渋谷でフェルメールを観てきた。


フェルメール<地理学者>とオランダフランドル絵画展 シュテーデル美術館所蔵 大航海時代の英知の結晶、ヨーロッパの珠玉のコレクションより集結!http://www.vermeer2011.com/index.html

Bunkamura ザ・ミュージアム
〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1- B1F

2011年3月3日(木)-5月22日(日)開催期間中無休

10:00-19:00(入館は18:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)

かなり混雑しているらしいと聞いていたので例のごとく金曜日夜に訪問したのだが、チケット売り場は行列。前売り券があったのでそのまま入り口に向かったが、手荷物用のコインロッカーが全く空いていない!ロッカー前はそんな人々で身動きとれない状態。
ど~しよ~と思っていたら、観終わったご婦人が「私荷物出すわよ。その後にどうぞ」とご親切にもお声掛けくださったのでお礼を言うと「私も入るときに同じように空きがなくて、帰る方から譲っていただけたのよ」とのこと。素敵な方だった。


もう、展示が始まったあたりからものすごい混雑状態。去年の12月に観たゴッホ展(ゴッホ展@国立新美術館を観て )ほどではないが、目玉はフェルメール1点のみなのに驚きだ。

展覧会のタイトル通り、フェルメールの作品1点をメインにフランドル絵画で数合わせをした感じの展示。(←失礼だけど、同行の友人も同意見)今年の1月末に同美術館で観たモネ展(モネとジヴェルニーの画家たち@渋谷Bunkamura )もモネ以外は一緒に並んでいるから熱心に観る人もいるんだろうけど・・・と言う感じだったが。それに比べると、作品のレベルは悪くは無いのだがフランドル派なので同じような暗いトーンの絵が並ぶ。
それらを会場のみなさんの列に並んで熱心に観ていたら、メインに辿り着く前に疲れてしまう。
でも、ちょっといいなと思う作品があったりしてよく見るとレンブラントだったりしたのでラッキーだった。(←現金な反応)
上野のレンブラント展もチケットがあるので行かなくては・・・。

友人も私も美術愛好歴が長い故、経験上観たい絵を堪能するためには、そうでもない絵はサラっと観て全部見終わってもまた観てみたいと思えるものがあれば再度戻って観るというスタイルなのだ。
ってことで、今回もサラっと流していく。絵の前は二重三重に行列がぞろぞろ進んでいるのでその後ろから遠巻きに眺める感じだ。

そうやって進んで行くと、真ん中あたりに「地理学者」が!


nanakoのブログ


明らかに他の絵とは違う迫力とオーラだ。そのこと自体に驚いてしまう。

他の絵と比べてもそんなに大きいわけではないが、絵の放つ雰囲気やその緻密さゆえの濃さが嫌でも目を引きつける。この絵の前はだんご状に人が群がっていて、そのだんごの中に入るには順路で並んで待つしかない。

5m分くらい展示が無い壁面に沿ってみなさん並んでいらっしゃる。

離れて見ていても あれだけ鮮やかで目を離せないのだから、やはり間近で観たいということになり、だんごに続く行列に並ぶ。その間観る絵もないので友人とフェルメールについてささやき合う。

ささやき合ったのはこんな内容。殆ど私がささやいていたのだが・・・(笑)


・フェルメールは生涯で35点(諸説あり)と寡作故に、こんなに人が集まるのだろうか?

・私の好きなフェルメール作品はたいてい、この絵と同じ構図で左の窓から光が差し込んでいてきれいなブルーが使ってある。

・この絵は.2000年に来日しているらしいが、観るのは今回が初めて。(「日蘭交流400周年記念特別展覧会 フェルメールとその時代」大阪市立美術館)

