みんな、様々なバカンスを楽しんでいたけど…
うちに限っては、そんなん一切なかった。
父親が恐かったので、俺も兄も、別にどこかへ連れて行ってほしいとも思わなかったが…
そんなガキの頃…
俺が小1か小2くらいだったかと思う。
テレビアニメで、『釣りキチ三平』の放送が始まった!
それを期に、日本全国釣りブームみたいになった!!
海釣り狂の父親は、『ついに俺の時代が来た!』っとでも言いたいかのように得意気!
ガキ共は皆、釣り師に憧れた。
んで…
兄や兄の友達も釣りに憧れを抱き…
父親が、兄・友達を海釣りに連れていった。
俺はまだ小さかったので、デビューは御預け。
父親が得意とするのは船釣り。
船酔いは付き物である。
兄は2回行ったが、2回とも激しい船酔いでグロッキー…
兄の友達面々も、全員ダウン。
ヘナチョコばかりだ!
兄も兄の友達も、二度と釣りなんかしたくない!っと思ったそうな…(笑)
そして、釣りブームも終わり…
兄も、父親の釣りに付き合わなくなった頃…
俺が5年生くらいの時かな?
『船釣り連れていってやる!』
ぶっちゃけ、行きたくもなかったが、これでおっかねぇ父親が機嫌良くなればと思い、子供ながらに接待同伴だ!(笑)
普通なら、子供を連れていくなら、東京湾の波の穏やかな場所で根魚でも釣るのが妥当かと思うが…
当時父親がハマってたのが、大アジ釣り!
逗子・葉山あたりで、ロッド&リールではなく手巻きでの釣方。
ビシ仕掛けで、水深100mくらいを狙う。
どう考えても、小5のガキが楽しむ釣りじゃない!!
父親は、自己中のB型だ!
(※B型の方ごめんなさい・笑っ)
自分のやりたい釣りを優先した!
船酔いの不安はあったが、どうやら俺は父親の遺伝子を引き継いだようで、相模湾の波なんてへのカッパだった!
今では、アジは簡単に釣れる魚だが、当時は何故かアジの数が少なかったようで、大アジはかなり貴重!
サバはアホみたいに入れ食いになったが、アジは全然釣れない。
船全体でも、1匹くらいしか上がらなかった。
っが、タイムリミット寸前で、俺の手元に僅かなアタリのような感触。
あれ?っと思い、半信半疑で巻き上げる。
100mも手で巻き上げるのは、子供にはかなりの重労働だ!
頑張って巻いてる俺を見て、父親は『きてんの??』
『いや?分からないけど、アタリのみたいのがあったから!』
そして、巻き上げ始めてから数分後、完全に魚の手応えを感じ…
現れた魚体は…
大アジだ!
船長が網を持ってすっとんで来た!
父親も大興奮!
ネットインしたのは、40㌢の立派なアジ!
満員の船の中、それを専門に狙ってる釣りキチの大人たちが全然釣れない中、クソガキの我が子が大アジを釣ったって事で、父親は大興奮!
まぁ、完全にビギナーズラックだ!
父親は、どうかしちゃうんじゃないかと思うくらい喜んでいた。
帰宅後、魚拓を取って…
父親は自分の事のように喜び、何度も何度も母親に釣れた時の状況を説明し、母親も『もう分かったから!』っとうっちゃる。
それでもまた、同じ話をリピート(笑)
よっぽど嬉しかったんだろう。
普段、俺を褒めるなんて事はなかったが、あの時はクソほど褒められた!
運動会では毎回1位なのに、褒められた事なんかない!
テストで100点取っても、まったく関心がない!
でも、大アジを釣ってめっちゃ褒めてくるなんて、なんとも父親らしい!
俺的には、当時魚嫌いだったので、晩飯のおかずがアジだってことに憂鬱だったが…(笑)
そんな父親も、2008年に他界したのだが…
亡くなる2ヶ月くらい前、病床で呟いた…
『あん時、まさかお前がアジ釣るとは思わなかったよ!』っと痩せた横顔で笑っていた。