮感を感じさせないのは、根底にこの kiraーkira の精神が流れているからかもしれません。

 

生前リンが見たかったカルフォルニアの海を、一家で見に行くラストシーンは、とても爽やかで希望を感じるものでもありました。

 

静かにじわじわと感動する作品です✨