・2001年にロンドンのナショナル・ギャラリーのフェルメール展で13点も集まったのを観に行ったが、こんなには混雑していなかった。

・「青いターバンの少女」(←私の時代の教科書の表記)を観るためにオランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館  に行ったことがあったが、あまり時間がなかったため真っ先に観たくて、展示場所を美術館の人に聞いたのだがなかなか通じなくて、一生懸命絵の構図を説明していると”Oh! Girl with a pearl earing?”(真珠の耳飾りの少女)と言われ、そう言えば真珠のイヤリングしてたな~と思ったこと。

因みに今では、日本の美術界でも「真珠の耳飾りの少女」となっている。

・私が一番好きなフェルメールの絵は、牛乳を注ぐ女(The Milkmaid)。

笑えたのが、背後の老夫婦?もあとから同じような会話。みんな同じようなことを思うらしい。(笑)

nanakoのブログ


いよいよ順番が来て真正面で観た「地理学者」は観れば見るほどため息が出る。

フェルメールの作品はどれもその独自の世界に観る人を引き込んでしまうが、これも例外ではない。

全くの私見だがいつも、フォーカルポイントと思われる個所に効果的に白が使われており、それが本当にため息が出るほど素敵だが、「地理学者」では、そのコンパスを握る親指の爪がそれのように見えた。


展示会場では、この絵の手前に作品解説TV画面が設置されておりその壁面下部が、絵と同じくデルフトタイルの模様で飾られており、その模様が象とか王冠などで白地で四隅と中央に青い模様が描かれていてとてもかわいかった。友人とあの模様の壁紙シール?がノヴェルティにあったら「買ってもいい」とエラソーに言っていたのだが、あのサイズの絵からの復元なのか気になっていた。

実物大の絵を観てもそのタイルはとても小さいので、象の模様がわかるほどにフェルメールは描き込んでいるのか是非とも確認したかったのだ。


実物をじっくり観たが、どうも復元品とは模様が違う。でも、そこにはきちんとデルフトタイルであることがうかがえるレベルで描き込まれていた。

「牛乳を注ぐ女」の部屋もよく見ると壁面下部が同じようにデルフトタイルで飾られているのがわかる。


いいドラマや映画と同じで、フェルメールの絵はその丁寧に作り込んだ作品の中に色々なメッセージが色濃く込められており観れば見るほど惹きつけられるのだ。


フェルメールの展示がある美術館のうち、訪問したことがあるところはほんのわずか。


メトロポリタン美術館(ニューヨーク)=5点 《眠る女》《水差しを持つ女》《リュートを調弦する女》《信仰の寓意》《少女》

ナショナル・ギャラリー(ロンドン)=2点 《ヴァージナルの前に立つ女》《ヴァージナルの前に座る女》
英国王室コレクション(バッキンガム宮殿)=1点 《音楽の稽古》

ルーヴル美術館(パリ)=2点 《天文学者》《レースを編む女》
美術史美術館(ウィーン)=1点 《絵画芸術》


未訪問美術館。今後の課題だ。(笑)



フリック・コレクション(ニューヨーク)=3点 《兵士と笑う娘》《中断された音楽の稽古》《婦人と召使》
ナショナル・ギャラリー(ワシントン)=4点 《天秤を持つ女》《手紙を書く女》《赤い帽子の女》《フルートを持つ女》
バーバラ・ピアセッカ・ジョンソン・コレクション(プリンストン=1点 《聖プラクセディス》
イザベラ・スチュアート・ガードナー美術館(ボストン)=1点 《合奏》
ベルリン美術館(ベルリン)=2点 《ぶどう酒のグラス》《真珠の首飾りの女》
国立絵画館(ドレスデン)=2点 《取り持ち女》《窓辺で手紙を読む女》
ヘルツォーク・アントン・ウルリッヒ美術館(ブラウンシュヴァイ)=1点 《ワイングラスを持つ娘》
シュテーデル美術研究所(フランクフルト)=1点 《地理学者》
国立絵画館(スコットランド)=1点 《マルタとマリアの家のキリスト》
ケンウッド・ハウス(ロンドン)=1点 《ギターを弾く女》
アイルランド国立絵画館(ダブリン)=1点 《手紙を書く婦人と召使》