豊田有恒氏の「中国の原発は大丈夫なのか」の4回目。

しかしそのWH社は、かってのWH社ではない。会社そのものをマネーゲームの対象そして凋落してしまった。会社設立時からの電球、照明部門は真っ先に売り払ってしまい、エレベーター・エスカレーター部門はスイスのシンドラー社へ売却し、やがて原子力部門はイギリスの核燃料会社に譲渡したものを日本の東芝がM&Aによって入手すると言う複雑な状態にあった。

CNNCは、このWH社のゴタゴタに付け込んだような形でAP1000型の加圧水炉をライセンス生産し始めるのだが、CAP1000というモデルを国産と称して生産し始めた。明らかにWH社のデッドコピーなのだが、さらにCAP1400という出力増大したモデルも視野に入れて輸出商戦に臨もうとしているのである。

ここで原子炉の系列を整理しておく必要があろう。PWR(加圧水型)~WH(ウスチングハウス社)~関西電力系~三菱重工、BWR(沸騰水型)~GE(ジェネラルエレクトリック社)~東京電力系~東芝・日立、という系列になる。

ところが東芝がWH社の原子力部門を買収したため、こうした国際コンソーシアムの枠組みが変わってきた。これまでWH社と密接な関係にあった三菱重工は、長年に亘る加圧水型の製造経験をEPR(ヨーロッパ型標準加圧水型炉)を推進するフランスのアレバ社との提携で生かそうとする動きを見せていた。

日本では、大震災、大津波の影響で「想定外」は許されないという大合唱が起こり、脱原発が大声で叫ばれているが、実際に日本の国際的な位置付けはほとんど報道されていない。

サルコジ大統領は、「大災厄」と呼んでいる。李明博大統領は「人知を超越した大災害」と形容した。ことの真相は、この二人の首脳の言葉にある。日本人だけが想定外は許されないと叫んでいるが、想定外も想定外、古今未曾有の大災害だったのである。

この大災害によって、日本の原子力技術の全てが否定されかねない風潮が蔓延しているが、実情とはかけ離れた空論が先行しすぎている。