國立故宮博物院 :その2
~國立故宮博物院での備忘録~ざっと見て回ったものも残しておきたいと思います。***ガイドさんお勧めの「珍玩」の展示室(106室)にも行きました。「珍玩」とは、古代から清代に至るまでの皇帝や上流階級の人たちが愛好した、小さな美術工芸品や装身具などの総称のことです。どれも精巧な作りでとても美しかったです。「神獣再現」展も見てきました。〜摩訶不思議な世界の入り口~ ワクワクします。「ライオン」というタイトルの清王朝時代の作品五百年以上前の明の時代には、ライオンは皇居で飼育され、皇帝が様々な国の使節を招いて芸を披露させたという記録があるそう。この絵のライオンは、眉に斑点があり耳の毛が異常に長く、私たちがよく知っているライオンとは少し異なります。そのことから、古代の画家が実際のライオンを見たことがなく、以前の絵画や記録に基づいて描いたのかもしれないと言われています。沖縄のシーサーみたいなこちらは「ペアのライオン」という清王朝時代の七宝焼きの作品ライオンはもともと西方のペルシャ(現在のイラン)から中国に伝来しましたが、当時中国ではライオンを飼育しておらず、芸術家や職人は書物や伝説に基づいて想像力を働かせながら制作しました。そのためライオン像は多様な姿となりました。また、ライオンはトラやヒョウなど猛獣を食べると言われているため神獣とみなされ、その力強いイメージを利用して、一対のライオン像が家や重要な建物お入り口に守護神として置かれているそう。調べてみたら、沖縄のシーサーは、13〜15世紀の琉球王国時代に中国との交流を通じて、魔除けの「獅子像」文化が直接沖縄に伝わり、これが沖縄県のシーサーの原型となったようです。中国語の」獅子(スースー/シーズー)という発音が、沖縄の方言で訛って「シーサー」になったとか💡可愛いオブジェと記念撮影愛嬌ある姿で可愛かった「屋上の風獅子神」 日本統治時代(1895年~1945年)の台湾で陶器で作られた作品です。『易経』には「雲は龍に従い、風は虎に従う」とあり、虎は風を操る力を持つとされました。建築技術が比較的未発達だった古代には、強風を飲み込み邪気や災厄を遠ざけるために、口を大きく開けた一対の虎を屋根に置いたそうです。その後、獅子が守護の力を持つという信仰が加わり、獅子と虎の像が融合して「風獅子」となり、家の安全を祈願するために用いられ、次第に地域の守護のシンボルとなりました。こちらもとっても可愛かった「虎爺」虎神は民間信仰における動物の神であり、祭壇の下に祀られ、神の乗り物として、あるいは伝令や荷物の運搬を補助する存在として崇められることが多いようです。おたふく風邪にかかった子供は頬が異常に腫れ上がり、その状態を「豚皮」と呼ぶそうですが、虎は豚を食べることから、虎神にはおたふく風邪を治す力があると信じられています。さらに、虎神は子供好きであることから、子供たちの守護神とも考えられているとのこと。神話上の生き物は、その神聖な力や特性から、建物や芸術作品の装飾として用いられながら、守護や幸運をもたらし、悪を遠ざけるシンボルとして意味を持つようになりました。仏像の展示室も駆け足で見てきました。ガネーシャ像ダルマタラというチベット仏教の在家信者を描いた絵画が色鮮やかで印象的でした。彼の右側には虎が付き添っていますが、伝説では道中の野獣から仲間を守るため、彼が魔法を使って獰猛な虎を出現させたと言われています。観音菩薩 元代(1260~1368年)の作者不詳の作品釈迦牟尼仏 北魏時代(477年)右側の蓮の上にはたくさん小さな仏像が並んでいます。迫力満点なこちらは、大黒天立像 15世紀の明王朝時代の青銅製の作品です。そして大黒天立像の向かい側にあった、なかなかの迫力の、南天王の金銅仏像 15世紀のチベットのものだそう。観音菩薩 明王朝の青銅製の座像観音菩薩像 すごく穏やかな表情に癒されました。***最後に、國立故宮博物院と所蔵品の歴史について***台湾の台北にある國立故宮博物院の所蔵品は、かつて北京の紫禁城(故宮)などに保管されていた歴代王朝の宮廷コレクションが起源です。1925年に北京で故宮博物院が設立され一度はそこで保管されましたが、日本軍の侵攻から守るため、中国南部や四川省など各地を転々と移動する「文物南遷(ぶんぶつなんせん)」という苦難の歴史を歩むことになります。その後、1940年代後半の国共内戦において、蒋介石率いる国民党政権が台湾への撤退を決めた際、膨大な所蔵品の中から厳選された宝物だけが船で台湾へ運び出されました。 その結果、現在は北京と台北の両方に故宮博物院が存在し、それぞれが中国文化の至宝を所蔵しています。ここで注目すべきは、当時の超一流の品だけが選ばれ台湾に移されたという点です。そのため、しばしば「北京の故宮には広大な宮殿(箱)が残り、台北の故宮には歴代の至宝(中身)が渡った」とも例えられます。台湾の故宮博物院の所蔵品は、数々の戦火をくぐり抜け、守り抜かれてきた第一級の至宝であることを思うと、とても感慨深いものがあります。次回訪れた際には、時間をかけてじっくりいろいろなものを鑑賞したいと思いました。